相談を受けるだけが仕事ではない?福祉相談員の仕事とは
「福祉相談員」と聞くと、その名の通り「相談や悩みを聞く」のが仕事ではないかと思っている人も多いかもしれません。確かに利用者の要望や現状を把握することも仕事のひとつです。しかし、福祉相談員としての相談業務はそれだけではありません。まずは利用者の要望等を聞き取ったうえで、利用者・家族にとって必要な支援策を探索。そして、その支援策を円滑に実行できるように、施設や病院、福祉事務所等の行政、地域とのパイプラインとなる役割もあるのです。さまざまな人たちとの連携が鍵となる仕事であるため、コミュニケーション能力が大いに求められます。
福祉相談員としての就業者は不足しているのでしょうか?
福祉相談員いう名称は資格名ではなく、上述したような相談業務を行う人たちの総称。そのため、就業場所によって名称やニーズが異なります。例えば、高齢者施設では「生活相談員」という名称で呼ばれています。高齢化がすすむ日本では、生活相談員はまだまだ不足しているのが現状です。
障害者福祉施設では、「生活支援員」と呼ばれています。国が障害者を含めた生活困窮者の支援を打ち出しているので、障害者福祉施設は今後増加する見込み。それに伴い、生活支援員の活躍の場が増える可能性があるでしょう。
また、最近では「子どもの貧困」が問題となっていることから「家庭支援専門相談員」や「母子支援員」といった名称も耳にするようになりました。 母親と子どもの精神的なサポートや、子どもの預け先の確保、関連施設との連絡調整などが主な業務です。児童福祉において、これらの福祉相談員は欠かせない存在。ただ、公的な施設が多く施設数に限りがあるため、欠員による補充などはあるもののニーズに大きな変動は無いようです。
福祉相談員の給与と活躍の場はどのようになっているのでしょうか?
福祉相談員のなかでも、求人として特に多くみられるのが高齢者施設の「生活相談員」ではないでしょうか?デイサービスやグループホームが主な活躍の場となります。資格や業務内容によって若干バラつきはありますが、月18万~25万円前後となっています。夜勤がある場合には夜勤手当がプラスされるなど、働き方によって前後します。
また、児童相談所で働く「児童福祉司」「心理判定員」は、いずれも児童福祉法で定められた資格を必要とする職業。まず「地方公務員試験」に合格しなければなりません。さらに法律に定める要件を満たす必要があります。地方公務員となりますので、地域によって差異はありますが、おおよそ月40万円前後となっています。
福祉相談員になるための資格はどんなものがあるのでしょうか?
介護の現場で求められる「生活相談員」は資格名称ではないため、資格証はありません。ただ、なるためには資格要件を満たす必要があり、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格がこれに該当します。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を得るためには、福祉系大学で指定科目を学び、国家試験に合格することが一番の近道となります。
障害者施設で求められる「相談支援員」「生活支援員」「職業指導員」といった職種では、特に資格は求められないものの、やはり福祉系の専門学校や大学を卒業していることが望ましいとされています。同じく障害者支援の分野に「身体障害者相談員」がありますが、身体障害者福祉法に基づく相談員制度により設置された地域ボランティアがあり特に資格は必要ありません。
児童福祉の現場においては「児童指導員任用資格」というものがあります。これは「児童養護施設」や「障害児施設」などの児童福祉施設に配置されている「児童指導員」として採用する際に、基準として厚生労働省が定めた資格です。次のいずれかの該当すれば、有資格者となります。
- 大学で福祉・社会・教育・心理学部(学科)を卒業
- 小・中・高のいずれかの教員免許を取得(級・教科不問)
- 厚生労働大臣指定の児童指導員養成校を卒業
- 児童福祉施設での実務経験者(高卒以上1年、その他3年)
このように福祉相談員としての活躍の場や資格要件などは多岐にわたるもの。どのような現場でどのような立場働きたいのか見定めることが重要です。学生時代に学んだ分野や、ボランティア活動の経験などはアピールポイントとなるでしょう。
また、子育てや介護で一旦休職や退職をした方は、復職時にその経験が評価されることも多くあります。特に介護施設では人材不足の問題もあるため、まったく違う分野からの転職も少なくありません。現場で働きつつ資格取得を目指すことで、未経験者でも相談員への道は開けるでしょう。