基本給を補う諸手当にもっと注目しましょう
待機児童問題のネックは、保育所と保育士の不足。このうち保育士のなり手が少ない最大の原因は、仕事の内容と給与水準のギャップといわれます。保育士は国家資格が必要な、子どもたちを見守り育てる大切な仕事。ところが給与は、全産業の平均より10万円以上も低いというデータがあります(平成27年度賃金構造基本統計調査)。
一方、事業所はこうした給与をカバーするために、さまざまな手当を設けています。その内訳によっては、大きく差がつくこともあるのです。求人の際には基本給のチェックはもちろん、こうした諸手当にもきちんと目を通しておくことが肝心といえるでしょう。
給与を底上げしてくれる手当のいろいろ
では、保育士の手当とは、どのようなものがあるのでしょうか。代表的な手当としては、役職手当や資格手当が挙げられます。職場での貢献度や経験、有資格者であることが給与を引き上げてくれます。また、残業や行事開催などで支給されるのは、特殊業務手当や調整手当など通常業務のプラスアルファの手当です。
一方、生活支援的な意味合いのものでは、住宅手当や扶養手当なども。それぞれ上限が決まっていたとしても、毎月の負担が軽減されるうれしい手当ですね。また、小さくても見逃してはならないのは交通費でしょう。通勤距離がかかる人なら、交通費支給の有無や上限は要チェック。自己負担がどれだけ変わるか、ぜひ計算してみてください。
給与に差がつく賞与は見逃せないポイント
給与を大きく左右するのが賞与です。保育士の賞与は、基本給の2〜4か月分が目安。基本給が低めでも、賞与の額によって年収が大幅に引き上がることも少なくありません。月々の給与だけでなく、年収で考えることが大切です。求人情報には、主に前年度の賞与の実績を載せているところもあるので、参考にしましょう。
このほかにも、事業所によって、扶養手当、誕生日手当、引越し手当など多彩な手当があります。求人票に明記されていないなら、面接の際に質問してみてもよいかもしれませんね。
国や自治体の改善策も後押しに?
現在、国や各自治体は、保育士の処遇改善に乗り出しています。具体的な施策を例にすれば、東京都の「保育士等キャリアアップ補助金」の設置などがあります。これは給与アップを前提にした事業所への交付金です。こうした財源をもとに、事業所が新たな手当を設ける可能性もあるでしょう。
職場選びは待遇だけがすべてではありません。ですが手当の充実度は、働く者のモチベーションを確実に上げてくれます。転職の際には、諸手当のチェックも念入りに行うのがおすすめです。