医療法人社団 正誠会について教えて頂けますでしょうか。
正誠会では、東京都で4医院と神奈川・千葉で1医院ずつの6医院を経営しています。業務内容としては、外来・訪問をバランスよく展開しています。訪問も介護事業所と居宅両方で偏りがありません。複数医院経営の医療法人の中では、強い色を持たない法人ではないかと思います。
その要因としては私達が積極的に規模拡大を志向した法人ではないということかも知れません。これまでの経緯をお話しますと、私は昭和大学の歯学部を63年に卒業しました。卒業後は、大学病院で補綴分野を学びながら師事していた教授のご縁で成城にある歯科医院にも勤務していました。当時は、比較的若くして開業することが多かった時代です。私が生まれ育った地域が浅草の方なのですが、その地域にある入谷歯科とご縁がありまして、その経営を引き継ぐ形で院長としてのキャリアをスタートしました。当時私が30歳になる前の頃でした。
入谷歯科の経営を始めるときには、前職の関係で既に世田谷区に住まいを構えていたため、入谷歯科の経営が安定してきたタイミングで、2軒目として世田谷に玉堤歯科を始めました。今現在、この2つの医院を中心に6つの医院を経営していますが、ゼロから開業した医院は1つだけしかなく、多くは大学の先輩や取引先から頼まれたりしたご縁で引き受けた医院です。
このように、規模を目指したわけではなく、結果として6院となっているというのが素直な所です。一方で、積極的に取り組んだこともあります。それは訪問歯科です。私たち正誠会は、訪問歯科に取り組んでいますが、私は介護保険が始まる前から、高齢者向けの歯科として訪問歯科に興味がありました。2000年に介護保険が導入されたあと、まだ十分な前例もない環境の中でスタートしました。当時は訪問を行う歯科医院が殆どなく、今のように介護事業所の開業時に歯科医院が営業に行くというような状況ではありませんでした。
ご存知かも知れませんが、訪問歯科の診療可能地域は半径16km圏内です。歯科医院は近年増え続けたこともあり、アクセスが良いので、外来患者は通常遠くても2−3km圏内の歯科医院にいくのが一般的だと思います。正誠会の6医院では、外来患者はお住まいのエリアは重ならないのですが、訪問の診療圏がかなり重なっています。このおかげで、より充実した体制で地域の歯科医療に貢献しています。当時は少数で始めた往診業務ですが、地域のケアマネジャーの方々と連携しながら、少しずつ患者数が増え、今では計5台の往診車で毎日訪問に回っている状況です。
かといって、訪問がメインかというとそうでもなく、正誠会は6医院ともに予防を含めた外来の多い医院です。このあたりが地域の方々に支持されている所ではないかと思います。今後に関しても、急な拡大戦略や利益率向上など短期的な考え方は持たず、今まで通り、しっかりと患者のことを考えて地域密着でいきたいと考えています。
6つの医院間で共通する考え方のようなものはありますか。
複数医院を経営している法人は多かれ少なかれ医院間で共通ルールを定めています。私たちは保険などの待遇面は一律にしてはいますが、細かい経営方針はそれぞれの院長の自主的な判断を出来るだけ尊重していますので、かなり特色にばらつきがありますね。やはり、地域性を一番理解しているのは院長です。また、院長の中には女性もいますし、ワークライフバランスの考え方も人によって異なりますよね。ですから、珍しいケースですと例えば、定休日の決定も分院長にまかせています。
勿論、医院毎の特色は尊重しつつも、基本的な考え方はきちんと足並みは揃えていく必要はあります。そのために、2ヶ月に一度は院長会議を実施していますね。例えば、共通している社員への待遇面としては、まず法人格を持っていますので、厚生年金、社会保険がついています。給与もある程度統一ルールがあり、歯科衛生士ですとその方のスキルにもよりますが、日給12000円程度からスタートです。時給1500円程度でしょうか。正社員にはボーナスは年2回、約1ヶ月分ずつを出しています。パートの方でも週4日勤務で正社員の半分程度のボーナスを支給しています。また、パートは週3日以上の方しか原則として採用していませんが、長く働きやすいように、有給もしっかりとれるようにしています。こういった待遇面は全医院共通にしています。
各医院の定休日
- 玉堤歯科(木曜、祝日)
- 入谷歯科(土曜、日曜、祝日)
- たつぬま歯科医院(木曜、日曜、祝日)
- 一丁目歯科(水曜、日曜、祝日)
- さくら歯科(木曜、日曜、祝日)
- 市川歯科医院(水曜、日曜、祝日)
※ちなみに、結婚後に日曜日だけ働く歯科衛生士さんがいるなど、現状としては日曜日は人手が足りているそうです。
やはり長く働きやすい環境という意識があるのですね。歯科衛生士の仕事に特長はありますか。
入谷歯科のみ訪問専任担当がいますが、基本的には院内業務と訪問の兼任制をとっています。歯科医師もですが、訪問専任だと業務スキルが見えづらいので、出来るだけ兼任が良いと考えています。院内業務に関しては、予防業務は担当制となっています。
歯科医師も歯科衛生士もプロフェッショナルの仕事ですので、自主性を尊重しています。もちろん、最初考え方を理解してもらうまでは厳しく指導することもありますが、その後はかなり任せています。指導に関しては、患者のためになる、という視点を意識しています。
また、意外と徹底出来ていない医院が多いようですが、私たちは歯科助手と業務の差をはっきりわけています。例えば、歯科助手にはレントゲンのボタンも押させませんし、口の中に触る業務一切はさせていません。また往診は「助手+ドクター+歯科衛生士」の3人体制を基本にしているのですが、運転も歯科医師・歯科衛生士は原則おこなっていません。重要なのは、こういう当たり前のレベルを高めていくことで、待遇面での働きやすさを安易に追求することではないんですよね。
最後にメッセージをお願いします。
当法人の医院は、駅から遠い医院もありますので必ずしも通いやすいエリアばかりではありません。実際、1時間かけて通っている社員も少なくありません。その上で退職スタッフが少ないということでの取材は結果論ではあるものの嬉しい事ですね。お近くにお住まいの方にとっては特に働きやすい環境だと思いますので、ご興味のある方は是非見学にいらして下さい。
※ジョブメドレーの会員の皆様には面接前見学も受付中ですのでエントリー時にその旨を記載下さい。
取材にうかがった際に、玉堤歯科で働く歯科衛生士の方々に生の声を聞いてみました。
時間
- 19時までの勤務がうれしい
- 往診も16時17時には終えるので往診日も遅くならない
- 今までの医院で一番お休みが取りやすい
院内の雰囲気
- 社員の離職率が低い
- 厳しい部分は厳しいけれども、理不尽な怒られ方はしないので注意をされても納得できる
- 患者様の前で怒鳴ったりは絶対しない