目次
1.忌引き休暇とは?
忌引き休暇とは、家族や親族が亡くなった際に、葬儀や告別式などに参列するために取得できる休暇です。法律上の義務ではなく、会社の就業規定に基づいて設けられる休暇のため、取得条件や日数は企業ごとに異なります。
忌引きと似た言葉に「慶弔休暇」があります。慶弔休暇は弔事だけでなく、結婚や出産などの祝い事(慶事)を含む広範囲の休暇を意味します。
慶弔休暇の詳しい解説はこちらの記事をご確認ください。
>慶弔休暇とは?結婚や忌引きの場合、給料は無給になる?取得できる日数や申請方法を解説
パートの忌引き休暇は企業によって異なる
忌引き休暇は法律で義務付けられておらず、企業が独自に取得条件や日数、対象範囲を定めています。 そのため、パートやアルバイトの忌引き休暇の有無も企業の就業規則によって異なります。また、2020年4月から「同一労働同一賃金制度」が導入され、厚生労働省のガイドラインでは、短時間・有期雇用労働者にも通常の労働者と同等の慶弔休暇を付与することが望ましいとされています。
2.対象範囲と取得できる日数
忌引きは何親等まで対象?

忌引き休暇は一般的には3親等までとされることが多いですが、会社ごとに規定が異なります。なお、配偶者は血縁関係ではなく、婚姻による法的な関係であるため親等には含まれません。
一般的な忌引き日数の目安
対象親族 |
日数(目安) |
---|---|
配偶者 |
7〜10日 |
子ども |
5〜7日 |
実父母 |
5〜7日 |
義父母 |
3〜5日 |
祖父母 |
3〜5日 |
兄弟姉妹 |
3〜5日 |
義祖父母 |
1〜3日 |
おじおば |
1〜3日 |
土日が含まれる場合の取り扱い
企業によって、忌引き休暇の日数に土日や祝日を含める場合と含めない場合があります。カウント方法には「暦日ベース(カレンダー日数)」と「出勤日ベース」があり、企業ごとに異なります。
3. 忌引き休暇の給料の有無
忌引き休暇取得の際に給料が支払われるかは企業によって異なります。契約社員や派遣社員についても、雇用主の規定によって扱いが異なります。契約社員は就業先の規定に従い、派遣社員は派遣元(派遣会社)の規定に従います。契約内容や勤務形態によって、有給・無給が決まることが多いため、雇用契約書を確認しましょう。
国家公務員や地方公務員の場合、所属する自治体の条例によって異なりますが、一般的には慶弔休暇として有給で取得可能です。
有給休暇の詳しい解説はこちらの記事をご確認ください。
>有給休暇とは?パートや準社員でも取得できる?付与日数や条件をわかりやすく解説
4. 忌引き休暇の取得方法とマナー
忌引き休暇を取得する際は、まず勤務先の就業規則を確認し、速やかに直属の上司へ連絡しましょう。連絡の方法は口頭、電話、メールなど会社によって異なるため、職場のルールに従って対応してください。
直属の上司への連絡方法
口頭での伝え方
「◯◯(親族)が亡くなりましたので、忌引き休暇を取得したいです。必要な手続きがあれば教えてください」
メールでの伝え方例文
件名:忌引き休暇取得のご連絡
◯◯部長
お疲れ様です。◯◯(氏名)です。
このたび、◯◯(親族)が逝去いたしましたため、忌引き休暇を取得したく、ご連絡いたします。
忌引き休暇の日程は◯月◯日から◯月◯日までの◯日間を予定しております。
必要な手続きがございましたら、ご教示いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
必要な証明書
忌引き休暇を取得する際に証明書の提出を求める企業もあります。死亡診断書や、通夜や葬儀で受け取る会葬礼状などが必要となることがあるため、事前に必要な書類を確認し、休暇終了後に速やかに提出できるよう準備しておきましょう。
証明書の例
- 死亡診断書
- 埋葬許可証・火葬許可証
- 葬儀証明書
- 会葬礼状
5. 忌引き休暇を使う際の注意点
上司や同僚へ早めに連絡する
忌引き休暇は急な休みになることが多いため、できるだけ早く上司や同僚に連絡することが重要です。休暇前に可能な範囲で業務を整理し、引き継ぎをおこないましょう。
会社からの香典の扱いを確認
企業によっては慶弔規程に基づき、一定の金額を香典として支給する場合があります。一般的には3,000円~3万円程度が支給されますが、企業ごとに異なりますので、総務や人事に香典の受け取り方法や必要書類について確認し、適切な手続きをおこないましょう。
休暇取得後の挨拶を忘れずに
忌引き休暇から復帰した際は、上司や同僚に対して一言お礼を伝えることが望ましいです。休暇中に業務をフォローしてもらった場合は、その点についても感謝の気持ちを伝えましょう。
取得後の挨拶の例
「この度は忌引き休暇をいただき、ありがとうございました。ご迷惑をおかけしましたが、本日より業務に復帰いたしますので、よろしくお願いいたします」
また、親しい同僚からお悔やみの言葉をもらった場合には、「お気遣いありがとうございます」といった簡単な返答をすると良いでしょう。
6. 忌引き休暇のよくある質問
Q. 忌引き休暇は有給ですか? 無給ですか?
忌引き休暇の有給・無給の扱いは、企業の規定によって異なります。企業によっては、年次有給休暇とは別の特別休暇として有給扱いとする場合もあれば、欠勤日として無給とする場合もあります。
慶弔休暇全体でみると、慶弔休暇制度があると答えた企業のうち、「賃金の全額が支給される」が81.3%、「賃金の一部が支給される」が5.2%、「無給」が10.8%という調査結果があります。
(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」)
Q. 会社から忌引きで休める日数は?
一般的には親や子、配偶者が5〜7日、祖父母が3〜5日となります。
Q. 祖父母が亡くなったら何日休めますか?
祖父母の忌引き休暇の日数は、同居していたかどうかで日数が変わるケースが多いです。一般的には、別居していた祖父母の場合は3日程度、同居していた祖父母の場合は5日程度と設定されます。
Q. 忌引きは四十九日でも取得できますか?
企業の就業規則によって異なりますが、一般的に忌引き休暇は「葬儀・告別式」を対象としており、四十九日などの法要には適用されないことが多いです。四十九日法要などで休みを取りたい場合は、年次有給休暇の取得を検討するのが一般的です。
Q. ペットが亡くなったときに忌引き休暇は使える?
一般的に、ペットの死亡は忌引き休暇の対象外とされています。ただし、一部の企業ではペットの死に際して休暇を取得できる制度を導入している例もあります。