目次

横浜市・川崎市の認定を受け、運動療育を中心とした放課後等デイサービスと児童発達支援を展開する「ホップステップ」。発達に特性のある子どもたちの“できること”を少しずつ増やしていくため、同施設では、感覚統合の考え方をもとにした「新五感(バランス感・ボディ覚・タッチ覚・聴覚・視覚)」の概念を取り入れ、これらを育む運動プログラムを支援の軸としています。

今回は、川崎市高津区にあるホップステップ新城校で働く3人の職員に、それぞれがどのような想いで日々の支援にあたっているのか、また職場の雰囲気や働きやすさについて語っていただきました。
話を聞いた人

福祉事業部 副部長 芝田由美子さん
放課後等デイサービスでの豊富な支援経験を持ち、現在は福祉事業部の副部長として複数校舎の運営と職員育成を統括。子ども一人ひとりの特性に合わせた関わりを大切にしながら、「チームで子どもを支える」文化づくりをけん引している。
管理者 兼 理学療法士 羽間光輝さん
整形外科で理学療法士として経験を積んだのち、不動産営業を経てホップステップに入職。現在は新城校の管理者として運営とスタッフ育成を担いながら、専門性を活かした運動療育にも従事している。

児童指導員 濱田汐音さん
認定こども園での担任経験を持ち、結婚を機に関西から関東へ移住。カフェで働くなかで「子どもと関わる仕事がしたい」と再認識し、丁寧な関わりを大切にできる療育の道を選ぶ。運動療育は未経験ながら、子ども一人ひとりに寄り添う姿勢と明るい笑顔で、日々の成長を支えている。
運動を軸に子どもたちをサポート
──ホップステップとはどんな施設なのでしょう。まずは特徴を教えてください。


ホップステップは、放課後等デイサービスと児童発達支援をおこなう事業所で、横浜市と川崎市に計9つの施設を展開しています。運動療育を中心に、子どもたちの“新五感”を育てる取り組みをしています。
通ってくる子どもたちは、まだ体の使い方がうまくつかめていなかったり、「運動が苦手」「集団がちょっと不安」と感じていたりする子が多いです。だからこそ、楽しみながら自分のペースで「できた!」を積み重ねていけるよう、一人ひとりに合わせた関わりを大切にしています。
──具体的に、どのような支援を提供していますか?

文部科学省が定義している「幼少期に身につけたい36の基本動作」に基づいて、全身運動や、跳び箱・鉄棒など、学校体育の動きを楽しく経験できるプログラムを提供しています。
こうした基礎的な動きが身についていないと、日常の中で転びやすかったり、ケガにつながりやすかったりするんです。また、身体を動かすことは、体力づくりだけでなく、集中力の向上や情緒の安定にもつながるといわれています。
ホップステップでは、理学療法士・作業療法士・保育士など多様な専門職が連携し、子どもたちが安心して挑戦できる環境を整えています。


運動のほかにも、子どもたちの興味や社会性を育むために、さまざまなプログラムを取り入れています。

スタッフが語る“ホップステップで働く理由”
──運動療育が中心だと、職員には運動経験が必要なんでしょうか?

運動が好きなスタッフは多いですが、運動経験がない職員も働いていますよ。プログラムは基礎的な動きが中心ですし、毎月の勉強会で知識を学べます。専門職が監修したマニュアルもあるので、運動が得意じゃなくても問題ありません。
──ちなみに、羽間さんと濱田さんは何かスポーツをされていましたか?

学生時代は柔道部に所属していて、少林寺拳法も習っていました。体を動かすのが好きで、それが今の仕事にもつながっていると感じます。

私はバレーボールとソフトボールをやっていました。バレーではセッターをしていましたが、身長が思ったより伸びず、途中からソフトボールに転向しました。運動はずっと好きでしたね。
──では、お二人はなぜ放課後等デイサービスという仕事を選んだのでしょう? これまでの経緯も含めて教えてください。

私は理学療法士として整形外科で働いたあと、「医療以外の世界にも挑戦したい」と思い、不動産仲介の営業に転職しました。いったん医療現場を離れてみて、人に寄り添う仕事が自分のやりがいだったこと、そして誰かと一緒に何かを成し遂げることが好きなんだと気づいたんです。
そこから「チームで動けて、誰かの役に立てる仕事とは何だろう」と考えるようになり、福祉の仕事に関心を持つようになりました。もともと子どもと関わることも好きだったので、それらをかなえられる職場を探して出会ったのがホップステップでした。

──濱田さんは、もともと保育の仕事をされていたんですよね?

はい。私は関西出身で、関西の短大で保育士資格を取得し、認定こども園で働いていました。結婚を機に関東に引っ越すことになり、最初はカフェでアルバイトをしていたんです。とても楽しくて、人と関わる仕事が好きなんだと実感しました。
でも、心のどこかでずっと「子どもと関わる仕事に戻りたい」と思っていました。こども園では3〜5歳のクラス担任をしていたのですが、その中の5〜6人が療育に通っていたんです。ちょうど発達の差が見え始める時期で、「本当はもっと一人ひとりに合わせて関わりたい」と思っても、集団保育ではなかなか難しくて。
せっかく新しい場所で保育に関わるなら、特性のある子に丁寧に向き合いたくて療育の世界を選びました。
──数ある療育施設の中で、ホップステップを選んだ理由は?

見学したとき、まず子どもたちが伸び伸び活動していて、職員もニコニコしていて「雰囲気がいいな」と感じました。
その後、芝田さんが面接をしてくださって、私がこども園時代に感じていたモヤモヤや、子どもとの関わり方の理想を丁寧に聞いてくださったんです。
そのうえで、「子どもたちみんなが同じことをしなくても、同じ場所にいなくても大丈夫。その子がいちばん落ち着いて参加できる形を尊重しています」と話してくれたんです。それを聞いて、ここなら子どもたちと丁寧に向き合えると思いました。

濱田さんは面接の段階から、ここで子どもと関わる姿がイメージできました。「この人と働きたい」と強く思ったので、仲間になってくれて本当にうれしいです。

ホップステップはどんな職場?
──ホップステップ新城校にはどんなスタッフが多いですか?

明るくて、周りに気遣いができるスタッフが多いですね。ホップステップでは“視野を広く持つ”ことを大切にしているので、困っている子どもを見かけたらすぐに「どうしたの?」と声をかけたり、職員同士の動きにも自然と目を配れる人が多いです。
──そうした文化があるなかで、羽間さんは管理者としてどんなことを意識していますか?

職員とのコミュニケーションはもちろんですが、職員の良い動きや小さな変化を日々見逃さないよう意識しています。
月に2回、面談があるのですが、普段から様子を見ているからこそ、「この前のこういう声かけが良かった」「このチャレンジが前よりも成長につながっている」と、具体的に伝えられるようになりました。そうすると職員も「あ、自分のことを見てくれているんだ」と感じてくれていると思います。
──その“人をよく見る”という視点は、どのように身についたのでしょう?

芝田さんの影響です。チーム作りの考え方や、声かけの仕方など、細かいところまでを全部教わってきました。

教えたというほど大げさなものではありませんが、ひとりで抱え込むより、みんなで考えたほうが子どもたちのためになるので、「チームで動くことが大切だよ」とは言い続けてきましたね。

入職してすぐに、「チームみんなで良くしていこう」という雰囲気を感じました。子どもたちに楽しんでもらうという同じ目的に向かって、一緒に考えながら動ける仲間がそろっているなと感じます。
未経験の現場で感じた“療育の難しさ”と“乗り越え方”

──保育と療育では、子どもとの関わり方も変わりますよね。濱田さんは働き始めたころ、戸惑った点はありましたか?

あります。同じ運動でも“励まされると動ける子”もいれば、“ゆっくり見守られたほうが安心する子”もいて、その見極めが最初は難しかったです。「今の声かけはその子に合っていたかな」と迷うこともありました。
──その戸惑いをどうやって乗り越えたのでしょう?

日々の関わりのなかで子どもの傾向がつかめてきたことと、ほかの先生からのアドバイスが大きかったです。「この子はこういう声かけが合うよ」と具体的に教えていただけたので、とても助かりました。
支援中は安全に配慮しながら観察しているため、職員同士で長く話すことはできません。だからこそ、支援前後の短い時間で情報を共有し合う文化が根づいています。
送迎の申し送りも同じで、その日の担当が事前に決まっているので、乗車前に要点を確認したり、必要に応じて車内で連絡を取り合ったりしながら、保護者の方に正確に伝えられるよう工夫しています。
職員の働きやすさを支える制度
──濱田さんは2025年4月入職とのことですが、どのような研修やフォローアップを受けましたか?

特性のある子どもたちとの関わり方や、運動療育の基礎に関する研修を受けました。それに加えて、定期的にオンライン勉強会が開かれるので、そこで運動療育の応用や、子どもの特性に応じた声のかけ方、子どもたちからの見え方などを教わっています。
こうした研修は子どもたちが来る前の午前中にしっかりと時間を確保してくれていて、手厚く教えてくれるのがありがたいです。

──ホップステップは土曜日も開校しているとのことですが、シフト制でしょうか?

ええ、新城校は月曜から土曜までのシフト制です。今後は全店舗で日曜日も開校する予定なので、現在準備を進めています。シフトは職員の希望に合わせながら調整しています。
──では、日々の残業についてはどうでしょう。業務効率化に向けて工夫していることがあれば教えてください。

1日の業務を細分化し、それぞれの作業にかける時間の目安を決めながら業務に取り組んでいます。また新城校では、先輩と後輩がペアになって業務をおこなう体制をとっています。その場で業務の確認、相談、引き継ぎができるため、作業がスムーズに進み、業務負担の削減にもつながっています。

とはいえ、送迎時の道路状況や月末の事務作業などで残業が発生することがあります。当社では、給与にあらかじめ20時間分の固定残業代が含まれていますが、見込み残業を超えて働くケースはほとんどありません。超過分は法定どおり別途支給されます。
──働きやすさという点では、制度面のサポートも気になります。どのような福利厚生がありますか?

有給休暇とは別に年11日間の「リフレッシュ休暇」があります。旅行や家族との時間に使っているスタッフも多いですね。
また、奨学金を返済している職員に対しては、月1万円を上限に返済をサポートする制度もあります。

「笑顔を大切にしながら成長していきたい」

──ホップステップで働くうえで大切な資質は何だと考えますか?

大前提として、子どもが好きであること。そして、もうひとつ大切なのは自分のことも好きでいることです。自分自身を大切にできないと、子どもたちにも愛情を持って向き合えなくなる瞬間が出てしまいますから。

私は「利他的な精神」だと思っています。療育の現場では、自分のペースよりも子どもの気持ちや安全が優先される場面が多いので、「自分さえ良ければいい」という考えだと続けるのが難しいんです。
ただこれは“自己犠牲”とは違います。自分を大事にできる人は、相手にも自然と気遣いや思いやりを向けられる。逆に、自分がイライラしている状態で子どもに接してしまうと、支援も良い方向にはいきませんよね。
だからこそ、自分の心身を整えつつ、相手のために動ける。そんな姿勢を持った人と働けたらうれしいです。
──ありがとうございました! 最後に、濱田さんは今後どのように成長していきたいと考えていますか?

これからも「笑顔」を大事にして働きたいです。笑顔って伝染するんです。自分が明るく笑顔でいると、相手も自然と笑顔になってくれる。その力をすごく感じています。
そのためには、自分自身をコントロールできることが大切だと思っています。気持ちを抜くところはしっかり抜いて、やるときはしっかりやる。そうしたメリハリを大切にしながら、私自身も児童指導員として成長していきたいです。
また、今後は新しく入ってくるスタッフの育成にも関わっていきたいと思っています。自分が先輩たちに支えてもらったように、誰かの“最初の一歩”を後押しできるような指導員になれたらうれしいです。
ホップステップの求人を見る