美容雑誌でよく取り上げられる百貨店化粧品「カバーマーク」「アクセ―ヌ」、ドラッグストアに並ぶ「ハトムギ化粧水」「塗るつけまつげ」「オペラ リップティント」。これらを手がけるのが、大阪に本社を置くピアスグループです。

ブランド名や製品を知っている人は多いかもしれませんが、ピアスグループそのものについて知る人はかなりの美容通といえます。そんなピアスグループとはどのような企業なのか。実態を探るべく、全国のアテンダントスタッフ(美容部員)を統括する社員に話を聞きました。
話を聞いた人
アテンダントスタッフ人事部部長 関 久美さん
新卒で入社。カバーマークのアテンダントスタッフ(美容部員)としてキャリアをスタートし、入社3年目で店舗のチーフ、7年目で主任に昇進。キャリアを積み重ね、28年間にわたりカバーマークに従事。その後、ケサランパサランに異動し、ショップオペレーションディレクターとして店舗運営や経営に関わる。現在はアテンダントスタッフ人事部の部長を務める。
お客さまファーストの接客スタイルに惹かれて

──関さんは新卒でピアスグループに入社したと伺っています。入社のきっかけは何ですか?
関さん:私は体育大学の出身で、もともと体育教師を目指していました。一方で、当時からメイクやファッションが好きだったため、教師以外の道に進むなら化粧品かアパレルの販売員になりたいと考えました。
ある日、大学の求人を眺めていたら、カバーマークの募集を見つけました。当時はブランド名くらいしか知らなかったのですが、採用試験を受けてみたところ合格し、アテンダントスタッフ(美容部員)としてキャリアをスタートしました。
当社では、美容に関わる接客サービスを提供するすべてのスタッフを“アテンダントスタッフ”と呼んでいます。一人ひとりがお客さまに寄り添い、おもてなしの心を持ってより美しくなっていただくためのお手伝いをする、という意味を込めています。
──実際に働いて、会社やブランドについてどのような印象を抱きましたか?
会社のことは入社してから好きになりました。当時はお客さまがデパートの化粧品売り場の前を通ったら、あの手この手で強引に買わせるような時代だったんです。
しかし、カバーマークはそういった接客をしていませんでした。当時から、お客さまのニーズを捉えて、ニーズに合わせて製品を紹介する姿勢を貫いていました。もともと、カバーマークはアザや傷跡を隠すファンデーションを販売していましたので、そのような製品は自宅で使いこなせなければ意図した効果を得ることができません。
お客さまが美しくなることで幸せを届けたいという気持ちのもと、お客さまのお顔にメイクアップしながら使い方をご説明し、ご理解、ご納得のうえでご購入いただく。ご購入後もフォローするという手厚い接客スタイルに感動し、この会社に入社してよかったと思いました。
顧客の人生に長く寄り添う
──ピアスグループはカバーマークやアクセーヌといった製品販売、パーツ美容サロンやエステサロンなどの運営、そしてメディカル分野と幅広い事業を展開しています。ピアスグループを一言で表現すると、どのような企業といえますか?
当社は「美容と健康の総合メーカー」です。美容と健康は切り離せないものですし、お客さまの多様なニーズに応え、ご満足いただくために多面的な経営をおこなっています。これにより、お客さまの人生を長期的に見据え、各ライフステージに必要な製品を提供することができます。

どの製品も美容技術も、莫大な時間と社員の努力を積み上げて生み出し、自信を持ってご提供できるものばかりです。なのでスタッフには、「ピアスグループでは、お客さまが本当に求めている強い製品しか発売しません。だからこそ自信を持って勧めてくださいね」と伝えています。
大企業だからこそかなう社内キャリアチェンジ
──ピアスグループでは1,000人を超えるアテンダントスタッフが働いているそうですが、特定のブランドを希望して入社する人が多いのでしょうか。
そうですね、各ブランドの個性を大事にしているので、ピアスグループに入りたいというより、そのブランドで働きたいという人が多いです。ただ、数多くのブランドがあるため、社内異動やキャリアアップのチャンスが豊富ですので、私のように長く働ける会社であることは知っていただきたいですね。
──ブランド間の異動のほか、アテンダントスタッフから採用担当など、本社部内へのキャリアチェンジも可能でしょうか?
はい、当社には「異動希望登録制度」があり、スタッフの空きがあればアナスタシア ミアレからケサランパサランへといったブランド間異動などもできます。また、美容サービス職から販売職への異動、本社や銀座オフィスでの内勤職などへの異動希望も可能です。アイブロウリストから販売職を経験し、現在は新卒採用担当として活躍しているスタッフなど、人事部の約半数はアテンダントスタッフ出身者です。このように、多様な経験を積みながら安定して働ける環境があることは、ピアスグループの強みであると思います。

──長期的に働ける基盤があるんですね。では、コロナ禍での運営はどうでしたか? お客さまの数や売上が落ち込んだと思いますが。
人との接触をみんなが恐れ、事業が成立しにくい状況でした。当社も来店されるお客さまが減り、売上やひとりあたりの生産性が落ちましたね。百貨店が閉じてしまい、休業せざるを得ない店舗もありました。
それでも雇用を守ることを第一に考え、給料を下げず、店舗に立てないスタッフにもこれまでどおりの給料を支払いました。あるスタッフは「こんな状況でも給料を支給してくれて、本当にすごい会社だと思います」と言っていて、その言葉から、現場のスタッフが安心してくれたことが伺えました。
会社にとっての危機はスタッフにとっても危機です。この危機を乗り越えられたことを心からうれしく思います。
──有事の際も安定した収入を保証できるのは大企業ならではだと感じます。
アイリスト・アイブロウリストをはじめとした施術スタッフも安定して働ける環境です。一般的な美容室やアイサロンでは、指名制や歩合制、売上ノルマが取り入れられていると思います。しかし、当社はお客さま満足を第一に追求しているため、そういった制度を導入しておりません。お客さまの取り合いがチームの輪を乱し、お客さまに満足されるサービスが提供できなくなると考えるためです。
それに、指名の頻度によって収入が上下するのでは生活が安定しませんよね。当社は毎月決まったお給料をお支払いしますので、安心して働くことができます。そこがピアスグループのアテンダントスタッフとして働く魅力のひとつです。
──では、福利厚生はどのようなものがありますか?
首都圏や京阪神で働く人には住宅補助や転居費の補助があります。もちろん交通費も上限なく全額支給していますので、郊外から来る人でも働きやすい環境だと思います。
また、2024年10月より、奨学金返還支援制度を開始しました。奨学金を利用して進学した人は、10年、20年と長い期間をかけて奨学金を返還しますよね。奨学金の返還は金銭面だけでなく心理的にも大きな負担です。それを会社が返還することで負担を減らしたいと考えています。
成長する人に共通する3つの要素

──関さんにとって、現在の仕事のやりがいとは?
やはり、アテンダントスタッフの笑顔を見ることですね。従業員が「お客さまに喜んでいただいた」「この会社に入ってよかった」といきいきと話してくれると、幸せに感じます。
先日、ある百貨店で販売員の表彰式があり、カバーマークのスタッフが表彰されたんです。そういう姿を見ると誇らしく思います。
──関さんが育てた方々が結果を出し、その人がまた人を育てていくという。思いが継承されていくんですね。
今は現場を離れていますが、人を育成することにやりがいと喜びを感じています。現在、アテンダントスタッフは1,000人以上いますので、一人ひとりに直接関わることは減りましたが、みなさんの活躍する姿を見るのはうれしいですね。
──では、ピアスで働くにはどんな人が向いていると思いますか?
ポジティブでチャレンジ精神があり、そして素直な人が向いていると思います。長年さまざまなスタッフを見てきましたが、そういう人は成長が速いです。
現在働いているスタッフにもこの3つの要素があると思います。本当に接客が好きで、興味を持ってお話できる、そういった人は会社やお客さまから良い評価を得ています。
当社のお客さまは年齢層が高く人生経験も豊富ですので、求められる接客レベルも高くなります。これは百貨店だけでなく、サロンも同様です。だからこそ、言葉遣いや立ち振る舞いまでしっかりと指導します。その分、しっかりと成長できる会社です。