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訪問歯科とは? 外来との違いや実施状況、診療内容、スタッフの働き方・給料などを解説!

高齢化が進み訪問介護や訪問看護の需要が高まる昨今、歯科診療においても自宅や施設でおこなう「訪問歯科」が増えています。訪問と外来では診療内容やスタッフの働き方にどのような違いがあるのでしょうか? 統計データや実際に訪問現場で働く歯科衛生士の声とともに解説します。

訪問歯科とは? 外来との違いや実施状況、診療内容、スタッフの働き方・給料などを解説!

1.訪問歯科とは

・訪問歯科の概要

訪問歯科診療とは、歯科医師や歯科衛生士が個人宅や施設、病院を訪問し、歯科診療をおこなうサービスのことです。

歯や口腔内を健康に保つことは、食べる喜びを持ち続けるといったQOL(Quality of Life=生活の質)や全身の健康状態にも影響します。そのため、病気や障がい、加齢などによって歯科医院への通院が難しくなった場合でも、訪問歯科を利用することで定期健診やメンテナンスを続けることが大切です。

・訪問歯科の対象者

訪問歯科は希望すれば誰でも利用できるわけではなく、原則として自力での通院が困難な人のみに限られます。

訪問歯科の利用条件

  • 病気、障がい、要介護などで通院が困難な方
  • 利用先の訪問歯科診療所から半径16km以内*の自宅、施設、病院

*半径16kmを超えた場合は保険適用外となる。ただし交通・地理的に特別な事情がある場合は保険適用が認められることもある

訪問先は自宅や施設、病院などの患者が寝泊まりしている場所に限られるので、デイサービスやデイケアなどの通所施設では利用できません。また、歯科や口腔外科のある病院に入院している場合も対象外となります。

・訪問歯科の実施状況

訪問歯科の患者の大多数は高齢者であり、とくに75歳以上の後期高齢者の割合が8割以上を占めます。

年齢階級別 訪問歯科診療の実施割合
参考:厚生労働省|在宅医療(その3)

一方、日本歯科医師会がおこなった要介護高齢者に対する調査では、歯科治療や口腔ケアが必要である高齢者が全体の約6割を占めるのに対して、実際に診療できている割合はわずか2.4%に留まるという結果が出ています。

この問題の背景には、訪問歯科の存在がまだ十分に認知されていないことがあります。患者や家族が訪問歯科サービスの存在をそもそも知らない場合や、知っていたとしても依頼の方法やタイミングがわからないといった問題。さらに患者が入院してしまうことでかかりつけの歯科医院との接点が途絶え、そのまま歯科受診の機会を逸してしまうケースも少なくありません。

・訪問歯科診療所の施設数

このような状況のなか、訪問歯科を実施する歯科診療所の数は近年増加傾向にあり、2017年の調査では、全国68,609ヶ所ある歯科診療所の約2割にあたる14,927ヶ所で訪問歯科サービスを実施していることがわかりました。なお、都道府県別の実施率を見ると、最も高い長崎県で約41%、最も低い沖縄県では約14%と開きが見られました。

訪問歯科診療を実施している歯科診療所の割合
参考:厚生労働省|医療施設調査 平成29年医療施設(静態・動態)調査 閲覧

tips|在宅療養支援歯科診療所(歯援診)とは?

厚生労働省が訪問歯科を提供するうえで求める基準を満たした歯科診療所のことを、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)と言います。患者がサービスを利用するうえで不便がないよう、訪問歯科の提供に必要な人員や設備を配置し、ほかの医療機関や福祉施設と連携を築くといった施設基準が設けられています。

在宅療養支援歯科診療所の指定を受けると、診療報酬が加算されることから、申請をおこなう診療所は年々増加しています。2008年度の制度開始から10年経った2018年時点での登録数は、歯科診療所全体の約16%(11,261施設)でした。

詳しい施設基準は、厚生労働省「平成30年度歯科診療報酬改定の概要」をご確認ください。

・訪問歯科の診療内容

訪問歯科の主な患者は高齢者のため、高齢者に多い口内トラブルに対応することがほとんどです。最初は「歯が痛い・抜けた・欠けた」「口臭が気になる」「義歯(入れ歯)の製作・調整」といった治療を要する依頼が多いため、歯科医師が中心となって訪問・治療にあたります。

治療を終えたあとは、患者の口腔内の様子を見て、継続的な訪問診療が必要かどうかを判断します。定期的な健診やメンテナンス、予防のための衛生指導は歯科衛生士が中心となって担当し、口内の健康を保つための口腔ケアや、食べる・飲み込む力を維持するためのリハビリなどをおこないます。

訪問歯科での主な診療内容

  • 虫歯治療
  • 抜歯
  • 歯冠(詰め物・被せ物)修復・充填
  • 歯周病検査・治療
  • 義歯の製作・調整・修理
  • 口腔ケア、口腔衛生指導
  • 摂食・嚥下リハビリテーション など

なお、患者1人あたりの訪問回数は1ヶ月に1回が約5割と半数を占めています。次いで1ヶ月あたり2回が多く、月に5回以上訪問するケースは約3%とごくわずかでした。

訪問歯科 1人あたり1ヶ月の訪問回数
参考:厚生労働省|在宅医療(その3)

2.訪問歯科で働く

・訪問歯科で働くスタッフ

訪問歯科で働くスタッフは、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手といった職種であり、外来と大きな違いはありません。ただし、訪問歯科に力を入れているクリニックや大手法人の場合は、訪問歯科コーディネーターという職種を設置している場合があります。

訪問歯科コーディネーターの主な仕事内容

  • 診療スケジュールの管理・調整
  • 訪問先の施設・患者宅との連絡・調整
  • ケアマネジャーとの連携
  • 訪問車の運転・メンテナンス
  • 機材の準備・運搬・メンテナンス
  • 診療場所のセッティング
  • 患者の誘導
  • 歯科医師・歯科衛生士の診療アシスタント
  • 営業
  • 事務作業全般 など

訪問歯科コーディネーターがいない職場の場合は、上記のような仕事を歯科衛生士や歯科助手が担当することが多いようです。

なお、訪問歯科では医療保険や介護保険などの各種制度に関する作成書類が多く、事務作業の時間が長くなる傾向があります。

interview|訪問歯科衛生士に聞きました

“訪問歯科の特徴として、事業所に戻ってからの事務作業が多いこともあると思います。外来ならスキマ時間にできる器材の滅菌作業や補充も帰ってからじゃないとできませんし、提出が求められる作成書類の数も多いです。

──訪問先とのスケジュール調整などは誰がするんですか?

うちの場合は「エリアマネジャー」が訪問先の施設やケアマネジャーさんとの調整業務を担当してくれてます。ほかの医院だと「訪問歯科コーディネーター」という役職名でも呼ばれてて、車の運転から営業まで担当されるところもあります。

ただそういった調整役がいてくれるのは大きな院が多くて、小さい医院では歯科衛生士や歯科助手が調整業務を担当することが多いです。私も前職は個人院でしたので、そういった業務も全部やってました。

──【在宅医療・介護の仕事】訪問歯科衛生士が考える、“外来でできない”働き方とやりがい より

・訪問歯科で必要な資格・経験

訪問歯科で働く歯科医師、歯科衛生士は当然それらの国家資格が必要となります。歯科助手や訪問歯科コーディネーターには必須の資格はありませんが、車移動が中心となるため、運転免許証が求められるところが多いようです。なお、歯科医師や歯科衛生士自らが運転して訪問に回るところもあります。

新卒の歯科衛生士の場合、未経験で訪問診療ができるのか疑問や不安に思う人もいるでしょう。ジョブメドレーが取材した歯科衛生士の女性は、新卒で訪問歯科で働くことについて次のように考えていました。

interview|訪問歯科衛生士に聞きました

“個人的には、若いうちはまず外来で経験を積んだほうがいいと思います。訪問では院内のように設備が整っていないので、時には手の上でセメント練ったりとか、患者さんもユニットではなく座位で診ることが多くて、口の中も見えづらいです。

環境面以外にも、高齢者の方には難しい処置もあるので、まずは外来でいろいろな症例を見て、ここまで踏み込んで治療できる・できないを掴んだほうがいいです。数年経験を積んでから訪問に来ても遅くないですし、経験が活かせると思いますよ。”

──【在宅医療・介護の仕事】訪問歯科衛生士が考える、“外来でできない”働き方とやりがい より

訪問歯科の場合、個人宅へ訪問するか施設や病院に訪問するかによっても、働く環境は大きく異なります。個人宅の場合は基本的に1対1での単独訪問となりますが、施設や病院の場合は患者が複数人いるため、歯科医師1人と歯科衛生士2〜3人で訪れることも少なくありません。施設や病院の場合は、先輩の近くで学びながら仕事を進められる安心感がありますね。

ジョブメドレーに掲載されている歯科衛生士の求人を見てみると、訪問診療を実施している歯科診療所のうち約8割が「新卒可」としているので、新卒から働ける職場も多いようです。自分が希望する働き方や伸ばしたいスキルをよく考えたうえで、未経験で訪問歯科に挑戦する場合は、施設や病院を中心に訪問している職場や、教育体制が整った職場で探してみることをおすすめします。

・訪問歯科と外来の働き方の違い

訪問と外来では働く場所が異なる以外にも、求められる能力や働き方にも違いがあります。

訪問の特徴

外来の特徴

  • 患者、家族、ケアマネジャーなどさまざまな関係者と接するコミュニケーション力が求められる
  • 患者や家族と密な関係を築くことができる
  • 歯科衛生士が主体的に活躍できる
  • 扱う機材や症例が外来よりも限られるため、ブランクがあっても復職しやすい
  • 移動や荷物の運搬が多く体力負担が大きい
  • 事務作業が多い
  • 幼児から高齢者まで幅広い年代の患者と接することができる
  • 患者とのコミュニケーションは訪問と比べると少ない
  • さまざまな症例を診る機会があり、扱う機材の種類も多い
  • 歯科衛生士は歯科医師の診療補助役になりやすい
  • 体力負担が少ない
  • 事務作業が少ない

・訪問歯科の一日のスケジュール

訪問歯科衛生士として働く女性の一日のスケジュールを見てみましょう。訪問先は高齢者施設で、歯科医師1人、歯科衛生士2〜3人、アシスタント1人で訪問したケースです。

訪問歯科診療一日のスケジュール
【在宅医療・介護の仕事】訪問歯科衛生士が考える、“外来でできない”働き方とやりがい より

一日あたりの訪問件数が今回のケースでは1ヶ所でしたが、職場によっては一日に4〜5ヶ所訪問するところもあるようです。

・訪問歯科の給料

ジョブメドレーに掲載されている求人から、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の賃金相場を、外来と訪問それぞれ実施している歯科診療所の求人で算出し比較しました。なお、残業手当などの月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる金額はこれより多くなる可能性があります。

職種

雇用形態

外来歯科

訪問歯科

歯科医師

正職員(月給)

60万3,352円

61万239円

パート(時給)

3,824円

3,978円

歯科衛生士

正職員(月給)

25万2,155円

25万8,277円

パート(時給)

1,459円

1,492円

歯科助手

正職員(月給)

19万7,793円

22万3,052円

パート(時給)

1,074円

1,245円

※2021年6月時点のデータ

比較すると、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手すべての正職員・パートで訪問歯科のほうが高い結果となりました。

過去にインタビューした歯科衛生士の女性(都内勤務)も、外来・訪問による金額差について次のように話していました。

interview|訪問歯科衛生士に聞きました

“今は額面で月収26〜30万円ほどもらっています。ボーナスは1ヶ月分を年2回。

外来と比べると、訪問のほうが月2万円くらい相場が高いんじゃないでしょうか。外回りで体力を使うし、昼食の外食費も上乗せされてる感じがします。”

──【在宅医療・介護の仕事】訪問歯科衛生士が考える、“外来でできない”働き方とやりがい より

3.訪問歯科の今後

高齢者のQOLや健康の維持のために重要であるにも関わらず、認知度や提供体制に課題がある訪問歯科。この現状に対し厚生労働省は、医療機関や介護施設、居宅介護支援事業所といった関係各所と歯科診療所が連携を図る必要性を呼びかけており、近年の診療報酬改定にもその意向が反映されています。

日本の高齢化率は今後も上昇し続け、2065年には国民の約2.6人に1人(38.4%)が65歳以上になると言われています。在宅での十分な歯科診療体制が築けるよう、今後も訪問歯科サービスの需要は高まっていくでしょう。外来とは異なるやりがいに魅力を感じた方は、訪問歯科で働くことを考えてみてはいかがでしょうか。

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