目次
1.キャリアプランとは?
理想のキャリアを辿るための設計・計画
キャリアプラン(Career Plan)とは、理想の働き方やキャリアを実現するための具体的な目標と、その達成に向けた行動を計画することです。この計画には、短期的な目標(1~3年)、中期的な目標(3~5年)、長期的な目標(5~10年)が含まれ、スキルの習得や資格取得、職場での経験の積み方、年収などが具体的に検討されます。
キャリアプランは特定の職場だけではなく、「〇〇歳までに〇〇の経験を積み、〇〇をおこなう事業所に転職する」など、働き方全体を視野に入れた柔軟な計画であることが特徴です。
キャリアプランとキャリアパスの違い
キャリアプランが仕事における理想像の実現計画なのに対し、キャリアパスは、職場が社員に提示する等級・役職へのステップアップ経路のことを指します。
2.キャリアプランの書き方
ここからはキャリアプランを作成するための4つのステップを紹介します。キャリアの振り返りや、理想像の考え方などを深める質問も用意していますので、回答を書き出してみてください。
Step.1 「これまでの自分」を振り返る
まずは、自分が今、どのようなスキルや経験を持ち、どのような価値観で働いているかを考えます。明確にイメージできない場合は次の質問の回答を書き出してみてください。
Q.今までどんな仕事にやりがいを感じましたか?
Q.自分の強み・スキルは何だと思いますか?
Q.働くうえで大切にしてきたことは何ですか?
キャリアの振り返り方について詳しくはこちら
>自分にぴったりな仕事を探すコツとは? 自己分析から求人の検索条件を見つけよう!
Step.2 将来の「理想の自分」を考える
次に、身近な上司や先輩、尊敬する人たちを参考にしながら「仕事における理想のキャリア像」を思い浮かべてください。明確にイメージできない場合は次の質問の回答を書き出してみてください。
Q.将来どんな仕事をしていたいですか?
Q.そのためにはどんなスキルが必要ですか?
Q.理想の労働環境や条件は何ですか?
理想のキャリア像が思いつかない場合
理想像が思いつかない場合は、「挑戦したい仕事」「身につけたいスキル」「理想の労働条件」を考えてみましょう。それぞれの内容は以下の項目を参考にしてみてください。

Step.3 「これまでの自分」と「理想の自分」を比べる
これまで考えた現状と理想の違いを言葉にしてみましょう。思いつかない場合は次の質問の回答を書き出してみてください。
Q.「これまでの自分」と「理想の自分」には、スキルや経験にどんな違いがありますか?
Q.「理想の自分」に近づくために最初に取り組むべきことは?
Q.「理想の自分」に近づくために5年以内に達成したいことは?
Step.4 キャリアプランに落とし込む
ここまで思い浮かべたことを参考にしながらキャリアプランを作成しましょう。例えば、「1年以内に専門資格を取得する」「3年以内にマネージャーになる」「5年以内に新しい業界に挑戦する」といった具体的な行動が見えてくるはずです。作成の際に意識するポイントは以下の5つです。

3.年代やライフステージ別キャリアプランの例文6選
ここからは、転職面接でキャリアプランを聞かれた際の回答例を、ライフステージごとに6つ紹介します。職種別のキャリアプランの例を知りたい人は、4.職種ごとのキャリアプランの例文5選をご確認ください。
新卒・第二新卒の例
(看護師・訪問看護ステーションの例)
最初の半年間は先輩看護師との同行訪問などを通じて、利用者とのコミュニケーションやケアの方法を学び、1年後には後輩指導に携われるよう技術力の向上に励みたいです。
また、今後3年間で訪問看護の専門性を高めたいと考えています。具体的には、訪問看護師認定資格の取得を目指し、日々の業務や学習を通じてスキルアップを目指します。そのために、訪問看護に関する書籍を年間5冊以上読んで、保険制度や帳票などに関する基礎知識を身につけます。
30〜40代中堅職員の例
(ヘルパー・介護施設の例)
最初の半年間は職場のルールを覚え、チームメンバーや利用者さまとの関係を深めることに専念したいと思います。1年後には若手職員へのアドバイスや指導をおこない、チームをけん引する職員として御施設に貢献します。
また、10年以内に介護施設管理者として、介護業界に貢献することを目指しております。そのために今後3年間は相談支援の仕事にも積極的に参加し、子育てがひと段落する3年後には社会福祉士の資格を取得する予定です。
40〜50代管理職の例
(管理職・経営部門の例)
50歳までに、経営戦略部門のシニアマネージャーの役割を担うことを目指しております。ご採用いただけましたら、即戦力として経営目標の達成に貢献するとともに、持続的な事業成長を支える体制構築にも取り組んでまいります。
また、現在は業界の専門性をより高めるために、経営理論や市場動向を学び直しており、年内に中小企業診断士資格の取得を目指しております。
家庭と仕事を両立したい人の例
(訪問スタッフ・訪問介護の例)
子どもが小学校に入学するまでの3年間は、時短勤務を活用しながら、御施設の顔となれるような訪問スタッフを目指して貢献したいと思います。
3年後はフルタイムに切り替え、御施設のサービスリーダー・マネージャー研修に参加し、サービス提供責任者の補佐的な役割にも挑戦したいと考えております。
再就職・復職を目指す人の例
(医療事務・クリニックの例)
子育てがひと段落したため、再び医療事務として働きたいと考えております。現在、医療制度や保険請求の制度を学び直しており、今年の3月には医療事務管理士の資格を取得予定です。
御院に入職させていただけましたら、最初の半年で業務フローを完全に習得して実務のブランクを埋めたいと思います。また、1年以内には過去の実務経験を活かして、データ入力や請求業務の効率化に貢献したいです。
未経験の職種に転職する人の例
(介護施設の例)
前職では経理事務として、文房具メーカーに在籍しておりました。昨年、介護職員初任者研修の資格を取得し、現在は介護職への転職を目指しております。介護の仕事は未経験ですが、積極的に業務を身につけ、3ヶ月以内に独り立ちし、チームの一員として貢献できるよう努力してまいります。
また1年後には、現場で学んだスキルと前職で培ったPCスキルを活かして、業務の効率化にも貢献したいと考えています。また、将来的には前職で評価されていた後輩育成の経験を活かし、リーダー職としてマネジメント業務にも挑戦していきたいです。
4.職種ごとのキャリアプランの例文5選
看護師の例
ターミナルケアのスペシャリストを目指しています。これまで訪問看護ステーションでの業務を通して、終末期医療を学んでまいりました。より専門的なスキルを身につけるため、緩和ケア病棟への転職を希望しています。
現在は日々の業務に加え、1日30分の自己学習を習慣化しており、1年以内に終末期ケア専門士の資格を取得する予定です。
採用いただけましたら、まず3年間はがんや難病患者の臨床経験を積み、5年後には認定看護師資格を取得したいと考えています。将来的には研修指導者として後進の育成にも携わりながら、終末期医療の質を高めていきたいと思っています。
医療事務の例
医療事務としてさまざまな業務を経験し、ジェネラリストとして御院に貢献できる人材になりたいです。現職ではレセプト作成や受付業務のほかに、日商簿記2級の資格を活かして経理や人事労務に関する業務も担当しています。
御院に採用していただけましたら、最初の半年間は接遇と院内ルールを学び、患者さまやスタッフからの問い合わせに的確に対応できる力を身につけたいと考えております。また、1年後には担当業務のリーダー補佐として貢献できるよう、毎月の勉強会に参加しながら専門知識を高めていきます。
将来的には総務や人事など、院全体の業務に関わる医療事務として、御院に貢献したいと考えています。
理学療法士の例
これまで、回復期リハビリテーション病棟に3年間勤めてまいりました。訪問介護の仕事は未経験のため、まず最初の3ヶ月は実務を通じて、介護現場の流れを理解し、利用者さまのニーズに応じた支援ができるよう努めます。
2年目以降は、役割の幅を広げて、SNSや社内報のプロジェクトにも参加し、御法人に貢献したいと考えています。
3年目以降は、リーダー職として後輩の育成にも積極的に関わり、総合的なマネジメント能力を身につけたいと思います。将来的には訪問介護事業所の施設長を目指しており、利用者さま一人ひとりに合ったサービスを提供できるよう、事業所全体をマネジメントできるスキルを身につけたいです。
介護職の例
利用者の状態に合わせたきめ細やかなケアをおこなうため、専門的な知識と相手の立場に立って考えられるスキルを身につけたいです。御施設に入職させていただきましたら、まずは現場でのインプットに集中し、3ヶ月以内に独り立ちできるよう努めます。
また、利用者のニーズにさらに踏み込んだ業務にも挑戦したいため、1年以内に実務者研修資格の取得を検討しております。御施設が掲げる「本人らしいケア」の理念のもとで経験を積み、将来的にはサービス提供責任者の業務にも挑戦したいと考えています。
事務職の例
私は2年以内に一般事務から経理事務へのキャリアアップを目指しています。そのために現在、通常業務のほかに、仕訳、請求書処理を任せていただいているほか、日商簿記2級の資格取得を目指して学習しています。経理担当を任せていただいた際には、より事業部門とのコミュニケーションを増やし、事業に貢献できる人材になりたいです。
さらに、今後5年間では、AI技術を業務に取り入れることを目標にしています。具体的には、毎月AI関連の勉強会に参加し、実際に業務に活用できるツールを積極的に学びます。将来的には、全事業部部門の作業の効率化をアドバイスできる事務職になりたいです。
5.キャリアプランを立てるメリット
キャリアプランを立てることは、職員と組織両方にメリットがあります。ここからはそれぞれのメリットを紹介します。
個人がキャリアプランを立てるメリット
1.モチベーションを保ちやすくなる
目的意識を持って業務に向き合えるため、成長を実感しやすく仕事に対して達成感や満足感を得られるようになります。
2.今やるべきことが明確になる
目標を明確にして行動に一貫性を持たせることで、行き当たりばったりな選択が減り、より効率的に理想に近づけるようになります。
3.キャリアアップのチャンスがつかみやすくなる
目的を意識することで、関連する情報や出来事に敏感になりチャンスに気づきやすくなります。また、周囲に自身のキャリアプランを伝えることで、関心のある仕事や役割に割り当てられる可能性が高まります。
会社が社員にキャリアプランを立ててもらうメリット
1.従業員にあった成長の機会を提供できる
個人のキャリアプランを確認することで、従業員の興味関心にあった業務やキャリアパスを提示できます。そうすることで、従業員が主体的に動きやすくなり、チーム全体の生産性や効率性の向上が期待できます。
2.従業員満足度の向上が期待できる
従業員個人の目標と組織の目標を擦り合わせることで、従業員が職場に対してより深い帰属意識を持つようになります。この結果、仕事への満足度が向上し、定着率や企業イメージの向上にもつながります。
6.会社のためでなく自分のためのキャリアプランを
どれほど詳細なキャリアプランを描いたとしても、理想的なキャリアを築けるとは限りません。しかし、一度立ち止まって自身の将来像を考えることで、自分の強みや興味を再確認し、柔軟にキャリアを調整するきっかけになります。
また、キャリアプランは一社に限って計画する必要はありません。目指す将来像によっては、転職も視野に入れてプランを立てましょう。ジョブメドレーでは、医療・介護業界の求人を50万件以上掲載しています(2025年1月時点)。「資格取得支援」や「研修制度あり」など、条件で絞った求人検索も可能ですので、キャリアプランの参考としても、ぜひチェックしてみてください。