目次
1退職挨拶の基本的なポイント
(1)感謝の気持ちをポジティブに表現する
退職挨拶の目的は、これまでお世話になった人たちに感謝を伝え、築いてきた人間関係を良好な形で締めくくることです。仕事は、同僚や取引先など、多くの人の支えがあってこそ成り立つもの。その感謝を誠実な言葉で伝え、最後まで敬意を持った対応を心掛けましょう。
(2)自分なりの言葉で伝える
退職挨拶は完璧な内容を求められているわけではありません。最も大切なのは、自分の言葉で誠実に感謝の気持ちを伝えることです。たとえ拙くても、心を込めて話しましょう。
(3)簡潔でわかりやすく書く
挨拶が長すぎると相手の負担になるため、次の構成を参考に簡潔にまとめましょう。その際、「退職の報告」「感謝の言葉」「今後について」の順に構成するのがポイントです。
退職挨拶の構成の例(看護師の場合)
- 退職の報告
例:お忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます。一身上の都合により、◯月◯日をもって退職することとなりました。 - 感謝の言葉
例:これまでお世話になった皆さんに、心から感謝申し上げます。とくに、入職したばかりのころ、業務に慣れず戸惑う私に、先輩方が根気よく指導してくださったことを今でもよく覚えています。そのおかげで自信を持って仕事に取り組むことができるようになりました。また、同僚の皆さんと支え合いながら数々の困難を乗り越えた経験は、私にとって大きな成長のきっかけとなりました。 - 今後について
今後はこれまでの経験を活かしながら、さらに看護スキルを磨いていきたいと考えています。皆さんの今後のご活躍を心からお祈りしています。本当にお世話になりました。
2.スピーチで退職挨拶をする場合の例文
一般的な退職挨拶
お忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます。一身上の都合により、◯月◯日をもって退職することとなりました。これまで皆さまに支えていただきながら働くことができたことを、心より感謝申し上げます。
入職して間もないころ、先輩方が「利用者さんの気持ちに寄り添うことが大切だよ」と指導してくださいましたこと、今でも鮮明に覚えています。また、リフトの操作や食事介助など、本当に丁寧に教えていただきました。ここで学んだことは私の財産です。
今後はこれまでの経験を活かしながらリハビリや認知症ケアのスキルを磨き、利用者さん一人ひとりの生活を支えるお手伝いを続けていきたいと考えています。
最後になりますが、皆さまの今後のご活躍と健康を心よりお祈り申し上げます。私も皆さんに負けないよう、さらに成長していきます。これまで本当にありがとうございました。
【アドバイス】
職場全体への感謝を軸にし、個人的な経験や学びを具体的に盛り込みましょう。また、今後の目標を簡潔に述べることでポジティブな印象を残せます。
定年退職の挨拶
このたび、定年を迎え、本日をもって退職することとなりました。長い間、皆さまに支えていただきながら働くことができたことを心より感謝申し上げます。
振り返れば、たくさんの子どもたちや保育スタッフと出会い、その一人ひとりが私にとって大切な存在となりました。入園時に泣いてばかりだった子どもたちが、自信を持って卒園していく姿を見るたびに、この仕事を続けてきて本当に良かったと感じます。また、日々の業務を共に支えてくださった皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
これからは自分の時間を楽しみながら、地域のボランティア活動などを通じて、子どもたちや保護者の皆さまのお役に立てればと考えています。
この園で過ごした時間は私の宝物です。これまで共に頑張ってきた皆さん、そして子どもたちに心から感謝申し上げます。皆さまのご健康とますますのご活躍をお祈りしております。本当にありがとうございました。
【アドバイス】
長期間の勤務を振り返り、職場や同僚への感謝を丁寧に伝えましょう。思い出や達成したことを盛り込むことで、これまでの歩みの重みを感じられる挨拶になります。
一言で軽く挨拶する場合
このたび、一身上の都合により退職することとなりました。この5年間、患者さんや同僚の皆さんに支えられながら、多くのことを学ばせていただきました。ここでの経験を糧に、これからも看護師として成長を続けていきたいと思っています。本当にありがとうございました。
【アドバイス】
時間が限られている場合は、感謝の気持ちを簡潔に伝え、今後の展望や抱負を一言添えると良いでしょう。短くても、誠実さが伝わる内容を心掛けてください。
送別会で退職の挨拶をする場合
本日はお忙しいなか、私のために送別会を開いていただきありがとうございます。 私事ではありますが、◯月◯日をもって退職することになりました。
院長をはじめ、皆さまには本当にお世話になりました。入職して間もないころは緊張のあまり手順を間違えることがあり、患者さまにご迷惑をおかけしてしまったこともありました。そのとき、◯◯先輩が患者さまをフォローしながら、丁寧に仕事を教えてくださったことを昨日のように覚えています。
ここでの学びを活かしてさらにスキルを磨き、患者さまに安心していただける歯科衛生士を目指していきます。
皆さまのご活躍と健康を心よりお祈りしております。本当にありがとうございました。
【アドバイス】
送別会では、これまでの感謝と職場での具体的なエピソードを交えると、温かみのある印象を与えられます。最後に前向きな抱負を述べることで、締めくくりの言葉としてふさわしい内容になります。
取引先へ退職の挨拶をする場合
このたび、◯月◯日をもって退職することとなりました。長きにわたりご支援をいただき、誠にありがとうございました。新天地でもこれまでの経験を活かし、努力してまいります。また、今後は後任の◯◯が業務を引き継ぎますので、変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
【アドバイス】
取引先への挨拶では、フォーマルで簡潔な表現を心掛けることが大切です。これまでの感謝を丁寧に述べるとともに、後任者への引き継ぎについても触れると、相手に安心感を与えられます。
パート・アルバイトの退職挨拶
【パートの場合】
本日が最終出社日となりました。最初は仕事を覚えられるか不安な毎日でしたが、皆さんのサポートのおかげで楽しく働くことができました。これまで経験したことを今後も活かしていきたいと思っています。本当にありがとうございました。
【大学生アルバイトの場合】
本日でアルバイトの最終日となりました。初めての接客業でしたが、先輩方のご指導のおかげで自信を持って仕事ができるようになりました。皆さんと一緒に働いた時間は、自分にとって大切な経験となりました。4月から社会人として就職しますが、ここで学んだことを忘れず、さらに成長していきたいと思います。本当にありがとうございました。
【アドバイス】
正社員と同じく感謝を伝えましょう。短期間の勤務であっても職場で得た経験や学びに触れ、前向きな気持ちで締めくくるのがポイントです。
3.メールで退職挨拶をする場合の例文
社内の人に退職挨拶メールを送る場合
社内向けの退職挨拶メールでも感謝と簡潔さを重視します。送り先は「To」で直属の上司やチームに直接送るか、「Bcc」で広範囲に配布するかを適切に判断しましょう。退職後も連絡を取りたい場合は私用の連絡先を記載すると良いでしょう。
上司へのメール例文
件名::【ご挨拶】退職のご報告
◯◯さん
お疲れさまです。◯◯部の◯◯です。
突然のご連絡となり恐縮ですが、このたび一身上の都合により、◯月◯日をもって退職することとなりました。
入社以来、◯◯さんには多くのご指導をいただき、成長することができました。とくに◯◯の勉強会では貴重なお話を伺うことができ、大変感謝しております。
今後はこれまでの経験を活かし、新たな挑戦をしていきたいと考えております。短い間ではございましたが、大変お世話になりました。◯◯さんのますますのご活躍をお祈りしております。
◯◯部 ◯◯
同僚へのメール例文
件名:【ご挨拶】退職のご報告
◯◯さん
突然のご連絡で恐縮ですが、私事ながら、◯月◯日をもって退職することとなりました。
◯◯さんと◯年間、共に仕事ができたことは、私にとって大きな財産です。仕事の合間に交わした何気ない会話や、協力した発表会のことは、忘れられない思い出となりました。
今後は新しい環境で経験を積みながら成長していきたいと考えております。これまで本当にありがとうございました。皆さんのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
以下に私の連絡先を記載しておきますので、何かございましたらお気軽にご連絡ください。
メールアドレス
電話番号
またいつかお会いできる日を楽しみにしております。
◯◯部 ◯◯
部下(部署全体)へのメール例文
件名:【ご挨拶】退職のご報告
◯◯部の皆さんへ
私事ながら、◯月◯日をもって退職することとなりました。
これまで皆さんと仕事をするなかで、一人ひとりの努力や成長を間近で見ることができたことを、心から誇りに思っています。チームで苦労をしながら目標売上を達成できたことは、私にとって忘れられない思い出になりました。
これからも自信を持って仕事に取り組み、さらなる成長を目指してください。皆さんの活躍を応援しています。短い間でしたが、ありがとうございました。
◯◯
社外の人に退職挨拶メールを送る場合
社外向けの退職挨拶メールでは、これまでの支援への感謝を丁寧に伝えましょう。後任者がいるのであれば引き継ぎがおこなわれる旨を添え、最後に相手の会社のさらなる発展や健康を願う一言で締めくくると良い印象を与えられます。
社外の人へのメール例文
件名:退職のご挨拶
◯◯株式会社
◯◯部 ◯◯さま
平素より大変お世話になっております。◯◯株式会社の◯◯です。
突然のご連絡となり恐縮ですが、このたび一身上の都合により、◯月◯日をもって退職することとなりました。
これまでのご指導とご支援に深く感謝申し上げます。とくに◯◯のプロジェクトでは、◯◯さまの多大なるご協力をいただき、大変助けられました。
なお、私の後任として◯◯が業務を引き継ぎます。詳細については◯◯より別途ご連絡させていただきます。今後とも変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、◯◯さまのご健勝と貴社の益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯
メールアドレス
電話番号
4.退職の挨拶メールへの返信例文
社内の人に返信する場合
退職の挨拶メールに対する返信は、感謝と激励を中心に簡潔にまとめます。相手がこれまでおこなってきた業務や貢献に対する言葉を添え、退職後の新たな挑戦を応援するメッセージを伝えます。
これまでお疲れさまでした。新しい環境でのご活躍をお祈りしています。またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。
社外の人に返信する場合
社外の取引先からの退職挨拶メールに返信する際は、これまでの取引や仕事への感謝を丁寧に伝えます。後任者との連携に言及すれば、より安心感を与えられるでしょう。
これまでの多大なご支援、誠にありがとうございました。後任の方とも引き続き良い関係を築いていけるよう努めてまいります。新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
5.やってはいけないNG挨拶
詳細な退職理由を述べてしまう
退職理由を詳細に述べてしまうと、相手に不必要な情報を与えるだけでなく、誤解を生む可能性があります。退職理由を聞かれた場合は、「一身上の都合」や「新しい挑戦をするため」など、簡潔で前向きな表現に留めることが重要です。
仕事や職場への批判
会社や職場環境に対する不満や批判を含めると、相手に不快感を与えるだけでなく、退職後も悪い印象を引きずる可能性があります。また、ネガティブな発言は周囲の士気にも影響を及ぼします。代わりに、感謝の気持ちや職場で学んだことを中心にポジティブな内容でまとめましょう。
長すぎる挨拶
挨拶が長くなりすぎると、聞く側や読む側に負担をかけてしまいます。また、ポイントが散漫になると、伝えたいメッセージがぼやけてしまうこともあります。簡潔さを意識し、要点を絞った内容を心掛けましょう。スピーチの場合は1~2分、メールの場合は3~4段落程度に収めるのが理想的です。
6.退職の挨拶にお菓子は必要?
感謝の気持ちをより丁寧に伝えたいならあると良い
感謝の気持ちをより伝えるのであれば、お菓子を手渡しすると良いでしょう。とくにクッキーやチョコレートなど個包装で日持ちするお菓子は、挨拶回りで多くの人に配りやすく、受け取る側にも喜ばれます。また、一人ひとりに「お世話になりました」と感謝の言葉を直接伝える機会にもなります。
最終出社日に渡すのが一般的
部署のメンバーやお世話になった方々に挨拶しながら渡すと、退職の挨拶がより丁寧なものになります。全員に直接渡せない場合は、共有スペースにお菓子とメッセージを置いておくと配慮が伝わります。
7.退職挨拶のおさらい
退職の挨拶は「退職の報告」「感謝の言葉」「今後の抱負」の3点に絞り、簡潔に伝えましょう。職場の文化や相手との関係性に応じて、内容を調整すると感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
これまで支えてくれた方々への感謝を表し、円満な関係を築いて職場を後にするための大切な機会です。スピーチやメール、短い挨拶でも、感謝の気持ちを忘れず、自分らしい言葉で誠実に伝えましょう。
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