1. 今日の転職経験者はこんな人
2. Yさん(児発管・28歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
2-2. 中学校〜高校時代
2-3. 大学時代
3. 経験を積むため保育士に
4. 児発管として音楽療法を活かす道へ
5.(番外編)生活とお金の話
1.今日の転職経験者はこんな人
ー出身と年齢を教えてください。
神奈川出身で年齢は28歳です。
ー家族構成は?
両親と姉がいます。
私は結婚して旦那と2人で暮らしています。
ーご両親は何をしている方ですか?
父はタンクローリーの運転手で、母はパートの清掃員です。
ー転職は何回経験しましたか?
1回です。
今は放課後等デイサービスと児童発達支援を兼ねる施設の児発管(児童発達支援管理責任者)ですが、前職は保育園で保育士をしていました。
ー自身をどんな性格だと思いますか?
負けず嫌いで、プライドが高めかなと。
負けたくないので、その分の努力はできているんじゃないかなと思います。
2. Yさん(児発管・28歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
ー幼少期はどんな子でした?
男の子にも挑んでいくぐらい気の強い子どもでした。
女の子が泣かされていたら、泣かせた男の子をやっつけにいくような。
ー小学校にあがってからは?
当時は団地に住んでいたんですが、団地の子達と男女関係なくみんなで遊んでいました。
あと、4歳くらいから今に至るまでずっとエレクトーンをやっているんですが、小学生の時は特に熱中していましたね。
2-2. 中学校〜高校時代
ー20年以上もエレクトーンを続けているんですね。中学校では音楽系の部活に入ったんですか?
そうですね。個人でエレクトーンを習いながら、学校では吹奏楽部に。
中学校からは、学年全体で成績が発表されるじゃないですか? 負けず嫌いだった私は勉強もめっちゃ頑張りました。自分より成績が悪いと思っていた子に負けたときなんかは、本当に悔しくて塾に通い始めました。
ー高校は普通の進学校へ?
そこそこ偏差値の高い学校へ、少し背伸びをして入学しました。
勉強についていけるか不安だったんですが、なんとか真ん中くらいの成績はキープできていました。
2-3. 大学時代
ー高校卒業後は大学に?
そうですね。音楽療法士の資格が取れる大学へ進学しました。
ー音楽療法士ですか? 正直、あまり耳にしたことのない職業ですが。
簡単に言うと音楽を用いて心身の回復・向上を目指す仕事ですね。胎教のように音楽を聴かせるサウンドセラピーではなく、能動的な行動療法の一種です。
例えば、楽器演奏を通して四肢の運動機能を向上させたり、歌を歌うことで喉や声帯の機能回復を目指したり、音楽を通してコミュニケーションを図ったり。もちろん利用者さんのメンタル面のケアにも繋がります。
まだ民間資格ですし単一の職業としても普及していないので、日本ではあまり知られていないですね。
長年やってきた音楽を活かせて人のためになる仕事ってなんだろうと悩んだ結果、そこに行き着きました。
ーその資格は一般的な大学で取得できたんですか?それとも音大?
私の場合は普通の4年生大学にある音楽学科音楽療法士コースで取得しました。なので、受験時にはピアノなどの実技試験もありました。
専門学校や短大でも取得できるところはあるんですが、大学へ進学したほうが色々な勉強も同時にできるかなと思い。
ー大学での勉強はどのようなことを?
音楽に関する授業はピアノ・ギター・歌が必須で、プラスアルファで好きな楽器を専攻するかたちです。私の場合はエレクトーンを。
ほかにも一般教養から、介護福祉・心理学・保育など幅広く。脳性麻痺や認知症の方も音楽療法の対象なので、医療分野についての勉強もありました。
あと、音楽療法についてはアメリカの方が研究が進んでいるので、英語の論文を翻訳したりも。
ー幅広く勉強する必要があるんですね。在学中に実習はありましたか?
ありましたよ。介護老人保健施設、発達支援、精神科の3領域で。それぞれの施設で1回2~3時間の実習を10回づつ。保育実習や介護実習というよりも、「音楽の時間を提供する」というような内容でした。
ー指定の学校を卒業することで、音楽療法士の資格を取得できるんですか?
音楽療法士の資格にはいくつか種類があって、なかでも代表的なものは全国音楽療法士養成協議会が認定している「音楽療法士(専修、1種、2種)」と、日本音楽療法学会が認定している「学会認定音楽療法士」のふたつです。
私の通っていた大学では卒業と同時に「音楽療法士1種」を取得できてて、「学会認定音楽療法士」は4年次に受験して取得しました。
ちなみに全国音楽療法士養成協議会の方は大学院修了で専修、短大卒で2種になります。
ー両方の資格を取得されたんですね。
それと私の場合は、通信講座で勉強をして保育士資格の取得もしました。2年次からコツコツ勉強を続け、4年次に国家試験合格というかたちで。
3. 経験を積むため保育士に
「保育実習の経験がなかったのも、不採用の要因だったのかも」とYさん
ー冒頭でお話ししていたように卒業後は保育士になったんですよね?
そうなんです。障がいを持つ子どものために働きたかったので、放課後等デイサービスなどを中心に就職活動をしていたんですが新卒採用がほとんどなかったんです。また、運よく見つけても採用を見送られるばかりで……。
なので、まずは通常の保育園で3年ほど経験を積んでから自分のやりたいことにチャレンジしようと考えました。
ー入職した保育園の決め手は?
「障がいを持つ子や他国籍の子も分け隔てなく受け入れよう」という方針の園だったので、自身のやりたいことにも繋がるなと思い。
ですが、そこは新規オープンの園だったので先生同士の考えがなかなか合わず、いつも険悪な雰囲気でした。主任や園長先生をはじめとするベテラングループvs若手保育士グループというような感じのよくある対立です。
私は新卒だしどちらの派閥でもなかったんですが、若手の先輩と組んで仕事をしていたので、騒動にはよく巻き込まれて疲れ切っていました。
ー給与や賞与などの条件はどうでしたか?
手取りで17~18万円くらい。賞与は2回・計1.5ヶ月でした。
ーその職場の良かった点は?
本当にまったく経験のない状態で入ったので、保育に関してはいちから丁寧に教えてもらえました。わりと自由な園でもあったので、2年目くらいからは音楽の時間を多めに取り入れるなど、やりたいことも比較的やらせてもらえました。
あとは、少人数制の保育園だったので一人ひとりをじっくり見れたのはよかったですね。その園で身に着けた基礎力は今も活きています。
4. 児発管として音楽療法を活かす道へ
ー予定通り3年後に転職を?
はい。放課後等デイサービスと児童発達支援を兼ねた施設に。
「障がいを持つ子どものために」という想いはずっとあったんですが、いざ転職を考えたときに自分が「何歳くらいの子を見たいのか」「どれくらいの障がい度の子を見たいのか」など、具体的なことは何もわかっていなかったんです。
なので、年齢層も障がい度も幅広く対応できそうなこの職場がよさそうだなと。児童発達支援では未就学児を、放課後等デイサービスでは小学生~18歳を対象としているので。
▼放課後等デイサービス及び児童発達支援については下記の記事もご覧ください
放課後等デイサービスで働きたい!仕事内容、必要な資格は?ー最初は保育士として働き始めたんですか?
そうです。保育士として入って2年働き、2018年の4月に「保育士経験5年」という要件を満たしたので児発管になりました。
前任者が辞めてしまい、人員配置的にも私がならざるを得ない状況だったというのもあります。
ー児発管になってから業務内容は変わりましたか?
それほど変わっていませんね。保育士や児童指導員と同じように現場に出て、子ども達の療育に関わっているので。もちろん支援計画書の作成をはじめとする書類業務は多少増えましたが。
▼児発管の詳細については下記の記事もご覧ください
児童発達支援管理責任者の要件や2017年4月からの変更点・就業場所・給与を調査しました!ー転職して給料は上がりましたか?
転職時は変わらなかったです。児発管になったときに多少上がったかな。今は手取りで19万円くらい。年2回の賞与と、3ヶ月に1回の処遇改善加算手当の支給があります。
賞与は計1.5ヶ月、処遇改善加算手当は2万円づつくらいです。
ー「音楽療法士」としてやりたかったことはできていますか?
楽器を演奏したりみんなで歌ったり、だいたい週2~3回くらいはそういった音楽療法の時間を作っています。
私の職業は「児発管」ですが、「音楽療法士」としてもまだまだできることは沢山あると思っているので、やっとスタートラインに立てたかなという感じです。
5.(番外編)生活とお金の話
ースマホのホーム画面を見せてもらってもいいですか?
とくに面白味もないと思いますが、どうぞ。
ー休日はどう過ごしていますか?
休日はエレクトーン・ホットヨガ・外部研修の参加、という感じですね。
月に1度はなんらかの勉強会や研修に参加すると決めています。
ー旦那さんとの出会いは?
高校の時にバイトで。当時は互いに高校3年生でした。
ちなみに結婚したのは24歳のときです。
ー旦那さんは何をしている人?
あまり把握していないんですが、レジのシステム?を開発しているみたいです。
ーお財布は夫婦どちらかが管理しているんですか?
いえ、基本的には別々ですが、家賃は旦那、光熱費や食費などその他雑費は私が払っています。私が払っている分だけを合算すると月4万円くらいかな。
貯金も各自でしていますが、もし子どもができたとしても旦那に負担を掛けたくないのでコツコツと貯金をしています。
ー今までで1番大きな買い物は?
100万円のエレクトーンです。
大学は特待生として入学した分、いくらか入学金が安くなったので、その分を頭金にしてローンを組んで買いました。
ー今後、日本において音楽療法士は広がっていくと思いますか?
広がっていったらいいですね。とはいえ、まだまだ日本では「音楽療法」と聞くとスピリチュアルな印象を抱く人も多いとは思うんです。「植物に音楽を聴かせると良く育つ」みたいなものをイメージしてしまっても仕方ないのかなと。
アメリカのように「音楽療法士」という職種が確立されていくのは、ずっと先のことかもしれません。これから日本でも研究が進み、広く認知され、音楽療法が当たり前となるような社会が実現されるのを楽しみにしています。
ー本日は以上になります。長い時間ありがとうございました。