【転職者インタビューvol.32】歯科医師6年31歳/転職2回(一般歯科→自費診療)

転職者インタビュー第32回目は、歯科医師として6年間勤務していたSさん31歳です。学生時代に勉強や実習で専門知識・経験を身につけた歯科医師の卵は、卒業後にどのようなキャリアを歩むのか。職場選びや仕事のやりがい、今後の計画についてお話を伺ってきました。

【転職者インタビューvol.32】歯科医師6年31歳/転職2回(一般歯科→自費診療)

1.今日の転職経験者はこんな人

歯科医師31歳の人生年表

ー今おいくつですか?

31歳です。


ーご職業は?

歯科医師です。妊娠を機に退職して、先月長女を出産しました。


ーおめでとうございます。旦那さまも医療系のお仕事ですか?

旦那は埼玉にある歯科医院の院長をしています。


ー歯科医師のご夫婦なんですね。奥さまのご出身は?

わたしは熊本出身なんですよ。


ー実家の家族構成は?

両親と2歳下の弟がいます。


ーご両親もお医者さんですか?

そう思うじゃないですか?(笑)。父は普通の会社員。母は専業主婦でたまにパートをしてました。親戚にも医療関係者はいなかったかな。


ーどんな経緯で歯科医師になったのか興味あります。転職は何回してますか?

転職は大きく分けると2回ですね。都内の歯科医院で勤務、アルバイトの掛け持ち、自費診療の歯科医院で勤務というかたちです。

2. Sさん(歯科医師・31歳)の生い立ち

歯科医師31歳の生い立ち

隣の部屋で旦那さまと寝ている赤ちゃんを連れてきてくれた。かわいい


2-1. 幼少期〜小学校時代

—幼少期の記憶はありますか?

保育園に通ってたんですけど、ほとんど弟のお世話をしてました。お姉ちゃんっ子だったのでいつも手をつないであげていて。


わたし自身はみんなでワーッと遊ぶというより、ジグソーパズルなどの1人遊びを黙々とやるような子どもでした。


—小学校はどのように過ごしましたか?

小学校ではピアノや書道、硬筆の習い事をしてました。


—ご両親は勉強に関して厳しかったですか?

「勉強しなさい」と言われたことはなかったんですけど、自分で勉強が好きになったんですよ。だから成績もけっこうよかったですね。


2-2. 中学校〜高校時代

—中学校ではどんな生活を?

部活は弓道部に入っていました。あとは「もっとレベルの高い勉強がしたい」と思っていて、中学校1年生から塾に行き始めました。学校まで片道1時間かかる田舎だったので、忙しい3年間でしたね。


—高校はどんな学校に行ったんですか?

県内有数の進学校に入りました。最初は「やったー!!」と思ってたんですけど、初めての挫折を経験してしまって。


—挫折、聞きたいです。

やっぱり優秀な人が集まってくるので、成績が中間くらいだったんです。当時はショックだったんですけど、「井の中の蛙だったな」と思って頑張ったからこそ今があるかなと。学校では茶道部の副部長をやったり、応援団でチアリーディングをやったりしていました。


—進路を具体的に考え始めたのは?

英語が好きだったので「将来は翻訳の仕事をしよう」と思ってました。


でも両親から「理系のほうがつぶしがきく」と言われたり、周りの友人が医学部を目指していたりしたので、「わたしも医療系かな〜」と思って薬学部を受験。現役では落ちてしまったので、浪人することにしました。


—薬学部を選んだ理由は?

健康体だったのであまり病院と縁がなくて、病院で働くことに対して怖いイメージがあったんです。夜勤が大変そうなのもあったし。だったら薬局で働く薬剤師のほうが楽しそうだなと思ってました。


—歯学部志望に切り替えたきっかけは?

学力の問題もあったんですけど、TVに綺麗な女性の歯科医師さんが出ていたり、小さい頃から定期検診で歯科医院に行っていたりして、「楽しい」「綺麗」という良いイメージがあったんです。なので、福岡の歯学部を受験して入学しました。


2-3. 大学時代

—歯学部の6年間って忙しそうですね。

最初はそうでもないんですよ。1年生は他学部と同じ教養科目を履修するので、けっこう遊べました。2年生も忙しいのはテスト前だけ。なので、スターバックスのバイトを週5くらいでしてました。


3年生、4年生になるにつれ、少しずつ医療系の勉強が大変になってきます。


5年生からは1年間の病院実習がはじまって、6年生は卒業試験や国家試験の勉強をするという感じです。


—病院実習について教えてください。

大学病院に行って、保存科、歯周病科、矯正科、口腔外科などを1年間かけてローテーションします。わたしはいちばん矯正科に興味がありました。


—看護師の実習は大変だと聞きますけど、歯科はどうですか?

科によりますね。口腔外科では、13時間のオペを見学したりして足が痛かったです(笑)。あとはレポートが大変な科があったり、口頭試問が大変な科があったり。


—口頭試問ってなんでしょう?

先生の質問に対して、現場で何も資料を見ずに答えなければいけないんです。実習の評価にも関わってくるので、事前に聞かれそうなことを必死に頭に詰め込んでましたね。


—実習が終わった6年生の生活は?

午前中は国家試験対策の授業があるんですけど、午後は自主学習でした。病院実習をやる人がいたり。わたしは5年生の実習が大変だったので、息抜きでランチや買い物に行ったり、夏は海に行ったりしてました。


国家試験の勉強を本格的に始めたのは8月だったかな? 合格したんですけど、すごく大変だったので4月からやればよかったと思いました。

3. 卒業後、研修医として1年勤務

—歯学部の就活はどんな感じに進めましたか?

歯学部の場合、6年生が終わったあとに1年間の臨床研修があるので、5年生の終わりから6年生の始めにかけて、研修先の病院を探しました。


—研修先の病院はどのように探しましたか?

研修先の施設情報がのっているサイトから申し込んで見学に行きました。受け入れ先の大学病院や開業医ごとに試験や面接があるので、みんな6年生の夏頃までに受けて、研修先を決めるという感じです。


—研修はどんなところを選びましたか?

九州を出たかったので、関東の大学病院をいくつか受けて、東京にある歯科大学の研修医になりました。大学卒業後に上京して西荻窪で1人暮らしをしていたんですけど、満員電車がとにかく嫌でしたね。


—研修医の1年間はどんなことをするんですか?

大学5年生のときの病院実習がより本格的になるイメージです。その時点で歯科医師の国家資格を持っているので、各科をローテーションして、実際に患者さんの口腔内を治療したり、採血をしたりしました。


—1年の臨床研修を終えたあとの流れは?

自分の専門科目を決めて大学病院に残る人、大学院に進んで勉強する人、歯科医院で働く人などがいます。


わたしは矯正歯科専門医になるために、大学院に進んで博士号を取ろうと思っていました。ただその試験には落ちてしまったので、潔く働くことにして、10月頃から勤める病院探しをしました。


その時点で25歳だったので、もう1年かけて大学院に入って6年間通うよりかは、働いてお金を稼ごうと切り替えましたね。

4. 歯科医師の転職活動・働き方

—勤務先の病院はどのように探しましたか?

そのときは歯科医師専門の求人サイトを使いました。


—1つ目の歯科医院を選ぶとき、重視する条件はありましたか?

研修医のときは月に15万円弱しかもらえなくて、親に仕送りをもらっていたので、自分で家賃を払って生きていけるお給料をもらえるところ。


あとは、研修医を終えたといっても一人前の歯医者だとは言えなかったので、たくさん患者さんの治療ができるところ。


2つの条件に合うところを先輩に紹介してもらって、東京23区外の歯科医院に就職しました。年中無休、土日祝日も開いていたのですごく大変なところを選びました。


—お給料は研修医の頃と比べて、どれくらい上がりましたか?

1年目で月35万円とかだったかな? わたしは給料が良いところを選んだので、25万円くらいのところもあったと思います。


わたしは3〜4ヶ月の研修期間が終わったら歩合制にしてもらったので、最終的に月60万円くらいになりました。


—それだけあったら1人で生きていけますね。

独身だったし、忙しくて使う暇がないので、すごくお金が貯まりましたね。


—転職はどのタイミングでしたんですか?

最初の歯科医院で2年半勤務してたんですけど、忙しすぎて疲れたので、週1日ずつ4つの歯科医院のアルバイトを掛け持ちしてました。


—1つの病院で週4ではダメだったんですか?掛け持ちのほうが大変そうな。

歯科医院によって治療の仕方が違ったりするので、いろいろな医院を見たかったんです。なのでインプラント専門、子どもの矯正専門、一般歯科医院、自費診療の歯科医院で半年間働いてました。


—半年間アルバイトをした後は?

バイト先の自費診療の歯科医院の常勤医になりました。


—自費診療の歯科医院1つにしぼった理由は?

最初の2年半は一般的な歯科医院で働いていたんですけど、わたしは口腔内に銀歯を入れることに抵抗があったんです。


やはり見た目もあまり綺麗ではないし、歯のクリーニング中、銀歯によって歯が黒ずんでしまっているところも目にしていたので、「患者さんにとってベストな治療ができていないな」という思いがありました。


なので、銀歯をセラミックなどに変えるメタルフリーの治療を行なっている自費診療の歯科医院の常勤になり、患者様一人ひとりにじっくりと向き合い、時間をかけて全顎的に治療をしていました。そこでは約2年働き、妊娠を機に退職して、今にいたるという感じです。


結果、患者様も見た目が綺麗になったという変化をとても喜んでくれ、今では家族のようにお付き合いさせていただいている方もいるんですよ。

5. ザックリ給与明細書

歯科医師31歳の給与明細書

—自費診療の歯科医院の待遇・働き方を教えてください。

歩合制なので月によって変動するんですけど、月100〜200万円くらいでした。賞与はありません。最初は週5で働いていたんですけど、2018年に結婚してからは週3勤務に変えました。勤務時間は10〜18時。日曜日が絶対に休みだったので働きやすかったですね。


—出産後にすぐ復帰する人もいらっしゃるんですよね?

友人の歯科医師は出産して、子どもを保育園に預けて半年で復帰してましたね。


—ご自身は今後について何か考えてますか?

子どもも何人かほしいので、しばらくは子育てに専念しようかなと思っています。いずれは夫が経営する歯科医院で働こうかなと。


—旦那さまが同じ職業でなかった場合、開業という選択肢はありましたか?

4つのアルバイトを掛け持ちしていたときに「開業もありかな〜」 と考えてました。


—歯科医院の数が増えてると聞きました。開業のハードルは高い?低い?

開業のハードル自体は高くないけど、長く続けるのが難しいということだと思います。とくに子どもを持つ女性は家族のサポートが必要になりますし。そういった条件がクリアできない場合は勤務医のほうが働きやすいかもしれません。


—ご自身のキャリアで「こうしておけばよかった」という後悔はありますか?

後悔はないですね。


—逆に「こうしておいてよかった」という意思決定は?

やっぱり大学院に落ちたときに、切り替えて一般歯科医院に就職したことですかね。1年目にいろいろな診療を経験できたことで、面白い人生が歩めていると思います。そこが1つのポイントだったかな。


歯科医師としてもたくさんの働き方があるので、早くからさまざまな方面にアンテナを伸ばして良かったなと思っています。


私はバリバリの臨床医ですが、友人は歯科医師として医療関係の会社でOLやってますし、大学に残ってう蝕の原因菌の研究をしている人もいるし。


さまざまな分野で歯科医師同士が協力して、これからの歯科界を盛り上げていけたらなと思っています。


—ありがとうございます。最後にちょっと生活の話を聞いて終わりです。

6.(番外編)生活・お金・夫婦の話

—お休みの日は何をしてますか?

家事をしたり、Amazon Primeでビデオを観たりしています。あとはたまにヨガに行ったりしてました。


—スマホの画面を見せてください。

こんな感じですね。


歯科医師31歳のスマホ画面

—よく使うアプリはなんですか?

1位「インスタ」、2位「ぴよログ(育児記録共有アプリ)」、3位は同列で「LINE」と「kindle」です。本はほとんどkindleで読んでいて、歯科の本は紙のものを買ってます。


—勉強用にどんな本を読むんですか?

こういう本ですね。ちょっと分厚いやつ。


歯科医師31歳の生活

—値段見てビックリしました。30,000円。

高いですよね(笑)。都内にある歯科専門の本屋さんで買いました。


—旦那さまも歯科医師とのことですが、出会いのきっかけは?

結婚相談所の紹介で出会いました。優しくてわがままを聞いてくれて、完璧だなって思ってます。


—結婚相談所ってどのくらいかかるんですか?

入会金が40万くらいで、月会費も含めたら50万くらい使ってるかもしれません。


—旦那さまに直してほしいところは?

歯磨きしないで娘にチューすること(笑)。


—お子さんには将来医療職に就いてほしいですか?

そうですね。できれば夫の歯科医院を継いでほしいなって思ってます。まだまだ先の話なんですけど。


—本日はありがとうございました!

読者の方へのメッセージ

歯科医師のキャリア

今回はお子さんが生まれたばかりのSさんのご自宅に伺いました。歯科医師といっても大学病院で専門科目を追求する人、大学院に進んで勉強する人、歯科医院で働く人などキャリアはさまざまです。Sさんは一般歯科に入職して複数の診療科目を経験したことが現在に活きているとのこと。子育てがひと段落したら、旦那さまが経営する歯科医院で働くことも考えているようです。

宮原 透 (編集者) 2019/08/02

プロフィール

「なるほど!ジョブメドレー」は、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」が運営するメディアです。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に就いている人や就きたい人のために、キャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。仕事や転職にまつわるご自身の経験について話を聞かせていただける方も随時募集中。詳しくは「取材協力者募集」の記事をご覧ください!

あなたへのおすすめ記事

医療系・福祉系・美容関係で働く男女の仕事45選!おすすめの資格・給与・内容・転職エピソード・私生活について聞いてきました!

医療系・福祉系・美容関係で働く男女の仕事45選!おすすめの資格・...

医療・歯科・介護・保育・リハビリ・美容業界で働く人たちは、どのような生い立ちや転職体験を経て、現在の仕事に就くようになったのでしょうか。20代〜50代の男女のリアルなインタビューを集めてみました...

キャリア・転職インタビュー 公開日:2020/10/02 更新日:2023/10/19

歯科医師とは? 気になる国試の動向から年収・将来性まで解説!

歯科医師とは? 気になる国試の動向から年収・将来性まで解説!

需給バランスが問題となってきた歯科医師。しかし、予防歯科・審美歯科・訪問歯科へとニーズが多様化していること、歯科医師の高齢化が進んでいることを踏まえると、必ずしも「多すぎる」とは言い切れないよう...

職種・資格を知る 公開日:2021/03/16 更新日:2024/03/15

歯科助手とは? 禁止行為や勤務先による仕事や給料の違いを押さえよう!

歯科助手とは? 禁止行為や勤務先による仕事や給料の違いを押さえよ...

歯科医師や歯科衛生士の診療をサポートするのが歯科助手の主な仕事ですが、歯科助手の仕事に就くために必須の資格はとくにありません。歯科助手のできること/できないこと、勤務先による仕事や給料の違いにつ...

職種・資格を知る 公開日:2021/05/28 更新日:2024/01/01

歯科衛生士とは? 国家試験、仕事内容、勤務先、給料について解説!

歯科衛生士とは? 国家試験、仕事内容、勤務先、給料について解説!

幼児から高齢者まで幅広い年代の方の健康を“お口”から守る歯科衛生士は、年々活躍の場が増えています。今回は歯科衛生士の資格の取得方法や仕事内容、勤務先、給料について解説します。

職種・資格を知る 公開日:2021/10/29 更新日:2024/03/26

歯科医師国保の加入条件・保険料・メリットは何?

歯科医師国保の加入条件・保険料・メリットは何?

歯科医院の求人情報を見ている時に待遇欄に「歯科医師国保」と書かれてるのを見かけたことはありませんか? 一般的な健康保険や国民健康保険との違い、保険料や加入条件などを紹介します。

求人の見方・転職ガイド 公開日:2020/08/21 更新日:2022/01/07

ジョブメドレー公式SNS

会員登録がまだの方

  1. 1 事業所からスカウトが届く

  2. 2 希望に合った求人が届く

  3. 3 会員限定機能が利用できる

無料で会員登録をする

LINEでもお問い合わせOK!

ジョブメドレーの専任キャリアサポートにLINEで相談できます! QRコード

@jobmedley

ジョブメドレーへの会員登録がお済みの方はLINEで通知を受け取ったり、ジョブメドレーの使い方について問い合わせたりすることができます。

LINEで問い合わせる

ジョブメドレーへの会員登録がお済みの方はLINEで通知を受け取ったり、ジョブメドレーの使い方について問い合わせたりすることができます。

歯科医師の新着求人

職種とキーワードで求人を検索

Btn pagetop