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コラム2020/05/15
ユマニチュードとは? ケア内容や入門研修・資格の有無について解説

介護における考え方やケアの技法はさまざまあります。今回は、認知症の方に有効とされるケア技法「ユマニチュード」について解説。介護職の方はもちろん、近親者の介護をおこなっている方もぜひ参考にしてみてください。

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1.ユマニチュードとは

ユマニチュードは、人としての尊厳を大切にする介護ケアメソッドで、フランスの体育学の専門家であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティにより考案されました。

介護職の方はもちろん、ご家族が介護をおこなう際の障壁として、「相手が介護に非協力的」「暴言を吐かれたり暴力をふるわれたりする」など、相手との関係構築の難しさが挙げられます。

しかしユマニチュードに基づき、相手を1人の人間として敬意を持って接することで、互いに信頼関係が生まれ、こういった行動の改善に繋がるとされています。

◾️ユマニチュードの入門研修や資格は?

2020年5月現在、国内ではユマニチュードに関する資格は確認できませんでしたが、株式会社エクサウィザーズという企業が、日本で唯一、正規のユマニチュード研修をおこなっています(注:公式ホームページより)。

研修内容は一般向けの市民講座。専門職向けの入門コース実践育成2日間コースの3つに分かれています。

2.記憶の仕組み

具体的なユマニチュードの話の前に、認知症への理解を深めるためにも、記憶の仕組みについて解説します。

まず記憶には「短期記憶」と「長期記憶」が存在し、それぞれの違いは次の通りです。

分類 記憶の保持時間 概要
短期記憶 数十秒程度 短期記憶に含まれる情報の大部分は忘却されるが、その一部が長期記憶として固定されていく
長期記憶 数分から一生 容量の大きさに制限はない。意味記憶・エピソード記憶・手続き記憶などがこれに含まれる

※心理学領域における分類

2-1.短期記憶

認知症の特徴の1つは、記憶障害です。認知症における記憶障害は、まず短期記憶から失われていきます。

短期記憶が失われると、ほんの数秒〜数十秒前の出来事を思い出すことができません。

なので、数分前に聞いたことも忘れて、同じことを何度も繰り返し聞いてしまうことが多々あります。

介護者にとっては何回〜何十回と聞かれていることなので、イライラしてしまうこともあるでしょう。しかし、本人にとっては初めて聞くことだということを理解しておきましょう。

2-2.長期記憶

ほとんど忘却されてしまう短期記憶の中でも、脳により必要と判断されたものは長期記憶として固定されます。

また、長期記憶はそのなかでもさらに「意味記憶」「エピソード記憶」「手続き記憶」などに細分化されます。

意味記憶」は、文字・名前・人の顔など、私たちが学んで得てきたもの。

エピソード記憶」は、過去に経験したことに関する記憶と、それに付随するさまざまな情報(当時の感情や身体的・心理的状態など)。

手続き記憶」は、運動技能や習慣に関する記憶。例えば、自転車の乗り方や料理の方法など。

長期記憶は、短期記憶に比べて失われにくいものですが、そのなかでも特に「エピソード記憶に付随する感情」は記憶に残りやすいとされています。

ユマニチュードでは、これらの特徴をとらえ、介護に関する記憶を「心地よいものだった」と、残していけるようアプローチしていきます。

3.ユマニチュードを構成する4つの柱

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ユマニチュードは介護を必要とするすべての人へ向けたケアですが、とくに認知症を持つ方に有効とされており、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つをケアの柱としています。

これら4つの柱は、ケアを受けている人に対して「あなたは私にとって大切な存在です」と伝えるための行動です。

ここで大切なのは、どれか1つだけでは成り立たず、それぞれを組み合わせることで初めて効果が最大限に発揮されるということ。

これらを念頭に置いて、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という行動の重要性を改めて確認していきましょう。

< 見る >

認知症の方は、私たちが思っているよりも視野が狭く、また視野の外から話しかけても気づかないことが多くあります。

「私はここにいますよ」ということを、視覚情報からしっかり伝えるためにも、相手が認識している視野の正面から入っていきましょう。

ポイントは「正面から」「近くで」「同じ目線になり」「長い時間見る」ということ。

顔を近づけることで親密な関係であること、同じ目線で(水平に)見ることで同様の立場であること、長い時間見ることで大切に思っていることを目から伝えます。

ベッドで横になっている人や、車椅子に乗っている人、腰が曲がって目線が下を向いているいる人などには、必ず屈んで目線の高さを合わせましょう。

< 話す >

高齢者の場合は耳が遠くなり、こちらの声が聞き取りにくくなったり、理解するのに時間がかかったりします。

だからと言って、あまりに大きな声で話したり、自分の希望を受け入れてもらうために、理詰めで追い詰めるような話し方をしてしまったりするのは禁物です。

人はイライラすると、だんだんと高く大きな声で早口になってしまいがちです。

低めの声で、穏やかに優しく話しかけて、安心感を与えてあげましょう。

また認知症の方は、話しかけても反応がないこともあります。

そういう方を相手にケアをする際、こちらも無言になってしまいがちですが積極的に声をかけ続けましょう。

ユマニチュードにおいては、おこなっているケア内容を逐一声に出して話しかける「オートフィードバック」という方法が有効です。

最初は難しいかもしれませんが、目安としていつもの3倍くらい話しかけるような気持ちでケアに取り組んでみるとよいでしょう。

< 触れる >

「触れる」という行為には、意図せずとも強いメッセージ性がこめられます。

身体介助などで触れる際は、「相手を大事に思っている」ということが伝わるような触れ方をしましょう。

具体的には「触る前に必ず声をかける」「手のひらなど、広い面積を使って触る」「強くつかまない」など。

とくに、人はつかまれると「この人に動きを制限され、自由を奪われている」と感じてしまいます。

例えば腕を持ち上げるときは下から支えるようにするなど、極力相手をつかまないよう意識しましょう。

また、最初は背中や肩などから触れはじめ、徐々に手や顔などの敏感な部位へと移行することで安心感を与えられます。

< 立つ >

人は、寝たきりでいると筋力が大幅に低下してしまい、骨も徐々に弱くなっていきます。

なので無理のない範囲で、立位でいる時間を作るようにしましょう。立つことが難しければ体を起こすだけでも効果はあります。

目標は、1日に「20分の立つ時間」。これは連続した時間でなくても、着替えるときに3分、トイレへ行くときに4分……というように、1日のうちで立っている時間の合計が20分となれば大丈夫です。

立つときには、転倒などの危険性もあります。決して無理はせず、主治医や看護師さん、リハビリの担当者さんなどと相談のうえで計画を立てましょう。

4.ユマニチュードを実施する5つのステップ

ユマニチュードではケアの準備から終了まで大きく5段階に分けられています。

なにも難しいことはなく、私たちが「誰かとよい関係を結ぶために、自然におこなっていること」をケアにも反映させるだけです。

それでは、そのステップを具体的にみていきましょう。

【ステップ1】出会いの準備(来訪を告げる)

通常、私たちが友人の家や知人の元を訪れるときには、家のインターホンを鳴らしたり、ドアをノックしたりすると思います。

ケアを必要とする人に対しても、まったく同じです。

まずは、自分が来訪したことを告げ、プライベートな空間にお邪魔しますということを伝えます。

具体的には、居室の場合はドアを3回ノックします。返事がある場合は入室し、返事がない場合は数秒待ってから再びノックしましょう。

それでも返事がない場合は「入りますね」と声をかけてから入室しましょう。

病院などで個室がない場合は、カーテンや間仕切り越しに声をかけます。

相手に、来訪者を迎える心の準備をさせてあげましょう。

【ステップ2】ケアの準備(よい関係を結ぶ)

ステップ1で入室できたら、次は相手に近づき、信頼関係を構築していきます。

ここで大切なのは、「相手の顔が向いている方向から近づく」ということ。

「見る」の項で紹介した方法を実践するように、相手の視野の中心に自分が入ることを意識しながら近づいていきましょう。

また、すぐに業務的なケア内容の話に入るのはよくありません

まずは雑談をしたり、相手の体調を気遣ったりして「会えて嬉しい」という気持ちを伝えましょう。

【ステップ3】知覚の連結(実際のケア)

ケアをすることを伝え、その承諾を得られたら、ようやく実際のケアに移っていきます。

ユマニチュードの基本となる4つの柱を駆使しながら、丁寧なケアを心がけましょう。

注意すべきなのは、「見る」「話す」「触れる」で与えているメッセージに矛盾がないかという点です。

例えば、「身体を綺麗にしていきますね」と優しく声をかけているのに、準備に忙しくて目線を合わせていなかったり、腕をつかんでしまっていたり。

相手が、五感から得られる情報を矛盾なく連結できるよう、メッセージを正しく伝えながらケアをおこなっていきましょう。

【ステップ4 】感情の固定(ともに過ごした時間を振り返る)

感情に関する記憶は、そのほかの記憶に比べて残りやすいとされています。

ケアの時間を一緒に振り返り、「心地よいものだった」「楽しい時間だった」という印象を残してあげられれば、次回のケアを前向きに受け入れてくれる可能性が高まります

例えば、友人と映画を観たあとにカフェで感想を言い合ったり、一緒にご飯を食べたあとにゆっくりお茶を飲んだりするような時間だと捉えてください。

体的には「〜さんとお話ができて楽しかったです」「今日のご飯は美味しかったですね」「シャンプーをしたからいい匂いがしますね」というような、ポジティブな言葉を口に出しましょう

自分からも「よい時間を過ごせました。ありがとう」という感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。

【ステップ5】再開の約束(次のケアへ繋ぐ)

ケアを楽しい時間だと感じてくれていたら、次回も心待ちにしてくれるでしょう。

その次回に繋げるステップが、「再開の約束」です。

一連のケアが終わったあとに、「また来ますね」という旨を伝えます。

「次は〜日に来ます」「今日は、また4時頃に来ますね」と、具体的に伝えてあげるとさらによいでしょう。

カレンダーに書き込んだり、メモ書きを残してあげたりするのも効果的です。

5.認知症介護でよくある問題とその対処例

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認知症介護をおこなう上で発生することの多い、介護者が困ってしまう事例をいくつかご紹介します。

ユマニチュードの技術や考え方をどのように使ったらよいかを、具体的に考えてみましょう。

【ケース1】「食事をとってくれない」

1食程度抜いたとしても大きな問題にはなりませんが、継続的な食事拒否は栄養失調や低血糖などに繋がる恐れがあります。

食事を拒否してしまう理由として、次のようなことが考えられます。それぞれの可能性を考慮し、対処しましょう。

●食べ方がわからなくて混乱してしまう

認知症の進行度合いによっては、箸や食器の使い方がわからなくな ってしまいます。

その場合は、介助者も目の前で一緒にゆっくりと食事をとることで、食べ方を思い出し、つられるように食べ始めることがあります。

また品数が多いと、与えられる情報量も多くなり混乱してしまうことがあります。1品ずつ順番に提供するなどして、小出しにするとよいでしょう。

●食べ物を認識できていない

認知症が進行すると、視野が狭くなり、正面にあるものしか認識できなくなったり、目の前のものが食べ物なのかを判断できなくなったりします。

そのため、食事の介助をするときには、料理をスプーンにすくって目の前まで運び、「このお肉を食べましょうね」などと示してあげることが効果的です。

●嚥下障害や薬の影響

高齢者の場合、義歯の不具合や飲み込む能力の低下などの問題を抱えていることがあります。

また、服用している薬の影響により、胃腸の調子が悪くなっていたり、味覚が変わっていることもあります。

こういった可能性がある場合は、ご家族などにできることは少ないので担当の医師や看護師へと速やかに相談しましょう。

【ケース2】「どこかへ行こうとする」

認知症による徘徊の理由にはさまざまありますが、どの場合においても直接的な制止はしないようにしましょう。

介護をする側にとっては、おかしな行動かもしれませんが、本人は必要に差し迫られての行動です。「それは違う」と否定してしまうと、逆上してしまったり混乱してしまったりします。

まずは共感してあげ、「出掛ける前に上着を着ましょう」「一緒に出掛ける準備をしましょう」などと、別の目的へと誘導してあげるとよいでしょう。

また、漠然とした不安や心配から、このような行動に出ている場合もあります。

落ち着ける環境を整えてあげたり、本人の得意な家事などを任せて自信をつけさせてあげることも有効です。

【ケース3】「過去の習慣をおこなおうとする」

認知症では、古い記憶ほど強く残り、新しい記憶は失われていきます。

そのため、何十年も前に退職した会社へ出社しようとしたり、亡くなってしまった夫の食事を作ろうとしたりします。

もしかしたら本人は、数十年分の記憶を失い、若い頃の自分に戻っているのかもしれません。

ケース2 と共通する部分もありますが、そこで本人を否定しても、理解できずに混乱してしまいます。

本人の「現在」はいつの時代になっているのか。ということを考え、本人の話に合わせて「今日は日曜日なので会社は休みですよ」というように、誘導してあげましょう。

6.最後に

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フランスで生まれたユマニチュードは、「あなたを大切に思っています」ということを積極的に伝えるケア技法であるため、私たち日本人には少し気恥ずかしく感じてしまうかもしれません。

たしかに文化は国によって異なります。しかし、そういった文化は生活していくうえで後天的に身についていくもの。

「人に大切に思われたい」「人としての尊厳を尊重されたい」という人間の本質的な欲求は、誰もが持っているはずです。

「介護がうまくいかず疲れてしまった」というようなときには、ユマニチュードの考え方を思い出してみてください。相手とのよい関係を築くヒントになるかもしれません。


■参考文献

『家族のためのユマニチュード』誠文堂新光社
著:イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ
訳:本田美和子

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