
1.今回インタビューしたのはこんな人

ー本日はよろしくお願いします。まず簡単にプロフィールを教えてください。
岩手県出身で年齢は40歳です。現在は都内で妻と息子の3人で暮らしています。
接骨院で整体師として働いているんですが、これまでに4回ほど転職しています。
ー最初から整体師を?
いや、この業界に入ったのは33歳のときですね。
ーなるほど。それまではどんなお仕事をしていたんですか?
ちょっと経歴がややこしいんですが、いいですか?
まず大学を卒業後、スペインに留学したんです。スペインの大学に1年間通って、卒業後はそのままスペインの旅行代理店に就職しました。
そこで4年半働いて日本に帰ってきました。ちょうど東日本大震災のあった年でしたね。
ー帰国は震災の影響も大きかったんですか?
そうですね。理由は色々あったんですが、やっぱり日本の家族や友人が心配になり、近くで何かしてあげたいって思いました。
で、まずはとにかくお金を稼ごうと思い、時給の高い派遣の仕事を始めました。
具体的には家電量販店の販売員ですね。あとテレアポとか。
ーなるほど。整体師を目指し始めたきっかけは?
きっかけは格闘技です。
私はハーフということもあり小学生の頃はいじめられていたんです。ハーフだし体もでかいし、岩手の田舎だとどうしても悪目立ちしちゃって。
それで強くなるために空手教室に通いだしました。そうしたらいじめられることもなくなって、そこからいろんな格闘技にどハマりしちゃって。
「ジャブを100発打つまで寝ない!」みたいな、訳のわからない修行をしてる小学生でした(笑)。

ーそこから整体師にどう繋がっていくんでしょう?
すみません、話がそれましたね!
えーっとそれで、高校からは中国武術にハマりだしたんです。
中国武術を習得していく過程で、人体の構造や仕組みの研究にのめり込んでいきまして、「中国武術が壊す技術なら、治す技術も学ぶべきだろ」って考えに至りました。
整体と中国武術は、根底としての考え方も結構似ている部分が多いんです。
ちなみに中国武術は今でも続けています。
ーなるほど! 格闘技好きが高じて、ボディケアの専門家になったんですね。
そうですね。だいぶ遠回りしちゃいましたが。
今日の履歴書は、現在の職場に転職するときに提出したものです。接骨院としては2社目ですね。
ー以前の職場から転職した理由は?
整体師として働くなかで「ここにこれ以上いても成長しねえぞ」って感じたからです。
あとは休みが週1しかなかったのも大きいですね。ちょうど子どもができたタイミングだったので、休みが週1では家族と過ごす時間も少ないし、妻の負担も大きくなってしまうので、この環境はどっかで変えなきゃいけないなと。
お給料も時間も、もっとなんとかなるところがあるんじゃないかなと思って転職サイトで探し始めました。
ー成長できないと感じた理由を教えてください。
接骨院あるあるかもしれませんが、どうしても決まった治療を流れ作業で繰り返すところが多いんですよ。毎回同じ患者さんで、同じ治療。
だから私も4年間ほとんど同じことしかやってこなくて、このままじゃまずいなと。
もっと新しい知識や技術を取り込んでアップデートしないとって危機感を覚えたんです。
今の職場は新しいことをどんどん取り入れていく気概のある接骨院なので、やりがいがありますね。
2.整体師の履歴書(実例)

※証明写真は取材用に撮影したものに変更しています
ー経歴が複雑なので履歴書は苦労しそうですね。
そうなんですよ!
めちゃくちゃな経歴なので、毎回すごく苦労してます。
ー履歴書を書くうえで何か工夫などはしてますか?
とにかく何枚も何枚も書き込みます。
それこそ、このときは20枚くらい書いたんじゃないですかね……。
いくつも作ってみて、自分のなかで一番見やすく、わかりやすく、伝わりやすいものができたら完了です。とくに志望動機とか。
めちゃめちゃ効率悪いですよね。
ー20枚もですか!
はい。ちょっと間違えたらビャーッと破いて捨ててたので。
なので本当はパソコンで作りたいなって思うんですが、いまだに「履歴書は手書きだろ!」って思ってる古い接骨院も多いと思うので、手書きが無難なんじゃないかなって。
ーなるほど。証明写真はどんな服装で撮りましたか?
黒に近い紺のスーツです。
ただ、下は写らないので適当なズボンでした。
ー経歴を見る限り、33歳から未経験で整体師になったということで合っていますか?
そうですね。ただ、派遣会社に勤めながらリラクゼーション系の専門学校には通っていました。
その辺はもう履歴書の時系列とかがグチャグチャになるので、省略して面接で伝えるようにしています。
本当は柔道整復師の専門に通いたかったんですが、時間もお金もかかりすぎちゃうので。
ーその専門学校では何か資格は取りましたか? 免許・資格欄には自動車免許しか記載されていませんが。

はい、一応。
「一般社団法人日本整体セラピスト認定協会 認定整体師」という民間資格を取得しました。
……書き忘れてますね(笑)。
ー志望動機はどういうことを意識しましたか?

(志望の動機)
“もっと施術家としてのレベルアップと、良くも悪くも人が好きという部分を更に活かして業界、お店の活性化を御社では出来ると思い志望しました。”(履歴書原文より)
履歴書は面接時に持っていくパターンだったので、それほどびっしり書き込みはしませんでした。
会社によってどこまで読み込んでるかわからないですけど、「なんでうちを志望したの」「なんで辞めたの」「前職はどんなことしてたの」みたいに重要な部分は面接でしっかり伝える必要があるので、面接のとっかかりになりやすい文章を意識して書いてます。
事前に郵送する必要があったり、書類審査がある場合はもっとびっちり書きますけどね。
ーありがとうございます。次に面接の内容について聞かせてください。
ジョブメドレーからのアドバイス
今回の履歴書・職務経歴書について、ジョブメドレーのキャリアサポートに「良い点」「改善できそうな点」を聞いてみました。主なポイントは以下のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。

【履歴書:良かった点】
(全体を通して)
履歴書を20枚も書くほどの熱意と丁寧さは素晴らしいです! しかしさすがに大変かと思うので「1枚はパソコンで下書きしてから紙の履歴書に清書」という方法はどうでしょうか? 時間を有効に使えるのでおすすめです。
【履歴書:改善できそうな点】
1.記入年月日
「いつ作成されたものなのか」ということがわかるように、忘れず記入しましょう。
2.学歴・職歴欄
学歴・職歴をすべて記載したら、最後の行の右側に「以上」と書きましょう。
3.資格・免許欄
保有資格は全て記載漏れのないように。履歴書に不備があると「重要書類を確認もせずに提出している」とマイナスに捉えられる可能性もあるので注意が必要です。
4.志望動機
確かにアッサリ、ざっくりしているので、詳細を質問したくなる文章だと思います。ただ質疑応答時間をしっかりとれる事業所様には良いと思いますが、そうでない場合はうまく伝わらない場合もあるので注意しましょう。また、応募先ならではの志望動機を記載するとさらに良い履歴書となります。
3.整体師の面接対策

ー当日は面接以外に何か試験はありましたか?
いや、面接だけでした。
ただ事前に心理テストがありましたね。
ー心理テストですか。
はい、ネットの転職サイトから応募したんですが、「まずはこちらの心理テストにお答えください」ってメールが来まして。
変わった会社だなぁと。
ーどんな心理テストでしたか?
「類人猿分類診断」っていう、性格タイプ診断みたいなものです。
例えば「あなたは感情を表に出すタイプですか?」みたいな質問に答えていくんです。
その結果によって「チンパンジータイプです」とか「ゴリラタイプです」とか。
ー面白いですね。面接対策は何かしましたか?
対策ってほどのことじゃないんですが、受ける会社のホームページの経営方針とか理念をしっかり読みました。
あとは、他にも大手を2社受けていたので、そのときの面接内容をもう一度復習したり、反省点を振り返ったり。
ーなるほど。面接当日の流れを簡単に教えてください。
まず会場(接骨院)の最寄駅には30分前には着くように家を出ました。
ただ、その日はスーツを着ていったんですが、電車に乗ってからスニーカーで家を出てきたことに気づきまして……。
急いで家に引き返して、革靴に履き替えました(笑)。
ー途中で気づいてよかったですね!
本当ですよね。なのでその日は到着も結構ギリギリになっちゃいました。
通常であれば、30分前に着いて場所の確認をして、近くの喫茶店でリラックスって感じなんですけど。
ー持ち物は履歴書以外に何かありましたか?
履歴書のほかは、ボールペン・メモ用のノートくらいで、あとはハンカチとか財布とかです。
ー面接は1回だけでしたか?
はい。ですが、いきなりオーナーと院長が面接官だったので驚きました。
1店舗しかない接骨院なので、実質ツートップですね。
ー面接では何を聞かれましたか?
志望動機や前職での業務内容、あと「この業界で働いていて嫌だったことはあるか」っていうことを聞かれました。
「ないです!」ってきっぱり答えたら驚いてましたね。「え? ないの?」って。
大変だったことはあったけど、それを嫌だと感じたことはなかったんですよね。
ほかは心理テストの回答について掘り下げる内容が多かったです。
「こう回答してますけど、どういう意図で?」みたいな感じで淡々と。
ー面接時間はどれくらいでしたか?
1時間くらいだったかな。ほかに受けていた大手2社もそうでしたが、こういう業界は面接時間が結構長くて、能力よりも人間性をすごく重視している気がします。
ー面接時に気をつけていることはありますか?
面接の場でしか自分のことを知ってもらう機会がないので、多少長くなっても自分の気持ちをきちんとお話しさせてもらってます。
ある意味「私からも面接させてもらいますよ」くらいな気持ちです。
無理して会社が気に入りそうな人物像に取り繕っても、入ったあとで苦労するので。
ーそれくらいの意気込みでもいいと思います! 内定はどれくらいで出ましたか?
面接から2〜3日で出たと思います。
ーでは最後に、整体師としての転職活動についてアドバイスをお願いします。
面接や履歴書の志望動機で「御社で〜の技術を学びたい」とか「御社ならこういう成長ができそうだから」という理由にする人って多いと思うんです。
でも「私を雇ったらこんなメリットがありますよ」とか「私はこういう風に活躍できますよ」っていうところをアピールしたほうがいいんじゃないかなと。
新卒なら前者でもいいんですが、中途の場合は即戦力として求められることがほとんどなので「お前を一から育ててる余裕はないんだよ」って思われかねませんよね。
ー「自分は何をできるのか」をしっかり伝えるのは重要ですよね。本日はありがとうございました!
ジョブメドレーからのアドバイス
今回の面接対策について、ジョブメドレーのキャリアサポートに「良い点」「改善できそうな点」を聞いてみました。主なポイントは以下のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。
◎早めの出発はとても良いです!
今回のお話のように、面接当日は思わぬアクシデントも発生しがち。余裕を持って行動しましょう。
◎採用後に活躍するイメージをアピールできるのはGood!
面接は自分をアピールする絶好の機会。応募先が強みとしているところをふまえて、自身がどう活躍できるかをアピールしましょう