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密着した人
あん摩マッサージ指圧師 峯村 英裕さん(37)
東京都板橋区出身。整骨院勤務を経て、地元板橋区で訪問マッサージをおこなう「サンライズ指圧治療院」、マッサージサロン「Totalcaresalon LUNA」を夫婦で開業。高齢者を中心に、身体機能回復に向けたリハビリや拘縮予防のための施術に取り組む。
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【8:30】出勤
9時からの訪問に向け自宅兼事務所を出発します。時間どおりに患者宅に到着できるよう、普段は小回りのきくバイクで訪問しています。

板橋区は大きな団地を有していることもあり、都内でも比較的高齢化率の高いエリアです。病気によりマッサージが必要な子どもや若い患者さんもいますが、保険適用のマッサージを受ける高齢者の割合が高めです。

あまり多くは持ち歩かず、装備は身軽。タオルなどを使った手技をおこなうあん摩マッサージ指圧師もいますが、峯村さんは素手の手技で施術をおこないます。
【9:00】1件目の訪問
入院後の筋力低下があり、リハビリに取り組んでいる患者さん。書道会の会長として多忙な日々を過ごしています。

峯村さん「入院が長かったため、筋力が落ちてしまっていました。人は一日入院すると、約5%筋肉が落ちるといわれています。マッサージと運動療法で、回復に向けたリハビリをサポートしています」
継続的なマッサージの甲斐あって、前日は6,000歩あるいたそう。太もも裏の張りを伸ばし、脚の筋肉の緊張をやわらげます。
【10:00】2件目の訪問
2件目の患者さんは右半身麻痺と認知症があります。寝たきりによる拘縮を防ぐために、両脚を重点的にマッサージします。

体調の観察はもちろん、家族から前回訪問からの様子を聞きながら施術をおこないます。

また、この日はちょうど介護保険サービスを統括するケアマネジャーが訪問。気になることがないか話し合いました。保険診療の患者さんは介護サービスを利用している場合が多いため、ケアマネジャーをはじめとするほかの職種の人とも積極的に情報共有をします。
【11:00】介護事業所へ営業
訪問の合間をぬって介護事業所へ営業に向かいます。このときは刷新したパンフレットを持参しました。

リハビリなどでマッサージが必要な高齢者がいないか、医療保険のマッサージと介護保険両方を利用している患者さんの状況などをヒアリングして、今後できるケアを考えます。
【12:00】昼食

近隣を中心に訪問しているため普段は自宅で昼食をとることも多いですが、この日は区内の知人が営むラーメン屋へ。期間限定のメニューを堪能しました。
【13:00】3件目の訪問

3件目は認知症と筋力低下がみられる患者さん。会話のペースはその時々の調子に合わせつつ、不調や異常がないかの確認は欠かさずおこないます。

峯村さん「マッサージの速さは人によって違いますが、私の患者さんは高齢の方が多く、事故防止の観点からもゆっくりと施術するようにしています」
【15:30】この日最後の訪問
14時にも1件訪問したあと、この日最後の訪問へ。病気の治療ではなく自費でマッサージを受けている女性で、90歳(取材時)ながらジム通いなど運動に励んでいます。その分脚の張りや固さがあるため、ほぐすためのマッサージをおこないます。

【16:30】帰宅して事務作業
一日の訪問を終えたら、戻って事務作業をおこないます。医療保険の点数の申請や、患者さんの記録などをつけ、予約の連絡に対応します。

剣道部時代の自身の故障がきっかけであん摩マッサージ指圧師に興味を持った峯村さん。開業前に勤めていた整骨院で働くうちに、来院するのが難しい患者さんがいることに気づきました。
峯村さん「故障をして、病院で手技で治したり、トレーニングをしたりする様子を目の当たりにして、この仕事おもしろそうだなと。手を使う仕事なので、良くも悪くも全部自分に返ってくる。ウソがつけない仕事だし、ダイレクトに反応がわかるのが醍醐味ですね」

峯村さん「患者さんを待っているのではなく、来たくても来られない方に対して何かを提供したいです。どちらかというと『困っている方』に寄り添いたい、最期までケアしたいという気持ちでいます」
一日ありがとうございました!
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