1. あん摩マッサージ指圧師の仕事内容は?
2. そもそも「あん摩」って何?
3. あん摩マッサージ指圧師の施術内容
4. あん摩マッサージ指圧師の資格について
5. あん摩マッサージ指圧師になるためには
6. あん摩マッサージ指圧師の国家試験と合格率
7. あん摩マッサージ指圧師の仕事先はどんなところ?
8. 気になる!あん摩マッサージ指圧師のお給料
9. 最後に
1. あん摩マッサージ指圧師の仕事内容は?
「あん摩マッサージ指圧師」とは、あん摩、マッサージ、指圧の技術を用いて患者さんの身体に起こる変調を緩和する仕事です。施術の特徴としては、東洋医学の知識を基礎として器具を使用せず、問診や検査法で患者さんの身体の不調の原因を特定し「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの動作を直接患者さんの身体におこなうことで血行を改善し、不調を和らげます。
あん摩マッサージ指圧師はほかの医療職とは異なり、禁忌症、脱臼、骨折の症状を除いた個人の身体の不調に対して、医師の指示や判断なしに患者さんに治療を施すことができます。
2. そもそも「あん摩」って何?
「あん摩」とは、古来中国より日本に伝わった治療法です。中国最古の医学書で東洋医学の基本書でもある「黄帝内経」に伝わる手法をもとにしており、5世紀から6世紀の間に中国から日本に渡来したと言われています。あん摩は漢字で「按摩(あんま)」と書きますが、「按」は「押さえる」、「摩」は「なでる」を意味します。
日本においてあん摩が一般的になったのは江戸時代に入ってからであり、この頃から「按摩」を基礎とした、日本独自のあん摩の手法が体系化されてきました。あん摩マッサージ指圧師はなでる、押す、揉む、叩くなど手を使ったあん摩手技を通して、人間が本来持つ「ホメオスタシス(恒常性)」に働きかけ、身体を健康な状態に導きます。
3. あん摩マッサージ指圧師の施術内容
あん摩マッサージ指圧師は、あん摩だけでなく、患者さんの身体の変調を考慮しながら同時にマッサージと指圧も施術します。日本では明治維新後、医療現場においてドイツ医学を基礎とした治療方法の1つとしてマッサージが普及しました。あん摩とマッサージは、どちらも病気の予防や治療、健康維持促進を目的としている点が共通しています。
これらの違いとしては、あん摩が衣類の上から遠心性の施行を用いるのに対して、マッサージでは直接皮膚に触れて求心性の施行をおこなう点になります。また、指圧はあん摩、導引そして柔道の手技を取り入れた1点に圧を加える特殊な技法で、大正時代にアメリカの生体技術の理論とその手法をもとに体系化されました。
4. あん摩マッサージ指圧師の資格について
あん摩マッサージ指圧師は医師や看護師と同じように人体を扱う職業として「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」(昭和22年法律217号)第2条第1項の規定によって定められた医療系の国家資格です。
あん摩マッサージ指圧師は「業務独占資格」であり、あん摩マッサージ指圧師の資格を持たずに勝手にあん摩マッサージ指圧師と名乗り、あん摩、マッサージ、指圧を用いた治療を患者に施すことは法律で禁止されています。あん摩マッサージ指圧師と似た職業として、手技などで身体の不調を緩和させる「整体師」や「セラピスト」がありますが、これらの職種は国家資格を必要としません。
5. あん摩マッサージ指圧師になるためには
あん摩マッサージ指圧師になるためには、まず高校卒業後に文部科学大臣もしくは厚生労働省大臣が認定する専門学校または短大、大学などの学校・養成施設で3年以上勉強しなければなりません。
これらの養成学校では、あん摩マッサージ指圧師になるために必要な専門科目を集中的に学び、また実習を通してその技術も体得していきます。厚生労働省によると、あん摩マッサージ指圧師の学校・養成施設は全国で25校ほどしかありません。よって、各校に定員数が設けられていることを考慮すると、入学試験の倍率が高くなる傾向が予測されます。
あん摩マッサージ指圧師養成校には、はり師ときゅう師の受験資格を同時に取得できるカリキュラムを提供している学校もあり、これらの学校に入学した人はあん摩マッサージ指圧師のほかにはり師ときゅう師の国家資格を同時に取得することが多いです。これらあん摩マッサージ指圧師と合わせてはり師ときゅう師3つの資格を持つ人は「針灸マッサージ師」もしくは「三療師」と呼ばれています。
6. あん摩マッサージ指圧師の国家試験と合格率
養成校で勉強したあとは、厚生労働大臣指定試験登録機関である東洋療法研修試験財団が実施するあん摩マッサージ指圧師の国家試験を受験します。この試験は毎年2月におこなわれ、同年の3月に養成校を卒業予定の人も卒業見込みで受験が可能です。
試験内容は医学概論を始めとする、臨床医学総論、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、あん摩マッサージ指圧理論、東洋医学概論・経路経穴概論そして東洋医学臨床論の12科目で構成されており、実技はなく筆記試験がメインになります。
2024年2月24日に実施された「第32回あん摩マッサージ指圧師国家試験」の合格基準は、160点満点中96点以上が合格となりました。
合格発表:2024年3月26日(火)
受験者数:1,109人
合格者数:932人
合格率:84.0%
7. あん摩マッサージ指圧師の仕事先はどんなところ?
あん摩マッサージ指圧師が国家資格取得後に活躍できる職場として一番多いのが個人などの経営する治療院などの施術所となっています。厚生労働省が2年ごとに発行する「衛生行政報告書」によると、あん摩マッサージ指圧のみをおこなう施術所は10年前と比べると全体的に減少傾向にあるものの、あん摩マッサージ指圧に加え鍼灸を施術する施設は増加傾向にあります。
国家資格取得後に施術所での就職を考えている人はあん摩マッサージ指圧師と同時にはり師およびきゅう師の国家資格を取得することを視野に入れるといいでしょう。これら施術所のほかにあん摩マッサージ指圧師の就業先として病院、介護施設またスポーツ施設があげられます。
とくに福祉の分野では、あん摩マッサージ指圧師の需要が増えており、訪問マッサージサービスでその役割が期待されています。あん摩マッサージ指圧師として5年の実務経験を積むとケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格を取得することができるので医療と福祉分野にまたがって活躍することができます。また、何年かでの施術所や施設勤務を経た後に開業して自分のクリニックを開く人もいます。
8. 気になる!あん摩マッサージ指圧師のお給料
ジョブメドレーに掲載されている求人からあん摩マッサージ指圧師の賃金相場を算出しました(2023年11月時点)。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。
下限平均 |
上限平均 |
総平均 |
|
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 |
1,234円 |
1,640円 |
1,437円 |
正職員の月給 |
24万754円 |
36万7,645円 |
30万4,200円 |
正職員の年収* |
337万553円 |
514万7,036円 |
425万8,795円 |
9. 最後に
身体に不調をかかえながら生活を続けることは、心身面に大きな負担がかかります。あん摩マッサージ指圧師の仕事の魅力は、自分の手1つで多くの患者さんを身体の不調から解放できるところです。
また、あん摩マッサージ指圧師は国家資格として認められた専門職なので、働きながら専門性を高めることで将来的に独立開業を目指すこともでき、体調管理さえしっかりしていれば一生現役で活躍することもできる職業です。
「一生もののスキルを手に入れたい!」「体調不良の患者さんを自分の手で治したい!」という意欲のある人は、あん摩マッサージ指圧師にぜひ挑戦してみてください。また、ジョブメドレーではあん摩マッサージ指圧師の求人を多数ご用意しています。就職・転職をお考えの方はぜひ一度ご覧ください!
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