1.面接で休職理由を伝えるべき?
休職とは、会社に籍を置きながら長期的に休むことをいいます。休職の理由は業務外の病気やケガ、留学やボランティアなどの自己都合、会社の指示による出向などがあります。
転職活動においては、過去や現在の休職状況を伝えることが推奨されます。「休職の経歴は採用に不利なのでは?」と不安を抱える人もいると思いますが、以下の3つの理由から履歴書や職務経歴書に休職していた事実と理由を記載し、面接でも状況を正確に伝えるよう心がけましょう。
1.休職期間はいずれわかる
面接過程で応募者の過去の勤務状況や人物像を調査(リファレンスチェック)する企業も存在します。また、源泉徴収票や住民税の納税額、傷病手当の受給歴など公的な文書を通じて休職が判明することも珍しくありません。
2.信頼を損なうリスクがある
休職を含めた職歴を正確に伝えることは、企業との信頼関係の基盤となります。一方、隠し続けると、その事実が後に発覚した際に信頼を損なうリスクが伴います。
3.伝えることがポジティブに働くこともある
休職の事実を伝える際、その期間中に得た学びや経験を強調することでポジティブな印象を与えることもできます。これにより、企業は応募者の意欲や適応力を評価する可能性があります。
2.休職理由と伝え方の例

面接で過去の休職理由を聞かれたらどのように答えればよいのでしょう。ここでは医療・福祉職の面接を例に、休職の事例と職種別の伝え方の例を紹介します。
傷病休職
傷病休職とは、病気やケガで働くことが困難となり、療養するための制度です。休職・復職にあたっては医師が発行する診断書の提出が必要となります。
(看護師の伝え方)
前職の病院では、慢性的な人手不足が原因で長時間労働と休日出勤が求められていました。その結果、心身に不調をきたし、最終的にはうつ病との診断を受けました。
3ヶ月の休職を経て復職したものの労働環境の改善が見られなかったこと、また主治医の勧めもあり転職を決意しました。
この経験は私にとって、健康管理の重要性や働く環境の大切さを再認識させるものとなりました。今後はこの経験を糧に、自分の健康を守りながらも患者さんのケアに尽力したいと思います。
事故欠勤休職
事故欠勤休職とは、業務外の事故や刑事事件(逮捕・拘留を含む)により、長期間にわたり欠勤する場合の休職です。
(介護職の伝え方)
スノーボードで肋骨を骨折してしまい、長い間仕事を離れる必要がありました。その期間はリハビリをする傍ら、介護技術の学び直しもおこないました。
これからは、利用者さんの安全管理を徹底することはもちろんのこと、事故を防ぐための取り組みをしていきたいと思っています。
自己都合休職
自己都合休職とは、従業員が自らの希望や都合により、一時的に職務を離れることを指します。理由としては、健康問題、家族の介護、子育て、海外渡航、ボランティア活動などさまざまな事情が考えられます。
(保育士の伝え方)
尊敬する人がアフリカの教育支援に関わっていることを知り、私も同じような活動に携わりたいと長らく考えていました。そのとき所属していた保育園の園長からの後押しもあり、3ヶ月間の休職を取得し、アフリカで音楽と算数の教育支援ボランティアに参加しました。
子どもたちが学ぶ喜びを間近で体感することができ、異文化の中でのコミュニケーション能力が磨かれました。この経験を通じて、子どもたち一人ひとりに寄り添い、サポートする大切さを改めて感じとることができました。
出向休職
出向休職とは、労働者がほかの組織や企業に一時的に派遣される形で業務をおこなう場合に取られる休職です。出向先での業務終了後は元の職場に復帰することが一般的です。また、出向先で得た経験はのちに転職活動に有利に働くことが期待されます。
(美容師の伝え方)
美容の技術や知識をさらに深めるため、前職の提携先である海外のサロンに出向して研修を受けていました。新しい技術やトレンドを学び、日本のサロンにも取り入れたいと強く感じました。
その経験を生かし、お客さまに最新の技術とトレンドを提供していきたいと考えています。
留学休職
留学休職とは、復職を前提として一時的に会社を休み、海外で学ぶ制度を指します。留学の経験は帰国後のキャリアアップだけでなく、転職活動においても大きなメリットとなります。
(看護師の例)
国際的に活躍できる看護師を目指し、最先端の医療や看護を学ぶために1年間アメリカに留学しました。英語を中心に医療用語を習得し、多様な文化背景を持つ患者さまと接するコミュニケーションスキルを高めました。
留学を通じて培ったコミュニケーション能力を生かし、患者さまやそのご家族との信頼関係を深めながら、質の高いケアを提供したいと思います。
3.休職理由のQ&A
Q.休職の主な理由は何ですか?
A.多くの場合、健康上の問題が挙げられます。業務以外のケガや病気、例えば休暇中のスポーツでの骨折や風邪をこじらせての肺炎などです。また、業務に起因する精神的な負荷からくる精神疾患も休職理由となる場合があります
Q.休職していた理由をどのように伝えるべきですか?
A.企業によって違いがありますが、可能であれば応募時の職務経歴書に休職していた旨と休職理由を書いて伝えるとよいでしょう。面接で聞かれた場合はいつ、どんな理由で休職したか、また休職期間中に得た学びや経験を強調することでポジティブな印象を与えることができます。
Q.休職すると何ヶ月でクビになる?
A.仕事が原因の病気(労災)で休業する場合、労働基準法により原則として療養のために休業する期間およびその後30日間の解雇が禁止されています。一方、病気の原因が仕事以外の場合、解雇の条件は労働契約、労使協定によって異なります。
Q.病気で休職するにはどうしたらいいですか?
A.休職制度は会社によって異なります。一般的な手続きは以下の流れです。
1.就業規則や労使協定を確認し、休暇制度の内容、休職期間、申請方法を理解する
2.医療機関で診断を受け、医師の診断書をもらう
3.上司や人事部門に相談し、診断書を提出して休職を申請する