ホスピス型住宅「ReHOPE」とは
ホスピス型住宅「ReHOPE(リホープ)」は、神経難病やがん末期の人のための住宅です。従来の訪問看護では患者のニーズに応えきれないという創業者の思いから、自宅以上の安心感と病院以上の自由度の高さを追求し、2017年よりサービスを開始しました。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に、訪問看護・介護事業所を併設しているため、24時間365日体制で必要なケアを提供でき、医療依存度の高い方でも安心して過ごすことができます。
ReHOPEを運営するのは、株式会社シーユーシー・ホスピス。創業7年目と若い会社でありながら、施設数は北海道から大阪まで約30ヶ所に上ります。今回はその中から、神奈川県伊勢原市にある「ReHOPE 伊勢原」を訪れました。


話を聞いた人
吉田 圭吾さん(看護師)
新卒からシステムエンジニアとして4年間働いたあと、看護学校へ入学し免許を取得。病院の循環器科と脳外科で8年間経験を積んだあと、2020年11月にシーユーシー・ホスピスへ入社、ReHOPE 伊勢原に配属される。
西川 彩花さん(看護管理者)
看護学校を卒業後、3つの病院で消化器外科やストーマ外来、小児外科、GHCUなどを経験したのち、2020年12月にシーユーシー・ホスピスに入社。看護介護支援チームとして全国にあるReHOPEの新規開設やサポートに奔走する。2023年3月にReHOPE 伊勢原へ配属、同年5月に看護管理者に就任する。
病院での違和感から、異なる環境への挑戦

急性期病院で経験を積んだあと、ReHOPEへ転職した吉田さん。終末期医療に携わることになったきっかけを聞きました。

以前は「急変対応ができること」が理想の看護師像だと思っていました。循環器科や脳外科で経験を積み、実際にできることも増えましたが、徐々に違和感も覚えるようになったんですよね。

違和感?

患者さんが退院するときに「お世話になりました」と挨拶に来てくれることがありますよね? そのとき、その患者さんのCTやMRの画像は浮かぶし、疾患名は覚えているけど、名前や顔が出てこなかったんです。

その経験、私にもあります。患者さんよりも、“疾患をみている”という感覚ですよね。

そうなんですよね……。異常の早期発見を第一に働いてきましたが、次第にそのやり方に疑問を感じるようになり、違う環境に行ってみたいと思うようになりました。
施設への転職を考えていたとき、先に転職していた先輩がたまたまReHOPEで看護管理者をやっていたので、話を聞かせてもらったんです。それでReHOPEでなら自分が抱いていた違和感を解消できるかもしれないと思い、転職を決めました。
正解のない「生きる」を支える

「疾患ではなく、もっと人と向き合いたい」という理由で転職した吉田さん。実際にReHOPEで働いた印象と、病院との違いについて聞きました。

病院の場合、病気の回復度がものさしになるので、評価もしやすいです。でも、ホスピスでは最期を迎えようとしている人にどう寄り添い、どう声をかければいいのかは、正解がありません。
不安や恐怖を感じている入居者さまに対して、どう対応すべきか模索することは多く、難しいです。ただそれだけ、学ぶことも多いですね。

その方の価値観をどう支えるか、“生きる”をどう支えるかが問われますよね。例えば、同じALSの方でも、延命治療を希望される方もいれば、されない方もいます。
昨日はAと言っていたけれど、今日になったらBがいいということだってある。死を前にしたら迷って当然です。だからこちらの受け皿をいかに大きくしておけるかが重要なんだと思います。

そう思います。また、病院と違うと思ったのは、ここでは亡くなることをあまりネガティブには捉えないところじゃないですか?

たしかに、ホスピスと聞くと暗い印象を抱く人もいるかもしれませんが、そうじゃないですよね。
もちろん亡くなられることは悲しい。ただ、病院で最期を迎える方の多くは、必死に治療した結果“救えなかった人”なんですよね。だけど、ここでは緩和ケアをしたりレクでカラオケしたりして、“その時”が来ることを見据えながら、限りある日々を過ごします。


自分たちスタッフの関わりによってその方の生活の質が大きく変わるので、疾患ばかり見ていた病院時代とは本当に意識が変わったと思います。
大切なのは、一日一日をいかに苦痛なく、その方らしく過ごせるか。身体をあたたかいタオルで丁寧に拭いて気持ちよく過ごしていただくとか、好きな食べ物を我慢しないで食べていただくとか、そういったことを大切にするようになりました。

病院だと誤嚥の恐れがあり禁止されていた食べ物でも、ここではご本人やご家族の希望があれば、リスクを検討したうえで、できる限りそれを叶えようとしますね。みんなで知恵をしぼって、安全に食べられるよう工夫します。


また、病院のように常に先生がいるわけではないので、自分たちがしっかりしなきゃいけないという意識も自然と高まる気がします。

伊勢原の場合は下のフロアが提携先のクリニックなので、緊急時にすぐ先生に来てもらえる安心感があるとはいえ、やっぱり看護師の「先を見る目」が問われますよね。
往診は基本週1回だから、この1週間で起こりうる可能性を考えて、必要に応じてすぐ対処できるよう、あらかじめ許可を取っておくとかね。そのために日ごろから情報をキャッチする力が鍛えられると思います。
職種や役職に関係なく、それぞれの得意で助け合う

ReHOPEの特徴は、有料老人ホームに訪問看護と訪問介護の機能が併設されている点です。訪問看護でおこなう業務内容や、他職種との関わり方はどうなっているのでしょうか。

日勤の基本的なスケジュールはこのような感じで、1回あたりの訪問時間は約30分、訪問時間内にカルテ作成までおこないます。


職種による役割に、あえて明確な線引きをしないところもReHOPEの特徴だと思いました。看護師も必要があれば排泄介助や清拭に入りますし、車いすを押して一緒に散歩に出かけたり、話を聞きながらマッサージしたりもしますよね。

もちろん日常生活の支援は介護職さんをメインにやっていただくけれど、人間の生活なので、決められた制度や時間の中だけではうまくはまらないこともあります。そういうときは担当や職種を越えてみんなで柔軟に対応していますね。

看護師同士の関係も、すごくフラットですよね。病院の場合だとトップに看護師長がいて、役職や経験年数によるヒエラルキーがありますが、ここではそういった上下関係がほとんどない。それぞれが自分の得意分野で率先して動いて、逆に苦手な部分は周りを頼りながらやっていく。
私はストーマの経験がなかったので、(ストーマ外来の経験が豊富な)西川さんにはすごく助けてもらいましたし。

得意といえば、吉田さんはITスキルを活かして大活躍していますよね。


まったく看護師の仕事ではないですが(笑)。でもそれも「システムのここを改良すると便利になると思うんですが」「じゃあやってみて」と二つ返事でOKしてもらえたおかげです。

秀でたスキルを持った人が一人いても、チームプレーができないと看護は成り立ちませんから。みんなで得意を持ち寄って支え合いながら、チームでやっていくことのほうが大切だと思います。

同感です。看護技術や知識よりもまず大切なのは、入居者さまのことを考えて動けることではないでしょうか。
基本的なところですけど、ちゃんと目線を合わせて話すとか、相手の話をじっくり聞くとか、そういったことができることのほうが大事だと思います。

そうですね。ただもちろん会社としても、新しく入社した人や今いる社員のスキルアップのために、研修などの社内制度の拡充は進めてくれているので、この点も知っておいてほしいですね。

入居者の願いを叶えるために、できる方法を考える
生活の場であるReHOPEでは、日々さまざまなエピソードが生まれます。業務を通じて思い出に残っている出来事をひとつ紹介してもらいました。

最近だとやっぱりあれじゃないですか? 結婚式。

そうですね。つい先日、娘さんが入籍された入居者さまの話です。入居者さまも式に参列される予定でしたが、挙式日の1ヶ月ほど前に体調を崩し、出席できるか怪しくなってしまったんですね。もしまた体調が悪化し参列できなかったら、ご本人もご家族もやりきれないだろうと……。
それで、私たちにできることは何かないかと考えたとき、ちょうどReHOPEのWebサイトのリニューアルのためにフォトグラファーが撮影しに来る予定があったので、結婚式の前撮りを施設内で一緒におこなう提案をしたんです。


すごく喜んでいただけましたよね。

良かったですよね。幸い、体調も回復されて、式当日も参列できたそうですし。より良い笑顔で家族写真を撮れたと報告をもらいました。
会社とともに、自分たちも成長していく
最後に、お二人の今後の目標を教えてもらいました。

実はいろいろと迷っていて、絞りきれていないんですけど……まずは「人としっかり向き合う」ことができる環境に来たので、そこをもっと突き詰めていくこと。また別軸としては、先程お話ししたような業務改善を進めていくことも考えています。
自分のキャリアアップと会社への貢献、そして入居者さまのためにできることのバランスを考えて、今後も試行錯誤していきたいです。

まだ創業から日が浅い会社ですが、最近はとくに急成長していて、事業としてのフェーズが変わってきています。組織の成長に合わせて発生する新たな課題にも向き合いながら、自分の理想とする看護を求めて、たくさん挑戦していきたいですね。
人事部からのメッセージ
株式会社シーユーシー・ホスピスでは『「前を向いて生きる」を支える。』をミッションにどんな“生きる”にも向き合い、「希望が生き交う生活の場」を日本へ、世界へ広げる未来を描いています。 ご入居者さまと大切な方の「かけがえのない人生の時間」を最大限に活かすために、一緒に働いてくれる方を募集しています。
これまで看護・介護をするなかで、十分な寄り添いができずに悔しい思いをしたことがある方、ご入居者さまやご家族に最期まで寄り添い続けたいという考えをお持ちの方。ぜひ、私たちと一緒に「前を向いて生きる」を支えていきましょう。ご応募お待ちしております!
数字で見る「ReHOPE」

現在シーユーシー・ホスピスでは病院、有料老人ホームを筆頭にさまざまな施設形態の経験者が集まり、20代から60代までの幅広い世代のスタッフが活躍しています。また、業務効率化の推進などにより、残業時間は業界平均(8.2時間/月)よりも短くなっています。
急成長中の会社として新規事業所の開設が相次いでいるため、お住まいのエリアにも展開しているかもしれません。ReHOPEの事業やミッションに共感された方は、ぜひ一度求人をチェックしてみてください。