小澤慎一朗

NSC(吉本総合芸能学院)東京校13期の同期として出会った伊地知大樹とお笑いコンビ「ピスタチオ」を結成。独自のトーンで繰り広げる白目漫才でブレイク。2022年5月31日をもってコンビを解散。芸人としての活動を辞め、児童福祉関係の資格取得を目指すことを発表。2021年4月15日に第1子が誕生し溺愛している。
芸人を辞めて放デイでアルバイト

──元相方の伊地知さんはピン芸人として活動を続け、小澤さんは児童福祉関係のお仕事をすると伺っています。なぜその道へ進もうと思ったのでしょうか。
小澤慎一朗さん:本当に純粋に子どもが好きで、2021年10月から放課後等デイサービス*(以下、放デイ)でアルバイトをしています。
仲の良いNSCの同期が芸人を辞めて放デイの管理者をしているんですけど、ある日Instagramで保育士を募集していたんです。漠然と保育士になりたいと思っていたんで相談したら、一日体験させてもらうことになって。見学がてら子どもたちと遊んだり、コミュニケーションを取ったりしました。それでそのまま働くことになったんです。
──障がい児のために何かをしようと思ったわけではなく、たまたま身近に放デイの働き口があったんですね。
そうです。子どもが好きだから子どもに携わる仕事がしたかった。飛び込んだ先がたまたま放デイで、障がいのある子どもたちと関わりが持てているという。
正直言うと、初めは障がいのある子どもたちにビビっていました。これまで接する機会がなかったし、「コミュニケーションは取れるのか? もしかして大暴れしちゃうんじゃないか?」とか心配だった。
でもそんなの杞憂でした。みんなすごくかわいい。触れ合ってみたら、「障がいっていうけど障がいって何だろう?」って感じています。

──放デイではどんな仕事をしているんですか?
子どもたちの学校が終わったら迎えに行って、宿題をやらせたり運動レクリエーションをしたり、あと制作とか野外活動とか。あとオヤツを食べて自由遊びをしてという感じです。
子どもが遊ぼうって寄って来ても、手が塞がっていたら遊べないことを丁寧に説明したり、気持ちの切り替えをサポートしたりしています。
そういった仕事をしながら保育士の資格を取るための勉強をしています。
──やりがいを感じる瞬間はありますか?
子どもたちに「小澤先生優しいね」って言われたり、送迎で「小澤先生の車だ、やったー」って言われたりすると嬉しいですね。ただ優しい人って思われてるだけというか、舐められている気もしてちょっと悩ましいんですけど(笑)。
子どもたちって、接してくる人を見極めてる感じがするんです。一時期悩んだのは、ある子がランドセルとかその辺に放って置いちゃってて、「片付けなさい」って言っても「やだやだ」って言うことを聞いてくれなくて。でもほかの先生が言うとパッとやる。
どうしてだろうってすごく考えたけど、先生によって気持ちの切り替えができているなら良いのかなと思えてきて。それでもある日、僕が言ったらパッと片付けてくれたんです。成長を感じられて嬉しかったです。
「芸人を続けてもなあなあになる」

──先ほど保育士資格の取得を目指していると聞きました。それって芸人を続けながらでもできたんじゃないかと思うのですが。そもそもなぜコンビを解散したんですか?
コロナの影響と、家族ができたということですね。このままの収入じゃダメだって思ったんです。あと、ほかの芸人さんみたいにSNSやYouTubeを頑張ったり行動できなかった。芸人という職業に向いていないな、続けてもなあなあになると思って解散を申し出たんです。
──伊地知さんに解散の話をしたとき、引き止められませんでしたか?
「それって気持ちの問題だから、待つよ」って言ってくれたんですけど、「これはもう決めたことなんで」と伝えました。初めて話したのは2021年9月あたりです。
──芸人としての活動は辞めたものの、吉本興業には所属しているんですね。それはなぜでしょうか。
本当は吉本も辞めようかとも思ったんですけど、いろんな人に「所属していれば障がいや保育について発信する立場になれるし、吉本興業として協力できることもある。だから辞めなくてもいいんじゃないか」ってアドバイスを頂いたんです。それもそうだなって。
例えば放デイの子たちを集めてお笑いライブを見に行く企画を立てたら、出演してくれる芸人さんがいるかもしれない。吉本に所属していれば、子どもたちがたくさん笑ってくれる環境を整えやすいんじゃないか。
「劇場でネタやらないなら残る意味がない」っていう考えの人もいると思うんです。それでも、みんなに協力してもらえたらと思って残っています。
目指すはカリスマ保育士てぃ先生

──今後の活動について伺います。保育士の資格取得に向けてどう動いていく予定ですか?
少しずつ勉強を始めていて、今後のことはまだちょっと迷っているところです。夜間学校に通おうか、リモートで勉強していこうか。
──2021年10月から放デイで働いているとすると、受験資格を得られるのは2023年ですね。
放デイで働いて子どもたちと触れ合いながら児童指導員の資格も取りたいと思っています。
──どんな保育士になりたいですか? 理想像があれば教えてください。
カリスマ保育士のてぃ先生っているじゃないですか。あの方のような活動ができたらいいなとは思います。今の僕が発信しても説得力がないので、資格を取って経験を積んで、保育や障がい者教育に関して説得力を持って発信していきたいです。