目次
1.「ご教示」と「ご教授」 の意味の違いは?
「ご教示」と「ご教授」は、どちらも教えを乞うときに使う言葉ですが、場面によって使い分ける必要があります。
基本的に「ご教示」は一般的な知識や情報を知りたい場合に、「ご教授」は学問や技術的な指導を受けたい場合に使用する書き言葉です。口頭の場合は「お聞かせ願えますか」や「ご指導いただけないでしょうか」などを使います。
ここからは、それぞれの詳しい意味や、具体的な使い方を紹介します。
ご教示の意味
「教示」とは、日時や手順などの情報を教えて示すことを意味する言葉です。ビジネスシーンでは、相手がすぐに答えられる内容を尋ねるときに使用します。
例:お打ち合わせに関しまして、ご都合のよい日程をご教示いただけますでしょうか
ご教授の意味
「教授」とは、学術的な知識や専門技術を教えて授けることを意味する言葉です。ビジネスシーンでは、主に専門家や目上の人に対して、ある程度の期間をかけて専門的な指導を求めるときに使用します。
例:データ分析の詳細について、ご教授くださいますようお願い申し上げます。
「ご教示」と「ご教授」の使い分け方
「ご教示」と「ご教授」は相手に求める内容や、相手にかかる負担の大きさによって使い分けます。
ご教示 |
ご教授 |
|
---|---|---|
相手にしてほしいこと |
日時や手順などの 情報の提供 |
学術的・専門的な指導 |
相手にかかる負担・時間 |
小さい |
大きい (継続的な指導が必要) |
2.シーン別「ご教示」と「ご教授」の使い方・例文
「ご教示」を使った例文
上司・取引先へのメールの例文
- 新しい機器の操作手順についてご教示いただければと思います
- 似た症例をご存じであれば、ご教示いただけますと幸いです
- 明日貴院へ伺いますので、入館方法をご教示いただけますでしょうか
申し送りや引き継ぎ文書の例文
- シフトの申請についてわからない点があるので、明日出勤された際にご教示いただけますでしょうか
- 持病の貧血に関しては、内服薬を継続中です。夕方から落ち着きがなく帰宅願望がみられました。その他お気づきの点があればご教示ください
- 来月の研修内容について、詳細をご教示いただけますと幸いです
就職希望先へのメールの例文
- 履歴書の送付に関しまして、提出方法に指定がございましたらご教示いただけますと幸いです
- 面接の当日に持参するものがございましたら、ご教示いただけますでしょうか
- 先日ご案内いただいたとおり、以下の条件で内定をお受けしたいと存じます。認識に相違がございましたらご教示ください
「ご教授」を使った例文
講師や先生へのメール例文
- 次回の研修会では、医療現場でのチームケアの実践方法について、ぜひご教授賜りたいと考えています
- IoTを活用されている貴施設の深い知見を、ぜひご教授ください
- 認知症ケアを専門としている先生にに、ぜひノウハウをご教授いただきたく存じます
恩師・先輩へ感謝を伝えるメール例文
- 先生のご指導のおかげで無事試験に合格することができました。今後ともご教授賜りますようお願い申し上げます
- 先生には長年にわたり介護技術をご教授いただき、心よりお礼申し上げます
3.仕事で使える「教えてください」の関連表現
「◯◯についてお教えください」の意味を持つ言葉は「ご教示」「ご教授」だけではありません。状況に応じて助言・評価・支援を求める表現があります。
|
表現方法/例文 |
---|---|
手順や方法を尋ねる場合 |
システムの設定手順について、ご教示いただけますでしょうか |
専門的な指導を求める場合 |
データ分析の手法について、ご教授賜りたく存じます |
意見や助言を求める場合 |
昨日作成したマニュアルについて、ご助言/アドバイスいただけますでしょうか |
行動に対する評価を求める場合 |
前回同行いただいた訪問について、フィードバックをいただけますと幸いです |
支援や協力を求める場合 |
新プロジェクトの準備について、お力添えを賜りたく存じます |
4.「ご教示」と「ご教授」に関するQ&A
Q.「ご教示」と「ご教授」は口頭でも使える?
A.「ご教示」と「ご教授」は書き言葉なので、話し言葉では使用しません。会話のなかで使う場合は「お聞かせ願えますか」や「ご指導いただけないでしょうか」などの表現が適切です。
ただし例外として、公の場やスピーチなどで、相手への敬意をより丁寧に表すために、あえて「ご教示」や「ご教授」が使われる場合もあります。
Q.「ご教示」と「ご教授」は失礼?
A.「ご教示」と「ご教授」は相手に敬意を表す丁寧な表現のため、失礼にはあたりません。ただし、後ろに「願います」や「ください」が続くと、一方的な要求や、命令的な印象を与える可能性があるため注意が必要です。
一方、後ろに「〜くださいますよう」や「〜賜りますよう」などを続けると、よりかしこまった印象を与えられます。
Q.「ご教授」「ご享受」との違いは?
A.「ご教授」と「ご享受」は、読みは同じですが意味がまったく異なります。享受とは「受け入れて自分のものにする」「恩恵に受け、それを堪能する」という意味で使われる言葉です。そのため「教えや指導を求める」意味では使用できません。
Q.「ご教示」と「ご教授」を英語で伝えるなら?
A.英語で「ご教示」を表現する場合、inform(伝える、教える)などを使用します。
例:Could you inform me of ~
訳:〜についてご教示ください
一方、教育や指導をお願いする「ご教授」を英語で表現する場合は、advice(助言)/instruction(指示)などが適しています。
例:I would appreciate it if you could give me advice/instruction on〜
訳:〜についてご教授いただけますと幸いです