学習塾や学習教材でおなじみの学研グループで高齢者福祉事業を担っている株式会社 学研ココファン。「一人でも多くの高齢者の方が安心して暮らし続けられるよう」という思いから、全国に158棟ものサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を展開しています(2021年6月1日現在)。
サ高住と言えば、入居者に介護が必要になったときは訪問介護事業所が提供する居宅サービスを個別に契約するのが基本です。しかし、ココファンのサ高住は2021年7月から特定施設入居者生活介護事業所(以下、特定施設)となることで、必要なサービスを施設サービスとして包括的に提供することができるようになります。
そこで今回は特定施設化によって入居者やスタッフにどんなメリットがあるのか、所長に直接話を聞くべくココファン日吉7丁目へと向かいました。さらに、求職者の方が気になるであろう選考のポイントに加え、サービス提供責任者や生活サポーターとして働く現役スタッフにココファンで働く理由についても聞いてみました。

1. ココファン日吉7丁目所長に聞く
話を聞いた人
事務所長 奥山さん
システムエンジニア(20代)、美容師(30代)を経て、40代で初めて介護の仕事を始めたという異色の経歴の持ち主。有料老人ホームに勤務したあと、2018年に「訪問介護も学びたい」とホームヘルパーとして学研ココファンに入社。現在はココファン日吉7丁目の所長を務める。経歴を活かして「ご入居者様の美容にも気を配り、QOL(生活の質)の向上にも力を入れたい」。
ココファンのサ高住の特色は?
──まず、ココファンが大切にしていることやサービスの特徴について教えてください。
ココファンのサ高住は家にいるのと変わらないように生活ができることに加え、地域との関わりを大切にしています。近くの保育園から子どもたちが遊びに来たり、スタッフが直々にクリスマス会などのイベントを企画したり、人とのふれあいを大切にしています。
一般的なサ高住はあくまで「住宅」なのでこういったイベントは少ないんですが、ココファンはイベントやレクリエーションを積極的におこなっていて、そこが一番の特色なんじゃないかと思います。
サ高住に入居されている方は自立から要介護5までとさまざまで、普段は外出されたりデイサービスに行かれたり、お一人おひとりがその方に合った住まい方をされています。
ココファンのサ高住のご入居者様の平均年齢は約84歳、平均介護度は要介護2となっていますが、中には認知症で外出が難しい方もいらっしゃいます。そういった方は一日中自室に引きこもってしまいがちなので、そういう方のためにもできるだけお部屋から出るきっかけを提供するようにしています。

特定施設化で何が変わる?
──この(2021年)7月から特定施設になることで、入居者にとってどんなメリットがあるのでしょうか?
これまでは訪問介護の居宅サービスとして提供していたので、利用した分だけ費用がかかっていました。例えば、排泄介助(オムツ交換)の回数を増やしたいと思うと、その分だけ費用も加算されてしまうわけで、中には利用限度額を超えてしまう方もいたんですね。
それがこれからは施設サービスとして提供するので、介護度別に費用が一定となるのでわかりやすく、必要なサービスを提供しやすくなります。ベッドや車椅子などの福祉用具についても、介護保険制度を使ってレンタルしていたものが施設のものとなります。
なので、介護度が重いほど、相対的に費用負担は軽くなりますね。
──それなら介護度が進んで必要なサービスが増えたときにも安心ですね。
そうですね。今まで以上に長く住み続けられる場所になると思います。
あとは看護師が常駐することも大きいですね。今までは(医療的なケアが)必要なときは介護保険を使って個人で訪問看護サービスを契約しなければならなかったのが、これからは常駐する看護師が日常的に健康管理をしてくれます。
ケアマネジャーについても、外部のケアマネではなく施設ケアマネがつくので、情報の共有や相談もしやすくなります。
──看護師やケアマネが施設内に常駐してくれると、スタッフも安心ですね。
そうですね、頼りやすくなりますね。ご家族以外の関係者は常に揃っていることになるので、連携や対応が格段にスムーズになると思います。
また、特定施設化に伴い外部の介護保険サービスが使えなくなり、これまで通っていたデイサービスをご利用いただけなくなるため、今後は学研オリジナルの脳活性プログラム『脳元気タイム』や柔道整復師によるリハビリ体操など、より専門性を高めたアクティビティを施設内で提供していきます。

選考で重視しているポイントは?
──そのほかにスタッフに対する影響はありますか?
これまでは訪問介護事業所の提供する居宅サービスだったので、そこで介護の仕事をするには資格が必要だったんですが、これからは施設サービスになるので資格が必要なくなるんですよね。もともと未経験の方でも資格があれば働けたんですが、これからは無資格でも大丈夫になります。
──それは大きな変化ですね。ちなみに、介護の仕事は離職率の高さが問題になることもありますが、ココファンの場合はどうでしょうか。
この施設はまだ新しいので長くて勤続4年程度になると思いますが、施設のオープン当初から働いているスタッフもいますよ。
──スタッフが長く働けるように気をつけていることはありますか?
残業も基本的にないですし、シフトの要望は選考時に確認しているので働き方に関するミスマッチはまずありませんね。入社後も定期的に面談をおこなって、ストレスに感じていることがあれば早期に発見して対処するようにしています。やる気さえあれば仕事は覚えられると思うので、あとは──“優しい人”がいいです(笑)。

──選考はどのような流れでおこなっているんでしょうか?
求人の応募があったらこちらから連絡をして面接日を決めますが、面接はその1回だけですね。履歴書は面接のときに持ってきてもらって、それを基にいろいろお話させていただいて、数日後に合否の連絡をするという流れです。
──面接時に施設の見学もできますか?
はい、面接の際に施設内も見学してもらいます。
──面接官は奥山さん1名ですか?
そうですね。ただ、施設内はほかのスタッフに案内してもらったり、現場の管理者と話す時間もなるべく設けたりしています。複数の目で見たほうがいいということもありますが、“素”を出してもらえるようにと。
──では、1回の面接でかなり時間をかけているんですね。
通常で1時間で、それ以上かかることもありますね。その人がどんな人か知りたいので、仕事以外のことも含めて話していただいたり。「ココファン日吉7丁目」のチームの輪に入れるかどうか、ということを見ています。
──「ココファン日吉7丁目」はどんなチームですか?
明るく楽しく元気よく(笑)。
とにかく経験や技術よりも、コミュニケーションができる方のほうがいいですね。ほかのスタッフに対してもそうですが、ご入居者様に対してもコミュニケーション力が重要です。サ高住は介護度の軽い方が多いので、一人ひとりとお話する時間も長くなりますし、ご入居者様がどんなことを求めているのかしっかり聴く力が重要です。
──最後に求職者に向けてメッセージがあればお願いします。
サ高住はご入居者様一人ひとり時間をかけて対応できますし、ココファンは特定施設になることで看護師やケアマネからのサポートも受けやすくなります。資格や経験がないという方もぜひ応募いただければと思います。
2. 意気込みもこだわりもない私がココファンで働き続ける理由 ─サ責 宮尾さん─
話を聞いた人
サービス提供責任者 宮尾さん
事務の仕事をしていたが、スノーボード好きが高じて冬は山でスノーボーダー、春から秋にかけては山を降りてフリーターという自由な生活を謳歌。その後、長野に移住するが、現在の夫との出会いがきっかけで8年前に横浜に引っ越し、学研ココファンに入社。何事も「とりあえずやってみる」のがモットー。
──現在の職種名や仕事内容についてお教えてください。
サービス提供責任者(以下、サ責)です。サ責としての仕事は事務作業が多いんですが、人手の足りない日には介護の仕事にも入ったり、臨機応変に対応してます。基本的に遅番が多くて、勤務時間は11時から夜の20時、21時ごろまでです。

──ココファンに入社するまでの経歴を簡単に教えてください。
私、結構決まってなくて、うろちょろしてたんですよ(笑)。
──うろちょろ、ですか?
最初は普通にOLをしてたんですが、その頃スノーボードがすごく流行っていて「山にこもりたい!」って思ったんですね。それでその仕事はとりあえず3年で辞めて、冬は山にこもって季節労働をして、春になったら山を降りてバイトを探して──っていう生活を5年くらいしてました。
それで長野がすごく好きになって、今度は「山を降りたところに住んでみよう」と。長野で一人暮らしを始めて、でも定職には就かず、求人を見て「これでいいや」っていう仕事をしてました。ドトールで働いたり、ラーメン屋さんで働いたり……、工場でライン作業をしたこともありますよ。自由に、好きなように、すごく楽しかったです。

──それで、介護の仕事を始められたのはいつだったんですか?
介護の仕事はココファンが初めてなんですけど、資格はココファンに入る前に取ってました。
長野にいたときに高齢者施設をよく見かけて、社会的にも「高齢化社会」って言われてるし「取っておくか」と。本当に「介護の仕事をしよう」っていう強い決心があったわけじゃなくて、そのときは資格も何もない人間だったので「取っておいたらなにか役に立つかな?」くらいの感じで、資格だけ取っておいたんです。
資格を取ってから6〜7年くらい経って、8年前にココファンに入るまで実務経験は一切なかったので、入社したときは「もうなにも覚えていない」みたいな状態で(笑)。
──資格を取得してから仕事を始めるまでにかなりブランクがあったんですね。
本当に車椅子の開き方・畳み方すら怪しいレベルだったので、「入ってみてダメだったら辞めよう」と思ってました。だって、やってみないとわからないじゃないですか。
例えば、排泄にしても公衆トイレで流してない便を見たら「わっ!」ってなってたので、もしかしたら仕事でもそうなるかもしれないと思ってたんです。でも実際そうはならなかった。やっぱりいつも接している方の便なので「いい便出ましたね」くらいの感じで。そういう現実を知って今日まで続いてます。
──ちなみに、長野から横浜へ引っ越したのには何か理由があったんですか?
長野で旦那と知り合って、最初は結婚する気もなかったので遠距離だったんですが、「こっちに来ないか」と言われたので「ダメだったら長野に帰ろう」と一緒に住み始めて、結局籍も入れたんですけど、それも「ダメだったら離婚しよう」という感じで。それが意外に続いています(笑)。
──何でも「やってみる精神」なんですね。
そうですね、すべてにおいて意気込みなしです!

──ココファンに入社した決め手は何だったんですか?
家から近かったからです! 徒歩で通えるところか車で通えるところで探していたら、近くにココファンを見つけて「とりあえず行ってみよう」と。それで面接して受かって……。
──それがかれこれ8年前なんですね。
そうなんですよ、これも意外に続いていて(笑)。
──8年間続けられた理由は何だと思いますか?
こういう仕事なので、毎日接しているうちにご入居者様に愛着が湧いてくるんですよ。
「私でなければできない」なんて言うつもりはないんですけど、1対1でご入居者様と接するのがやっぱり楽しいかな。もう本当にアホなこと言って「ひゃひゃひゃひゃー!」ってお腹の底から笑ったりすることもあれば、ご入居者様のことを知って「こうしてあげたいな」「ああしてあげたいな」ってできる範囲で考えたことをケアマネさんに伝えて、それが実現したときに「おおー! よかったねー!」ってなったりすることもあって、そういう気持ちかな。
「私がやりたくて」というより「私がやらないと困る人がいる」という感じですね。ご入居者様に対してもそうですし、一緒に働いている人に対してもそうですね。ご入居者様はかわいいし、一緒に働いている人も好きだし──人が好きなんでしょうね、きっと。まあ、基本的に“優しい”ってことです(笑)。


──先ほど、所長の奥山さんも「優しい人がいい」と言っていましたが、宮尾さん自身はどんな方と働きたいと思いますか?
すごくポジティブである必要はないんですが、ネガティブに考えない人ですね。「とにかくやってみる」って人がいいです。介護って一人ひとりやり方が違って、どれが必ず正しいということがないので、(たくさんのスタッフと働くうえでは)こだわりが強くないほうがいいのかなって思います。お互い楽しく働けるのが一番です。
──最後に特定施設化に対する意気込みを聞かせてもらえますか?
私が「特定施設になって一番うれしいな」って思ったのが、これまで「要介護○なら□□□□単位まで」っていう訪問介護の限度額があって、その範囲内だと必要なサービスを提供できないことがあったのが、特定施設になるとできるようになることですね。排泄の介助が必要な場合、単位が足りなくなった分は入浴の回数を減らさざるを得ない、ということもあったんですが、これからは必要な回数入れるのがうれしいです。
ただ元気な方もいるので、(そういう方は現在通っている)デイサービスに行けなくなるのが残念ですが、将来的に長く住める場所になったのでよかったなと思います。

3. ココファンに入って自分の可能性に気づいた ─生活サポート 近藤さん─
話を聞いた人
生活サポート 近藤さん
高校卒業後パン工場で機械のオペレーターとして10年間、大学の学食で3年間勤務したあと、2020年に友人の誘いで学研ココファンに入社。介護については無資格・未経験だったが、自主的に音楽健康指導士の資格を取得し、現在はレクリエーションの企画・運営を任せられている。11歳と8歳の2児の母。ココファンは「元気をもらえる場所」。
──現在の職種名や仕事内容について教えてください。
生活サポートというポジションになります。私は介護の資格を持っていないのでご入居者様の介護はできなくて。なので食事の配膳とか掃除とか、あとはレクリエーションを企画してご入居者様と一緒に楽しんだりとか、そういうことをしています。雇用形態はパートタイムになります。勤務時間は朝の7時半から13時ごろまでの早番でほぼ固定ですね。

──以前はパン工場で長く働いていたそうですが、辞めたきっかけは何だったんでしょうか?
1人目を妊娠したときに産休をもらって1年で復職したんですが、24時間365日稼働している工場だったので、社員なのに夜勤もできない立場になって肩身が狭い思いで……。産休を取ったのも私が初めてで、2人目を妊娠したタイミングで辞めました。そのあと子育てがひと段落してから、大学の食堂で3年働きました。
──パン工場に学食と、なにか栄養の勉強をされていたんですか?
あまりしてないんですけど(笑)。食べることが好きで、友人に誘われてココファンに入るまでは、飲食関係の仕事しか向いてないと思ってました。それまできちんとした接客もしたことがなかったんですけど、ココファンに入って「あっ、私って人と関わることが好きだったんだ」って思って、新たな発見でした。

──入社する前に介護の仕事に対する不安はありましたか?
ありましたね……。まず高齢の方と接する機会がなかったので、どういうふうに接したらいいのかわからなかったし、介護のことも全然わからなかったし……。でも、入ってみて間近でヘルパーさんのお仕事──寄り添ってお話ししているところとか、関係性全般を見て「すごくいい仕事だな」と思いました。
──「未経験だけど挑戦してみよう」という決め手になったのは何ですか?
ココファンで働いている友人からの紹介だったんですが、仕事の内容が「食事の配膳と掃除が主だよ」と聞いていたので「それだったら未経験でもできるかな」と思いました。最終的に見学で雰囲気も確かめて決めました。
──パン工場を辞めた理由が「子育てとの兼ね合い」や「休みにくさ」だったと思うのですが、その辺については入社前に相談しましたか?
はい、しました。家から近いですし、子どもが学校に行っている間に働けるので理想どおりでした。「もし資格を取得できたら勤務時間を延ばして働いてもいいな」っていう選択肢の幅があるのも魅力でした。子どもが少し自立する2年後とかには取れたらいいなと思いますね。

──ココファンで働いてよかったと思うことは何ですか?
スタッフの雰囲気がよくて、ここに来るとすごく元気をもらえることですかね。あと、五反田の本社でおこなわれる研修に行ったことがあるんですけど、パートという立場でもそういう大きな研修にも行かせてもらえるのがよかったですね。
──働いていて大変なことは何ですか?
資格がないので、ご入居者様が困っているときにすぐ対応できない場合があることですね……。経験と知識がないことでもどかしさがあります。(特定施設になる)7月からは無資格でも介護の仕事を少しずつできるようになるということなので、経験して勉強していきたいと思っています。
──やりがいについてはどうでしょうか?
ご入居者様の笑顔を見れたときにやりがいを感じます。私にとってはレクリエーションが大きいです。私は引っ込み思案で、本当は前に出て体操をしたりとかできないタイプなんですが、やってみたら意外と楽しくて(笑)。これまではレクリエーションも自主的にしていたんですが、(特定施設になる)7月からはデイサービスとしておこなうことになるので、身が引き締まります。

──レクリエーションで何をするか考えるのは大変じゃないですか?
今は検索するとなんでも出てくるので(笑)。介護士のYouTuberさんの動画を見て真似したりしてます。それから音楽健康指導士という資格を取って学んだことを取り入れたり。音楽健康指導士の資格を取ったのも「こういう資格があるよ」って教えてくれたベテランの先輩がいたからなんですが、ここだと自分のアイデアをやらせてもらえるし、自分がやりたいことを周りのヘルパーさんが見守ってくれる、応援してくれる感じがすごくいい。
──介護の世界に入って自分にいろんな可能性があることに気が付いたんですね。
本当にそうですね、ココファンに来てよかったです。

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特定施設化は入居者にもスタッフにもメリットがあるということ以上に、ココファンにはスタッフの入居者に対する「こうしてあげたい」という気持ちを大切にし、それを応援する風土があるということが印象に残りました。資格や経験がなくても「誰かのために役に立ちたい」という気持ちがあればきっと受け入れてくれるはず。このインタビューを読んで興味を持ったら、お近くの事業所に応募してみてはいかがでしょうか?
