目次
1.住民税の基礎知識
会社員などの給与所得者の場合、住民税は給与から自動で天引きされるため、納税について意識する機会は多くありません。しかし、転職した場合は、納付方法の変更・継続の手続きが必要です。うっかり滞納しないよう、あらかじめ確認しましょう。
住民税の決定方法
一般的に住民税は、各区市町村で定められた一律の税額が課される「均等割」と、所得や控除に応じて課される「所得割」の合計額で決まります。
住民税額は、前年の1月から12月までの所得から計算され、翌年の6月から翌々年の5月にかけて徴収されます。そのため、前年の所得が多いと退職後に納める住民税が高額になりかねないため注意が必要です。

住民税の納付方法
住民税の納付方法は大きく分けて、給与から天引きされる特別徴収と、納税通知書を使い自分で納付する普通徴収の2種類があります。
特別徴収とは
特別徴収は、6月から翌年5月にかけて毎月の給与から住民税を天引きし、本人に代わって会社が市区町村に納入する制度です。会社は、給与支給額が少ない場合などを除き、アルバイトを含む従業員すべてに対して特別徴収をおこなう義務があります。

普通徴収とは
普通徴収は、1年分の住民税を6月、8月、10月、1月の年4回に分けて自分で納付する方法です。自宅に納付書が届くため、銀行やコンビニ、市区町村の窓口などで納付します。また、口座振替や一括払いでの納付も可能なため、手間をかけたくない人や、納め忘れによる滞納が心配な人は、早めに手続きしておくことをおすすめします。
2.転職後の住民税の納め方
転職後の納付方法は、無職期間の有無によって異なります。退職時に転職先が決まっており、適切な手続きがおこなわれていれば特別徴収が継続されます。一方、退職後に1ヶ月以上就職しない場合や、転職先で手続きがおこなわれない場合は普通徴収に切り替わります。

3.転職先で特別徴収を継続する方法
転職先でも特別徴収を継続する場合、退職前の職場から「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を受け取りましょう。
書類を受け取り次第、転職先に提出し、労務担当者に「新しい勤務先」の情報を記入してもらいます。その後、転職先が書類を市区町村に提出することで、特別徴収が継続されます。なお、市区町村への書類の提出期限は、退職日翌月の10日までです。入社後は早めに書類を提出しましょう。
給与から住民税が天引きされるのはいつから?
転職先で特別徴収継続の手続きを正しくおこなった場合、転職先の給与から住民税が天引きされます。ただし、天引きが始まるタイミングは、書類が自治体に受理された日にちによるため、詳しくは転職先の労務担当者に確認してください。
ただし、特別徴収継続の手続きが正しくおこなわれなかった場合や、退職から1ヶ月以上の空白期間がある場合は、普通徴収に切り替わるため、次の6月までは自分で住民税を納付しなければなりません。
4.転職後に普通徴収に切り替える方法
転職先が決まっていない場合や、特別徴収に切り替える手続きをしなかった場合は、自動的に普通徴収に切り替わります。
また、年度途中で退職し、普通徴収に切り替える場合は、残りの住民税を別途納める必要があります。ただし、退職月によって納付方法が異なるため注意が必要です。
退職月が1月~5月の場合

この期間に退職する場合、本年度分の住民税は原則として前職の最後の給与から一括で天引きされます。5月に退職した場合は、5月分の住民税のみが天引きの対象となります。最後の給与が税額に満たない場合は、不足分を普通徴収で納付します。
退職月が6月〜12月の場合

この期間に退職する場合、退職の翌月分から普通徴収に切り替わります。退職前に以前の職場に相談することで、一括天引きでの納税も可能です。
5.退職・転職後の住民税に関するQ&A
Q.転職で引越した場合どこに支払う?
A.住民税の納税地は、1月1日時点で住民登録されている市区町村です。そのため引越しをしても、翌年までは旧住所の自治体に納税します。また、翌年1月1日までに住民票を移さない限り、納税地は旧住所の自治体となります。
Q.転職後に納付書が届かない……いつ届く?
A.1月〜5月末に退職して普通徴収に切り替えた場合、住民税の納付書は6月ごろに届きます。前職で本年度分の住民税が一括で天引きされているため、次の納付は6月からとなります。
一方、退職が6月〜12月末で普通徴収に切り替えた場合は、退職後すぐに翌月分の納付書が届きます。
Q.給与所得者異動届出書を発行すると前職に転職先を知られる?
A.給与所得者異動届出書の「新しい勤務先」の項目は、転職先の企業が記入します。記入された届出書は、そのまま転職先から市区町村に提出されるため、前の職場に転職先を知られることはありません。