
1.歩合制(ぶあいせい)とは
1-1.歩合制の定義
1-2.歩合制の種類
1-3.歩合制とインセンティブの違いは?
2.歩合制が採用されやすい業種(医療介護福祉)
3.歩合制による給与の決まり方
4.歩合制のメリット・デメリット
1.歩合制(ぶあいせい)とは
1-1.歩合制の定義
歩合制(ぶあいせい)は、個人の仕事の成果や実績に応じて給料が支払われる「成果報酬型」の制度です。歩合給制、歩合給制度とも呼びます。
一方、個人の仕事の成果や業績に関わらず、決まった給料が支払われる仕組みを「固定給制(こていきゅうせい)」と呼びます。固定給制には「時給制」「日給制」「週給制」「月給制」などがあります。
1-2.歩合制の種類
歩合制には「固定給+歩合制」と「完全歩合制(フルコミッション制)」があります。
「固定給+歩合制」は、必ず支払われる「固定給」と成果や実績によって変動する「歩合給」を組み合わたもので、一般的に営業職や販売職などに採用されることが多い給与システムです。
「完全歩合制(フルコミッション制)」は基本給が設定されていないため、成果を上げない限り収入はゼロになります。労働基準法の定めにより「固定給が一切ない」という意味での完全歩合制は「雇用をしている労働者」に対して適用することはできないため、個人事業主との間で「業務委託」という形式が取られます。
1-3.歩合制とインセンティブの違いは?
歩合制とインセンティブの違いは、歩合は「売上や成績によって支払われる給与」であり、インセンティブは「目標を達成すると与えられる報酬」であるという点です。しかしながら、実際のところは同じ意味合いで使われることが多いようです。
2.歩合制が採用されやすい業種(医療介護福祉)
医療介護福祉業界には「固定給+歩合制」の給与システムを採用している事業者も少なくありません。
とくに自由診療の歯科や歯科技工所、訪問介護・訪問リハビリ事業所、整骨院、鍼灸院などの分野は、診療技術とその評価、そして患者数や利用者数が診療報酬に直結します。
そのため、これらの業種は「固定給+歩合制」が採用されやすいと言えます。一方、看護師業務や、施設入所者に対する介護・リハビリ業務などには、診療報酬と結びつかない業務も多く含まれているため、歩合制での評価が難しくなります。
3.歩合制による給与の決まり方
医療介護福祉業界における歩合制では、患者さん1人あたりの治療でいくら、1回あたりの処置でいくら、というように給与が定められていることが多いです。
たとえば歯科医院などでは、治療内容によって保険点数が異なることから、1回あたりの処置・治療に対して「保険診療額の◯◯%」「自費診療額の◯◯%」というように給与が定められています。
また、訪問介護では「身体介護(1時間)1,600円」「生活援助(1時間)1,200円」というように、介護内容によって報酬が異なる場合があります。
歩合制の取り入れ方は、固定給に歩合給を上乗せする場合や最低保障給与額が定められている場合、完全歩合制など、事業者によってさまざまです。
4.歩合制のメリット・デメリット
■歩合制のメリット
歩合制のメリットは「仕事の成果が直接給与額に反映される」という点です。実力次第で短期間で高い賃金を得られるため、高いモチベーションを維持することができます。
■歩合制のデメリット
歩合給のデメリットは「収入が安定しない」という点です。仕事の成果で給与額が左右されるため、営業活動などによる精神的なプレッシャーを感じやすく、性格による向き・不向きが分かれやすい制度であるとも言えます。
転職活動の際には、歩合制を取り入れているかどうか、給与制度が自分に合っているかどうかという視点で求人を探してみましょう。