医療法人社団慶実会(けいじつかい)は、2011年に東京都目黒区にある一軒の歯科医院から始まりました。以来10年間で歯科のみならず内科の訪問診療や訪問看護、居宅介護支援事業所とサービスを拡大し、現在は一都三県で23の事業所を運営しています(2021年9月時点)。
現在慶実会では、訪問歯科を中心におこなう歯科医院の院長候補として、歯科医師を募集しています。「志があれば経験は問わない」という募集内容と慶実会で働く魅力について、取材の2ヶ月前に理事長に就任したばかりという高橋理事長、採用担当の市川さんに話を聞きました。

1.高橋理事長インタビュー
話を聞いた人
理事長 高橋健一先生
2007年日本大学大学院松戸歯学部研究科修了後、都内2ヶ所の歯科医院にて勤務。2013年医療法人社団慶実会に入職し、法人内2院目となるグレースデンタルクリニック城東分院の院長として就任・開業。2021年7月より同法人理事長に就任。趣味はカラオケとマジック。
・分院の院長から理事長に就任
──高橋さんはもともと慶実会グループの院長をされていたんですね。先代の理事長は高橋さんのご親族だったのでしょうか?
いえ、前理事長とはそういった繋がりではなく。私も言ってしまえば転職して慶実会に入った身です。グループ内2院目の歯科医院を開業するにあたり、院長候補を募集していたタイミングで入職しました。
前理事長の退任に伴い私が後任となりましたが、今も変わらずここグレースデンタルクリニック城東分院の院長として働き続けています。
──高橋さんが慶実会を選んだ理由は何だったんでしょう?
慶実会は「地域に根ざした医療機関」であり続けることを大切にしていて、訪問歯科サービスから事業を始めています。私自身、訪問診療をやりたいという気持ちがあり、慶実会の目指す理念に共感するところがあったので一員となりました。

・地域に根ざした医療機関を目指し、在宅を中心とした診療内容
──現在の慶実会グループの歯科医院全体としても、訪問診療がメインですか?
訪問9割、外来1割という割合ですね。患者さんは70〜80代くらいのご高齢の方が中心で、保険診療がメインになります。
慶実会では訪問診療と外来診療で担当医を分けていまして。今回の募集では、主に訪問を担当してもらう先生に来ていただきたいと思っています。
──訪問と外来では診療内容も大きく異なりますよね。
そうですね。ご高齢の方が多いので、食事形態や摂食嚥下など、“食べる・飲み込む”に関する知識や経験が身につくと思います。外来ではあまり使用しない内視鏡を使った検査もおこないます。
訪問診療では外来と違い「治して終わり」ではありません。週に1回など定期的に訪問を続けていると、ご家族や施設の方からは「食事中にむせることが多くなった」「最近食が細くなった」といったご相談が寄せられます。患者さんやご家族ともコミュニケーションを取りながら、“食べる・飲み込む”といった日常生活で必要な機能を維持できるよう、近い距離で支援していくのが訪問ならではだと思いますね。
──慶実会では内科の訪問診療や訪問看護、居宅介護支援なども提供していますが、歯科以外にもサービスを広げた理由は何だったんでしょうか?
訪問歯科サービスを提供していると、別の事業所のケアマネジャーさんや訪問看護師さんたちと関わる機会が必然的に発生します。そうなったとき、関わる人たちすべてを法人内で完結出来れば情報共有もしやすいし、結果的に患者さんへの支援も手厚くなると思ったんです。
歯科と比べるとほかのサービスは日が浅く、まだ組織内を整えている段階でもありますが、医師・歯科医師・看護師・ケアマネジャーたちが密に連携し合うことで、さらに良い在宅医療を提供していければと考えています。

・経験不問・想い重視の院長候補(歯科医師)募集内容
──今回、院長候補となる歯科医師の募集に至った背景とは?
慶実会では年1〜2件のペースで歯科医院をオープンしているので、それに伴い新しい院長を集めたいからですね。
エリアは現在と変わらず、東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県です。
──募集要項を教えてください。
訪問診療をやってみたいという方、想いがある方に来ていただきたいです。

──ええと……実務経験や技術レベルなどは?
とくに決めていません(笑)。できれば外来でおこなう保険診療はひと通りできたほうが良いですが、経験や技術は後からついてくるものだと思いますので、重視しているのはその方の人柄や、周りの人とどんなふうにコミュニケーションを取るのかというところです。あとは患者さんに診療内容などをわかりやすく説明できる論理的思考力くらいですね。
──院長候補であっても技術面は重視しないのですか。では極端な話、新卒の歯科医師であっても採用の可能性はあると?
そういうことになりますね。
採用フローは書類選考のあと面接2回を予定していて、そのなかで私たちの想いと合致する方にお願いしたいと思っています。
・院長就任までの流れと業務内容
──では院長候補として入職してから、実際に院長になるまでのステップを教えてください。
3ヶ月の試用期間を設けていますので、この間にクリニックの運営と診療を担当してもらいます。試用期間といっても、実際に院長になってからと変わらない内容ではありますが。
ただ慶実会では本部体制がしっかりしているので、院長の業務範囲はそれほど広くありません。スタッフの採用や人事、労務管理などは本部が対応しますし、診療費の請求業務などは医療事務のスタッフが担当しています。
院長業務としてお願いしたいことは、クリニックを運営するための院内ミーティングの開催や法人内の院長が集まる会議、勉強会への参加くらいですね。
また、ほかの先生や歯科衛生士など院内スタッフからの相談などにももちろん乗りますが、院長が一人で抱え込む必要もありません。事務長や主任衛生士とも連携しながら解決していってほしいと思っています。
院長の主な仕事内容
- 訪問歯科診療
- クリニックの運営
- スタッフとのコミュニケーション・相談対応
- 院内ミーティングの開催(月1回)
- 院長会議への参加(3〜4ヶ月に1回)
- 勉強会への参加(不定期開催)
こういった院長ならではの仕事は毎日発生するものではありませんから、日々の業務としては、ほかの先生たち同様に訪問診療がメインです。ですので院長であっても比較的自分の診療に専念しやすい点はひとつ特長になるかと思います。

──3ヶ月の試用期間を終えたあとは、登用試験などはあるんですか?
試験もとくに設けてないんですよ。3ヶ月の間に役員や事務長が現場を訪ねて、院長候補者の勤務状況や技術を見て判断するという形です。
もし試用期間を終えて院長になるには時期尚早だと判断された場合は、別の系列院の従業員としてしばらく経験を積んでもらってから再度目指すという道もあります。
──緊張の3ヶ月ですね。その間、研修などは?
カリキュラムに沿っておこなうような研修はありません。現場レベルで周りの先生たちの動きを見たり助言を受けたりして実践していくイメージですね。
あとは先ほどお伝えした勉強会が不定期でありますので、そこで勉強することもできます。訪問診療で扱う症例の検討など、実務レベルで役立つ内容を主に扱います。
──これと決まった教育体制はなく、現場レベルで実践していくというスタイルなんですね。
慶実会ではスタッフの話し合いのもと、ルールや方針を決めていくスタイルが主流だからかもしれません。
既存のクリニックのやり方があっても、新しいクリニックをどう運営していくかは当事者である院長とスタッフたちの意向を尊重したいと思っています。やってみて駄目ならまた別の方法を考えればいいですから。試行錯誤した結果、いいものが残って慶実会はこれまで10年間続いてきました。
新しいアイデアがあればぜひ実践してもらって、その内容が良ければ法人全体でも取り入れていきたいですね。

2.採用担当 市川さんインタビュー
ここからは採用担当者の市川さんに、給与や福利厚生などの待遇面について話を聞きました。
・特別手当100万円! 院長の待遇
──今回、院長候補から正式に就任が決まった際には、特別手当が支給されると聞いたのですが。
はい、今回新たに用意させてもらった制度で、院長候補から院長に就任が決まった方には、特別手当として100万円を支給させていただくことになりました。

──100万円! それは大きなボーナスですね。そのほか基本的な給与面についても教えてもらえますか?
まず院長の場合は、院長手当が月10万円支給されます。
ほかの先生の場合は、自分が担当した診療点数に応じた歩合給がつきますが、院長の場合はそれに加えて、クリニック全体の売上に応じた歩合給も支給されるのが特徴です。つまりクリニックの成長を通じて、自分自身の給与アップも可能ということですね。
・豊富な福利厚生制度で、働きやすい環境を実現
──休暇や福利厚生についても教えてもらえますか?
産休や育休は取得実績もあるので、取りやすいと思います。例えばちょうど今月から女性の院長が1年間の産休育休に入った分院があり、副院長が院長代理を務めていたり。
スタッフの有給取得も積極的に勧めていて、取得率の低いスタッフに対しては本部から有給消化するよう連絡が入ります。ちなみに有給は最短2時間から取得できるので、「今日はちょっと早めに帰りたい」といったときに小分けにして使うこともできますよ。
──しっかりと実績があって本部からの推奨もあると、気兼ねなく利用できそうですね。
それからスタッフのプライベートを支援する福利厚生についても、豊富なラインナップになっているかと。
慶実会の福利厚生制度
- 社員寮の利用(初期費用無料)
- 家事代行サービスの利用料割引
- ベビーシッターサービスの法人枠での利用
- スポーツクラブ(ジム・ゴルフなど)の会費割引
- 提携グループの美容皮膚科の治療費割引
- ホテル・レストランなどの各種施設の優待予約
- 法人所有のクルーザー利用
──充実した制度ですね! では最後に採用担当として、どのような歯科医師の方に来てほしいですか?
クリニックのカラー(個性)は、院長のカラーで作られていくと思っています。とくに初めて院長を経験するという人は、そんなに気を張りすぎなくていいので、スタッフと公平に接してくれるバランス感覚のある方がいいですね。
やるべきところはやってもらいつつ、基本的に自由度高く動いてもらえるよう、私たち本部もしっかりサポートしていきますので。訪問歯科の分野でやっていこうという気概のある方に、ぜひ来ていただきたいです。

“院長候補”という役割の重さに思わず身構えてしまいましたが、「技術や経験はあとからでも身につく」「まずはやってみて試行錯誤すればいい」といった方針のおかげで、肩の力が少し抜けたような気がしました。自分の経験や能力に多少自信がなくても、訪問歯科診療に対する熱意は負けないという方は、ぜひ慶実会の院長候補に応募してみてはいかがでしょうか?