
1.えるぼし認定とは
■「えるぼし」の由来
2.えるぼし認定基準
3.えるぼし認定は3段階で評価
4.新設された「プラチナえるぼし」とは
5.えるぼし認定に取り消しはあるの?
6.「えるぼし」と「くるみんマーク」の違い
7.転職時は「えるぼし認定」もチェック
1.えるぼし認定とは
えるぼし認定とは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」に基づく認定制度です。
厚生労働省が定める一定の基準を満たし、認定された企業には「えるぼし認定マーク」が発行されます。
つまり、えるぼし認定を受けている企業は「採用されてから仕事をしていくうえで、女性が能力を発揮しやすい環境である」という指標になります。
2020年2月時点で、1,028社がえるぼし認定を受けました(厚生労働省/えるぼし認定企業一覧より)。
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◆女性活躍推進法とは
女性の個性や能力を十分に発揮できる社会の実現のため、2016年に全面施行された法律。常時雇用する労働者が301人以上の企業には次の3つの義務が課せられる(2020年時点)。
(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表
■「えるぼし」の由来
えるぼしの「L(える)」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などさまざまな意味が込められています。
また、社会において多くの女性たちが星のように輝けるよう「エール」を。
「えるぼし」という名前には、そんな願いが込められています。
2.えるぼし認定基準
えるぼし認定を受けるためには、厚生労働省が定めた次の5つの評価項目について一定の基準を満たさなければなりません。
◆評価項目1:採用
男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること。
◆評価項目2:継続就業
次のいずれかを満たすこと。
(1)「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ7割以上である(期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る)
(2)「10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合」÷「10事業年度前およびその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ8割以上である(期間の定めのない労働契約を締結している労働者かつ新規学卒採用者等に限る)
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労働者における職種・雇用形態・就業形態などの区分であり、区分ごとに異なる雇用管理をおこなうために設定されているもの
◆評価項目3:労働時間等の働き方
雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働および法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること。
◆評価項目4:管理職比率
次のいずれかを満たすこと。
(1)管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
(2)直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合」÷ 直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」が8割以上であること
◆評価項目5:多様なキャリアコース
直近の3事業年度において、以下の項目のうち大企業は2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)、中小企業は1項目以上の実績があること。
A 女性の非正社員から正社員への転換(派遣労働者の雇用を含む)
B 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
C 過去に在籍した女性を正社員として再雇用
D おおむね30歳以上の女性を正社員として採用
3.えるぼし認定は達成度合に応じて3段階
えるぼし認定は、前項であげた評価基準の達成度合いによって3段階に分かれます。
もちろん、より高い達成度をクリアするほど「女性が活躍しやすい環境である」ということの証明にもなります。
それぞれの認定マークと段階区分は次の通りです。
◆1段階目
前項で挙げた基準を、1つまたは2つ満たしている
◆2段階目
前項で挙げた基準を、3つまたは4つ満たしている
◆3段階目
前項で挙げた基準を、5つ全て満たしている
いずれの場合も、満たしている基準については、実績値を厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があります。
また満たしていない基準については、事業主行動計画策定指針に定められた基準に関連する取組を実施し、その取組の実施状況について「女性の活躍推進企業データベース」に公表するとともに、2年以上連続してその実績が改善していることが必要です。
4.新設された「プラチナえるぼし」とは

「プラチナえるぼし」は先ほど紹介した3段階ある「えるぼし」の、さらに上位の特例認定として2020年6月に創設されました。
最上位の認定マークなだけあり、5つの基準評価項目もさらに厳しいものになっています。
◆評価項目1:採用
通常のえるぼしと同様。
◆評価項目2:継続就業
次のいずれかを満たすこと。
(1)「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ8割以上である(期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る)
(2)「10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合」÷「10事業年度前およびその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ9割以上である(期間の定めのない労働契約を締結している労働者かつ新規学卒採用者等に限る)
◆評価項目3:労働時間等の働き方
通常のえるぼしと同様。
◆評価項目4:管理職比率
直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上である。
ただし、1.5倍後の数字が15%以下の場合は、管理職に占める女性労働者の割合が15%以上であること。
また、1.5倍後の数字が40%以上の場合は、管理職に占める女性労働者の割合が正社員に占める女性比率の8割以上であること。
◆評価項目5:多様なキャリアコース
通常のえるぼしと同様。
「プラチナえるぼし」は上記5つの評価項目を全て達成したうえで、さらに次の3つの条件も満たさなければならないため、非常にハードルの高い認定基準といえます。
●策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成
●男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任している
●女性活躍推進法に基づく情報公表項目のうち、8項目以上を「女性の活躍推進企業データベース」で公表している
■えるぼし認定段階まとめ

5.えるぼし認定に取り消しはあるの?
えるぼし認定を取得した企業や事業所が、重大な法令違反または是正勧告を受けても是正していない場合は、不認定や認定取消の対象となります。
数値基準を満たせなくなったからといって取り消されることはありませんが、事業主が申し出ることで認定を辞退することが可能です。
なお、認定辞退した事業主は再度基準を満たすことで随時認定を受けられますが、法令違反などにより認定を取り消された場合には、取り消しから3年経過するまで再取得することができません。
6.「えるぼし」と「くるみんマーク」の違い
「えるぼし」と混同されやすい認定制度として「くるみんマーク」が挙げられます。
くるみんマークは、「次世代育成支援対策推進法」に基づき、労働環境を整備した「子育てサポート企業」が認定されるものです。
「女性も働きやすく、能力を発揮しやすい環境が整っている企業」を対象とした「えるぼし」に対して、「くるみんマーク」は「男女関係なく、子育てをしやすい環境が整っている企業」に対して贈られます。
7.転職時は「えるぼし認定」もチェック
これまで解説した通り、「えるぼし認定」は職場における女性の活躍を積極的に推進している証です。
なので「仕事と家庭を両立したい」「しっかりキャリア形成したい」と考えている女性求職者にとって、えるぼし認定はひとつの基準となると言えるでしょう。
お仕事を探す際にはぜひ参考にしてみてください。