
医療秘書とはどのような仕事?
「医療秘書」は、病院やクリニックで医療サービスの提供を支える職種です。患者さんが入院や通院時に適切な診察や治療を受けるために、いろいろな役割を担っています。
医療秘書の仕事を具体的にイメージしやすいように、業務内容を大きく3つに分けてみました。
◆事務・保険請求業務
・受付窓口での患者さんの応対
・入院時の病室手配
・診療報酬請求に関わる事務手続き
◆秘書業務
・医師や看護師の補佐
・医師のスケジュール管理
・来客、電話対応
・書類作成、整理
・医療情報の収集、整理
・他の診療科への情報伝達
・学術支援業務(研究データの入力や論文検索など)
◆情報管理業務
・患者のカルテ管理
・診療記録への代行入力
・検査結果やレントゲンフィルムの整理
・ナースステーションでの伝票整理
・診断書や証明書などの文書作成の補助
・行政上の届け出、報告
以上のように、医療秘書の仕事は多岐にわたります。また、医療秘書は医療機関だけではなく、健康保険組合、製薬会社、医療機器メーカー、調剤薬局などでも働いています。
医療秘書と医療事務との違いは?
医療秘書と名前が似ていて、混同しやすい職種の1つに「医療事務」があります。医療秘書と医療事務の仕事には、どのような違いがあるのでしょうか?
医療事務が働く場所は、主に病院やクリニックの受付窓口になります。医療事務は、来院した患者さんの保険証を確認し、カルテを作成するために、患者さんの基本情報を登録したり、各診療科への案内をしたりします。
主な仕事内容は、診療報酬の点数を計算し、明細書(レセプト)作成や診察費の受け取りなどになります。これら医療事務の仕事により、医師や看護師が患者さんに円滑に治療を行えるのです。
一方、医療秘書は医療事務が行っている事務手続き・保険請求業務に加えて、秘書業務や情報管理業務などを担っています。医療秘書の仕事の範囲は幅広く、病院やクリニックによって求められる業務内容が変わってきます。
医療クラーク(医療事務作業補助者)との違いは?
病院やクリニックで事務作業を行う職種には、医療事務の他に、「医療クラーク(医療事務作業補助者)」があります。
医療クラークの主な仕事は、医師や看護師の業務負担を減らすために、書類作成や事務業務を補助することです。具体的には、医師の指示のもと、診断書や処方箋の作成、カルテ入力、行政上の届け出などを行います。
また、患者さんの入院時の病室手配、各種の検査科やリハビリテーション科などへの情報伝達が、業務に含まれる場合もあります。
近年、病院やクリニックで働く医師・看護師の人手不足、業務量の多さが問題視されています。医師や看護師の業務量が多くなればなるほど、患者さんの診察や治療における十分なケアが行いづらくなります。
そのような課題を背景として、医師や看護師の仕事を補助する医療クラークが働くようになり、医療クラークの働きにより、医師の事務作業が1日2時間短縮できたという報告もあります。
医療秘書は、医療事務の仕事や秘書業務に加えて、前述した医療クラークとしての診察・治療補助まで行います。
医療秘書に資格は必要?
医療秘書として働くために、とくに取得が必須となる資格はありません。実際に、医療秘書の経験や資格を問わずに、求人募集を出している病院やクリニックも多いようです。
また、取得必須ではありませんが、医療秘書の専門知識を身につけられる資格もいくつかあります。資格取得や学んだ知識が就職の際に役立つこともあると思いますので、医療秘書に関係する2つの資格を紹介します。
◆日本医師会認定医療秘書
「日本医師会」が認定する資格。高度な情報化社会の中で、高い情報処理能力や専門的な医療事務の知識を兼ね備えた人材の育成を目的にしています。認定を受けるには、日本医師会が指定した大学、短大、専門学校の教育課程の修了、認定試験の合格、検定(秘書検定など)の取得が必要となります(参考サイト:日本医師会認定医療秘書)。
◆医療秘書技能検定
「医療秘書教育全国協議会」が認定する資格。医療秘書教育全国協議会に入会している養成校での教育課程を修了すると、医療秘書技能検定の受験資格が得られます。医療秘書技能検定に合格すると、就職活動の際、医療機関側が医療秘書としての習得レベルを判断する1つの目安として役立ちます(参考サイト:一般社団法人 医療秘書教育全国協議会)。
どうすれば医療秘書になれるの?
医療秘書になるためには、医療秘書の求人募集をしている病院やクリニックを探して、応募する必要があります。
「秘書」と聞くと、大きな病院をイメージされるかもしれませんが、最近では、個人で運営されているクリニックなどでも求人募集を行っています。
診療科に関しても、内科、産婦人科、眼科と就職先の幅は広く、多くの医療機関で必要とされる職種です。
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