目次
1.接骨院と整骨院の違い
違いは名称のみ→「接骨院」に統一へ
骨折や脱臼、捻挫、打撲などのケガに対して施術をおこなう接骨院と整骨院。この2つの施術所にどんな違いがあるのかわからないという人も多いと思います。
実際のところ、運営体制や施術内容はほぼ同じです。そのため、接骨院と整骨院の違いは呼び名の違いのみとされてきました。
しかし昨今、この状況が変わろうとしています。2023年2月に実施された「第9回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」により、「整骨院」の名称を禁止し「接骨院(またはほねつぎ)」のみを認める厚生労働省案が検討されています(2023年4月時点)。
実は法令に記載されているのは「接骨」あるいは「ほねつぎ」のみで、法令上「整骨」という名称はありません。これまでは慣例的に「整骨院」も使われてきましたが、紛らわしいといった理由から見直しが図られています。
今後新たに開設する施術所については「接骨院」のみを採用し、すでにある施術所については当面の猶予期間をもって名称の移行が進められる見込みです。
施術内容と保険適用の範囲
接骨院・整骨院では主に次のようなケガに対して施術をおこないます。
- 骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷
- 首の痛み、ムチウチ、寝違え
- 肩の凝りや痛み
- 背中や腰の痛み、ヘルニア、ぎっくり腰
- 肘、膝、股関節などの関節症
- 外反母趾、偏平足
- 肉離れ、靭帯負傷 など
骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった急性外傷の負傷には健康保険が適用されます。ただし骨折、脱臼については医師の診察に基づく同意が必要です(応急処置は除く)。
日常生活での肩こりや腰痛、関節症などには健康保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。
柔道整復師だけが開業できる
接骨院・整骨院は柔道整復師のみに開業が認められています。鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、整体師などに開業権はありません。
柔道整復師の国家資格は柔道整復師を養成する大学または専門学校を修了し、国家試験に合格することで取得できます。
柔道整復師のなり方について詳しくはこちら
>柔道整復師とは?
接骨院・整骨院で働く職種
接骨院・整骨院で働く職種は柔道整復師が中心ですが、そのほかにも鍼灸治療をおこなう鍼灸師、マッサージをおこなうあん摩マッサージ指圧師、運動療法やリハビリをおこなう理学療法士、施術補助をおこなう整体師などが働いています。
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2.整体院・カイロプラクティック院と接骨院・整骨院の違い
整体とは、主に手技によって骨格の歪みを調整することで筋肉の凝りや疲労を軽減し、体全体のバランスを整える技術のことを指します。似た技術としてカイロプラクティックが挙げられますが、整体は東洋医学をベースにしているのに対し、カイロプラクティックは西洋医学をベースとしています。
整体院・カイロプラクティック院と接骨院・整骨院との特徴をまとめると、次のような違いがあります。
接骨院・整骨院 | 整体院・カイロプラクティック院 | |
---|---|---|
保険適用 | 一部あり | なし |
主な施術症状 | 急性症状 | 慢性症状 |
主な施術者 | 柔道整復師 (国家資格) | 整体師/セラピスト (民間資格または無資格) |
整体院・カイロ院は保険適用外
接骨院・整骨院では一部症状に保険が適用されますが、整体院・カイロプラクティック院ではすべての施術が保険適用外のため全額自己負担となります。
肩こりなどの慢性症状やリラクゼーションが得意
整体院・カイロプラクティック院は骨折や打撲といった急性のケガの処置には対応できません。対象となるのは慢性的な肩こりや腰痛、美容やダイエットを目的とした骨盤矯正、リラクゼーションのためのもみほぐしなどです。
無資格でも開業できる
国家資格である柔道整復師と違い、整体院・カイロプラクティック院で働く整体師やセラピストは資格がなくても働くことができます。社内研修で学びながら実務経験を積む人や、技術を習得するためにスクールに通って民間資格を取得する人もいます。
整体院・カイロ院で働く職種
整体院・カイロプラクティック院で働く職種は整体師やセラピストが中心ですが、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師などがいるところもあります。
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3.整形外科と接骨院・整骨院の違い
整形外科と接骨院・整骨院の特徴をまとめると、次のような違いがあります。
接骨院・整骨院 | 整形外科 | |
---|---|---|
保険適用 | 一部あり | あり(一部自費診療) |
主な施術・治療 | 徒手検査、整復、固定、後療法など | 診察、レントゲン撮影、麻酔、投薬、手術など |
主な施術者 | 柔道整復師(国家資格) | 医師(国家資格) |
整形外科は肩こりなどの慢性疾患も保険適用
整形外科では急性のケガをはじめ、接骨院・整骨院では自費診療の対象となる肩こり・腰痛などの慢性疾患でも健康保険が適用されます。なお、ヘルスケアや美容などを目的とした自費診療メニューの取り扱いがあるところもあります。
医師による診察・薬による治療がメイン
整形外科ではレントゲン撮影や手術など幅広い診療が可能です。しかし肩こりや腰痛といった慢性疾患に対しては診察と薬・湿布などの処方のみで終わることも多く、直接的な手技や機械による治療に時間をかけられないことが一般的です。
対して接骨院・整骨院では柔道整復師が直接体に触れながら、関節や骨の位置を調整する「整復」、ギプスやテーピングを使った「固定」、物理療法や運動療法を用いる「後療法」などで改善を目指します。
整形外科で働く職種
整形外科で働く職種は医師や看護師のほか、リハビリや物理療法を担当する理学療法士、柔道整復師が働いています。
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4.目的にあった治療院選びを
名称だけでは違いが判断しづらい治療院ですが、それぞれの特徴や目的を押さえることでどの治療院に掛かればいいかわかります。受診する人は現在の症状と施術内容の希望に合わせて選ぶようにしましょう。
医療や代替医療の仕事を探している人にとっては、どの職場で働くかによって業務内容や身につくスキルが大きく異なります。自分が希望する仕事ができるかどうか、求人票をチェックしてみてくださいね。
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参考
- e-Gov法令検索|柔道整復師法