現役看護師として働きながら、X(旧:Twitter)で4.4万人以上のフォロワーを誇る、人気アカウント「教祖ちゃん」。社会保障について鋭い意見を述べる一方で、看護師の仕事の過酷さや育児についてユーモアを交えて発信しています。
そんな教祖ちゃんは、一昨年出産を経験した1児の母として、現在は週に1〜2日ほど整体師の仕事をしています。現在に至るまでには適応障害による休職、離職など数々の困難があったといいます。
紆余曲折を経ても、看護師としての仕事から離れたくないという教祖ちゃん。その理由とアカウントを開設した背景、現在の働き方について聞きました。

社会保障への疑問から「教祖ちゃん」爆誕
──Xでは4.4万人以上と、たくさんのフォロワーがいますね。投稿を始めたきっかけは何だったんですか?
教祖ちゃん:仕事で感じたモヤモヤを吐き出すためです。以前、整形外科の病院に勤務していて、2週間の手術入院で医療費が約400万円というケースが一般的でした。でも、高齢者の自己負担は10万円ほど。その莫大な差額は、どこから来ているんだろうって。なかには「本当に今すぐ治療が必要なの?」と感じる患者さんもいて、社会保障制度への疑問がどんどん積み重なっていったんです。
──始まりは社会保障制度への疑問だったんですね。
当初の投稿内容は2軸でした。一つが社会保障や政治への疑問で、もう一つが病棟あるあるをクスッと笑える形で投稿することです。最初は同業者ばかりに見てもらってましたが、だんだん一般の方からも反応をもらうようになりました。
看護師の本音にオチをつけて投稿
独自の視点からの投稿が、多くの共感を呼んでいる
医療現場のリアルを絶妙な描写で伝える
──そうした発信を続けながら、現在は育児以外にも週に数日お仕事をされているそうですね。
非常勤なので正式な育休制度を利用しているわけではなく、子どもが保育園に入れるまでと、自分で期間を定めて休んでいました。ここ数ヶ月は、子どもをシッターさんに預けられるようになったので、整体師として週1〜2日ほど働いています。
また、休業中に「精神障がい者の在宅看護セミナー」を受講しました。4月から保育園に入れれば、精神科訪問看護の仕事にも携わりたいです。ほかにも「整理収納アドバイザー1級」の資格も取ったので、家事代行のような仕事にも挑戦したいと思っています。
──なぜ整体、訪問看護、整理収納の3つを選んだのでしょう?
整体は妊娠中に悪化した体調を、ある柔道整復師さんに改善してもらったことがきっかけです。妊娠中は施術を断られるケースも多いのですが、この方は医療知識に基づき、妊婦に押してはいけないツボなどの注意事項を守ったうえで受け入れてくれました。これまで受けてきた整体とはレベルが違うと感じたんです。
そこで興味が湧き、その方が実施する勉強会に参加したところ「病院に行かなくても改善できる不調がある」と実感しました。今後はさらに技術や知識を身につけて、かつての私のようにつらい思いをしている妊婦さんをケアできる存在になりたいと思っています。
訪問看護は、育休前から勤めていたクリニックが、新たに今年の4月から訪問看護サービスを立ち上げることになったためです。出産を経験し、産後うつや育児ノイローゼに苦しむ方の力になりたいと感じたことも大きかったです。
また、私も精神不調だった時期があり、そのころは部屋が荒れていました。でも、部屋がきれいだとメンタルも安定すると実感し、整理収納の資格を取りました。
看護を離れてたどり着いた現在地
──現在は看護以外の仕事もされていますが、これまでの経緯が気になります。
地元の北海道にある専門学校を卒業後は、一般病院に入職しました。消化器内科や呼吸器内科を担当していましたが、入職4年目くらいで担当した患者さんが亡くなることが続いたことなどから、抑うつ状態になったんです……。自分では「大丈夫」と思っていましたが、先輩から「あなた限界じゃない?」と休職を勧められ、受診したところ適応障害と診断されました。
少し休んでから、同じ病院が運営する訪問看護のパートとして戻りましたが、病棟と比べると同じ業務の繰り返しに感じてしまい、結局退職しました。そのあとは、看護以外の仕事をしてみようと思い、すすきのでホステスとして働いていました。
──医療業界からすすきのへ! なぜ突然……?
医療業界ってすごく閉鎖的なので、外の社会を知りたいと思ったんです。すすきので働いてみると、看護師以上にホスピタリティ溢れる人ばかりで驚きでした。
評価もすごく明確で。看護師の場合、新卒が5年目に意見するなどあり得ませんが、夜の世界では入って3ヶ月の新人が5年目を追い抜くこともあります。優良店で客層も良かったので3年続けましたが、これ以上医療現場を離れたら看護師に戻れないと思い、整形外科病院に転職しました。
──教祖ちゃん生誕の地となった病院ですね。
はい。そこは業務も給与面も良かったのですが、社会保障費への疑問など小さな疑問が看過できなくなって2年で辞めました。当時はもうTwitterのフォロワーさんが結構いて、「おもしろい人は東京に集まっている」と感じたので、上京しました。
──上京後はどんなお仕事をしていたんですか?
ちょうどコロナ禍だったので、コロナ対応のコールセンターで働きました。コロナ禍が落ち着いたときに、Twitterで「働く場所を探しています」とつぶやいたら「うちで働きませんか?」と声をかけてもらえたので、いろんなところで働かせていただき、今に至ります。
「細く・長く看護師を続けたい」
──看護師として今後はどんな働き方がしたいですか?
私は今でも、常に看護の本を手の届くところに置いているくらい、この仕事が好きなんです。ですが、看護の仕事にのめり込むと、24時間看護のことを考えてしまい休まらない状態から自分が壊れてしまうことがわかっていて……。なので、整体や整理収納など看護以外のことにも挑戦して“細く・長く”続けていきたいです。
──自分の中で折り合いをつけながら、働き方を選んでいるんですね。
まだ育休中ですが、今後3つの仕事をどのような割合にするかはバランスを見て働きたいです。実は妊娠中、医療現場の肉体労働による身体的な負荷に加え、職場でマタハラに近い経験をしました。心身ともに限界を感じるなかで、女性のライフステージが変わっても、誰の目も気にせず自分のペースで仕事を続けていくには、起業も選択肢の一つだと思っています。なので、現在はそのための資格取得の勉強も進めています。
──いろんなことに挑戦してみたら、また考えが変わるかもしれませんね。
そうですね。これから実際に育児と仕事を両立してみたら、「母」としての時間を多く設けたいかもしれません。流動的ですが、それが私なりの「看護師を続ける方法」だと思っています。