「よこすか・みうら岬工房」とは
神奈川県横須賀市に、農業分野と福祉分野が協業して運営される「よこすか・みうら岬工房」があります。運営するのは「はたらいて、笑おう。」で知られるパーソルグループの特例子会社*、パーソルダイバース株式会社。約3,000名いる社員のうち、3分の2以上が障害のある社員で構成されています。
同社は2018年に横須賀市と包括協定を締結し、地方自治体と特例子会社による全国初の事例として注目を集めています。障害のある社員が地元の農作業を受託するこの現場では、障害者の雇用創出と地域農業の担い手不足という2つの社会課題に同時に向き合っています。

同工房では現在、障害のある社員と共に働く「業務サポート職」を募集中です。本記事では、マネジャーの石森さんとチームリーダーの八木さんへのインタビューを通じて、よこすか・みうら岬工房で働く魅力を深堀りしていきます。
ビジネスと福祉を両立させ、地域課題に挑む
話を聞いた人

よこすか・みうら岬工房 マネジャー
石森 康司さん
新卒で不動産会社を経験したのち、1994年にパーソルグループに入社、人材派遣・紹介事業のマネジャーを務める。2020年からは障害者雇用領域に参画し、事務系の受託業務、食品製造業のマネジメントを経て、2026年4月から「よこすか・みうら岬工房」にて農作業受託のマネジメントに従事。
──まずはじめに、よこすか・みうら岬工房でおこなわれている農業と福祉が連携した農作業受託について教えてください。
石森さん:現在の日本の農業は、高齢化と担い手不足という大きな課題を抱えています。とくに私たちが活動している横須賀・三浦地域は、三方を海に囲まれた素晴らしい土地と豊かな気候に恵まれている半面、後継者がいなくて廃業せざるを得ない農家さんが後を絶ちません。大規模な農家さんであっても、人材が足りずに作業が回らないという現実があります。
一方で、私たちの会社には働く意欲を持った障害のある社員がたくさんいます。この両者を結びつけ、農家さんの作業を私たちがチームとして受託する。これが、よこすか・みうら岬工房でおこなっている仕事です。今回募集する「業務サポート職」は、現場でチームをまとめながら障害のある社員と一緒に農作業をおこないます。

──「業務サポート職」は農業の経験がある方が多いのでしょうか?
農業経験者と福祉経験者が半々くらいの割合ですね。農業に関連する経験や知識を持つ人が「農業と福祉の連携っておもしろそうだな」と興味を持たれる人もいれば、「家族に障害があって」など障害者支援に強い思いを持って入社される人もいます。
私は面接の際には必ず、「うちの仕事は、福祉の視点とビジネスの視点、この両方のバランスを取れる人が活躍できる職場です」と伝えています。
──福祉の仕事でビジネスの視点を求めるというのは、矛盾しているように感じる方もいそうですが。
福祉業界で長く経験を積んでこられた方は、ホスピタリティが高く、障害のある方に寄り添う素晴らしい姿勢を持っています。しかし、私たちは株式会社として成果を出すビジネスをしており、農家さんというお客さまへレベルの高いサービスを提供する必要があります。だからこそ、ビジネスとしての成果や責任をしっかりと意識したうえで、メンバーへの支援の仕方も考えていかなければなりません。
例えば、障害のあるメンバーが現場で行き詰まったり困ったりしているとき、単に助けてあげるだけでは、彼らの本当の成長にはつながりません。業務サポート職のスタッフたちには、「メンバーがジャンプして、少し頑張れば届くくらいの目標を設定しよう」と言っています。
顧客に対しては、サービス事業者として適切な価値を提供すること。そして、障害のある社員に対しては、自立して人生を歩んでいけるようになるための成長の機会を提供すること。このビジネスと福祉のバランスを取ることが、この仕事の醍醐味です。

定着率は97%! 社員の成長を促す社内研修
──社員教育の一環として、研修などの機会はありますか?
障害のある社員向けの社内研修は雨などの天候によって作業に出られないときに実施しています。例えば情報セキュリティ研修やビジネスマナー、特性に合わせた感情コントロールの方法、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)のコミュニケーション研修などがあります。また、社内で開発した「農業検定」の時間もあり、作業できない日を利用して農業の基礎知識を深める時間にしています。
こうした取り組みの積み重ねもあってか、ここで働く障害のある社員の定着率は97%です。一般的な障害者雇用の定着率は約58%*ですから、かなり高い水準だと思います。
*障害のある人の一般企業への就職後1年時点の定着率(出典:障害者の就業状況等に関する調査研究|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
──97%はすごいですね。では最後に、業務サポート職に関心のある方に向けてメッセージをいただけますか?
入社時に農業の経験や福祉の知識はなくても構いません。大切なのは、「障害のある方の活躍を支えたい」「地域の農業に貢献したい」という思いです。
業務サポート職の仕事は、単に障害のある方の作業を手伝うのではなく、「農業の担い手不足」という社会課題を解決し、同時に「障害者雇用の成功事例」を世の中に作っていく仕事です。これにやりがいを感じてもらえる方と一緒に働きたいですね。
「これなら私にもできるかも」未経験で飛び込んだ農業×福祉の現場
話を聞いた人

よこすか・みうら岬工房 大矢部T チームリーダー
八木 京子さん
2018年に福祉業界未経験でパーソルグループに入社、「よこすか・みうら岬工房長沢」に配属される。現在は2拠点目となる大矢部のチームリーダーとして、障害のある社員のサポートのほか、現場管理や工房運営を担う。
──ここからは、現場のチームリーダーとして活躍されている八木さんにお話を伺います。これまでのご経歴と、入社のきっかけを教えてください。
八木さん:私は結構転職が多く、いろいろな職種を転々としてきました。パーソルグループに入る前は、在宅でデータ入力の仕事を。それ以前はパソコンメーカーで営業をやっていた時期もあれば、庭師の修行をしていた時期もあります。
子どもが大きくなって自分の手から離れてきたことをきっかけに、在宅ではなく外で働こうと思いました。何をしようか考えたときに「誰かの役に立てる仕事がしたい」と思い、福祉の仕事が頭に浮かびました。
ただ、介護など身体的なケアを伴う仕事は未経験の私にはハードルが高くて。そんなとき「農作業を障害のある方と一緒にチームでおこなう」というパーソルダイバースの求人を見て、これなら私にもできるかもしれないと思い、応募しました。

──未経験からの転職だったんですね。では、現在の仕事内容について教えてください。
障害のあるメンバーと一緒に契約農家さまの畑へ行き、依頼された農作業を事故なく、正確におこなうことが主な仕事です。

チームは業務サポート職のスタッフ1名に対して、メンバーが3〜7名です。いつも同じメンバーではなく、行き先やその日の作業内容、作物の種類によって編成を決めます。特定のメンバーやリーダーだけがその農家さまを担当すると業務が属人化してしまうので、ローテーションを組みながら担当します。農家さまによって作っている作物も違えば、やり方も異なるので、私たちの対応も日々変わりますね。
──仕事をするうえで、心掛けていることはありますか?
コミュニケーションを密に取ることでしょうか。私たちの仕事は、まず自分が農家さまの指示を理解し、今度はメンバーたちにわかりやすく伝えるという2段階になっています。私が理解を間違うと農家さまの作物に影響が出てしまうので、まずは自分が農家さまとしっかりコミュニケーションを取り、メンバーにもそれを正しく伝えるよう心掛けています。
──これから入社される方は、どのように仕事を覚えていくことになりますか?
入社後は、先輩スタッフとペアを組み、OJTで仕事を覚えていきます。現場での動き方や農作業の基礎を覚えることから始め、障害のあるメンバーたちへの接し方のコツ、日々のマネジメントや悩み相談まで、マンツーマンに近い形できめ細かく指導を受けてもらいます。
未経験であればOJT期間は2〜3ヶ月ほどになることが多いです。その後も定期的な面談もありますし、いつでも相談できる環境です。
「彼はチームに欠かせない」メンバーの成長が一番の喜び
──八木さんご自身は未経験からこの仕事を始められてみて、どう感じましたか?
メンバーは個性豊かですし、農家さまごとにやり方も異なるので、なかなかマニュアル通りにはいかない仕事だと思いました。それが難しくもある半面、変化や成長がよく見えます。一番うれしいのは、メンバーの成長が見られるときで、やっていて良かったなと感じます。農家さまに関しても、要望に応えられて「ありがとう」と言われたときはやりがいを感じますね。
──メンバーの成長を実感できたエピソードがあれば教えてください。
特別支援学校を卒業し新卒入社した社員の話です。彼は入社当初は身だしなみや先輩への言葉遣いに学生気分が抜けず、悪ふざけをするような様子も見られました。
「私たちは農家さまのためにプロとして仕事をしているので、ふさわしい言葉遣いやルールを覚えていきましょう」と私を含めたスタッフたちで話し続けてきました。そうしたところ、今年になって彼に後輩ができたことも大きかったのか、今では身だしなみや言葉遣いもしっかりできるようになりました。
ある農家さまからは 「彼はチームに欠かせないね」というお言葉を頂くほど成長しました。こういう姿を見られたとき、この仕事をやっていて本当に良かったと思います。

独自の休暇制度や福利厚生で社員の働きやすさを支える
──働くうえで気になる残業時間についても教えてください。
正直にお話しすると、今はスタッフ不足ということもあり、日中は私が現場にフルで出ています。そのため、戻ってきてからの事務作業や管理業務を夕方以降におこなう必要があり、改善は進めているところですが、私の役職(チームリーダー)だと現状はどうしても残業が多くなりがちです。
一般社員のスタッフに関しては、残業は少なめで、日によっては定時に帰ることもできる環境です。お子さんのお迎えなどご家庭の事情がある方は、それぞれのライフスタイルに合わせてスケジュールを調整できる環境ですので、安心してください。
──福利厚生はどのような制度がありますか?
お休みはかなり充実しています。有給休暇は一般的に入社して半年経たないと付与されないことが多いですが、パーソルグループでは入社初日に最大10日間与えられます*。また、体調不良時に使える「シックリーブ(病気休暇)」も年に10日間付与*されて、社員本人だけでなく家族のケアにも使えます。
*日数や支給条件には規定があります
ほかにも、映画や宿泊、レンタカーなどの割引が受けられる「リロクラブ」の優待制度もあります。年々対策が重要になっている熱中症対策としては、ファン付きの空調ベストが全社員に支給されますし、冷たい麦茶やスポーツドリンク、塩分タブレットも常備されています。

──これからの「よこすか・みうら岬工房」をどんな職場にしていきたいですか?
現場のメンバーやスタッフが誰も事故やケガをすることなく、毎日笑顔で働けるよう、この工房を支えていきたいと思っています。個人としては、年齢や体力の変化とも上手く付き合いながら、長くこの仕事を続けていきたいです。
──では最後に、応募を検討されている方へのメッセージをお願いします。
屋外での仕事が中心なので、ある程度の体力は必要だと思います。でも一番は「障害のあるメンバーたちが元気に働けるようサポートしたい」という思いがあれば大丈夫です。少しでも興味を持ってもらえた方は、ぜひ私たちの現場を見に来てみてください!
※掲載内容・所属・肩書はインタビュー時点のものです。
※本記事は提供企業の方針を反映し「障がい」を「障害」と表記しています。