1. 今日の転職経験者はこんな人
2. Sさん(あん摩マッサージ指圧師・44歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
2-2. 中学校〜高校時代
2-3. 専門学校時代
3. 漫画家としての夢
4. あん摩マッサージ指圧師を目指すきっかけ
5. 訪問あん摩マッサージ指圧師として再スタート
6. (番外編)生活・お金の話
1.今日の転職経験者はこんな人

ー今おいくつですか?
44歳です。
ーご出身は?
東京です。今は千葉で1人暮らしをしています。
ー家族構成を教えてください。
父・母・兄です。父はもう定年退職したんですが、昔は車の整備士でした。兄は普通の会社員です。
ー自分の性格はどんなタイプだと思いますか?
こだわりが強い方かもしれませんね。あと、コレクター気質です。好きな作家の本や映画、アーティストグッズなどをよく集めてました。
ー子どもの頃の将来の夢は?
なんとなくお医者さんになりたいなと思っていました。
高校生の頃はアートディレクターになりたかったです。
ー転職経験と今のお仕事を簡単に教えてください。
本当に簡単に言うと漫画家を軸に色んな職を転々としていて、ここ数年で訪問あん摩マッサージ指圧師としてやっと落ち着いて働き出したというところです。
2. Sさん(あん摩マッサージ指圧師・44歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
ー小さいときはどんな子どもでしたか?
危険をかえりみず、危ないことばかりしてましたね。
兄と3輪車に乗って長い坂道をブワーって駆けおりたんですけど、ブレーキがついていないのでそのまま塀に突っ込んで、2人して血まみれになって救急車で運ばれたり。
あと、階段を4段飛ばしくらいでおりて、転んで、頭から血を流して救急車で運ばれたり。
ー小学生の頃はどうでしたか?
今考えると少し変わった子だったかもしれません。
1人で道端にビニールシート敷いてご飯を食べながらお花見したり、お弁当作ってビルの谷間で1人ピクニックをしたり。
友達と遊ぶこともありましたが、1人で何かしていることの方が多かったです。
2-2. 中学校〜高校時代
ー中学・高校生活はどんな感じでしたか?
少年ジャンプ全盛期だったので、漫画やアニメにどっぷりハマっていましたね。あとは、お笑いブームでもあったのでずっとテレビばかり観ていました。
高校でもそんな感じだったんですが、音楽にも興味を持ちだしてライブに行き始めました。
2-3. 専門学校時代
ー高校卒業後の進路は?
なんとなくカッコイイし楽しそうだなっていう理由でデザインの専門学校へ。
実は専門学校へ通うかたわら、漫画も描き始めて出版社に持ち込みをしていました。
ー漫画好きが高じて、という感じですか?
まあ、そうですね。専門学校を卒業するときにちょっとした賞を受賞したので「頑張ったら漫画家として生計を立てられるかも」と希望を持ってしまい……。
3. 漫画家としての夢
ー卒業後はデザイナーにはならず漫画の道へ?
はい。バイトをしながら漫画家さんのアシスタントをしていました。空いた時間に自分の作品を描いては出版社に持ち込んで。
あるとき出版社に認められて2年間くらい漫画家として活動していた時期もあったんですが、やはり長期連載には繋がらず。生活も苦しくなり「こんな生活ずっとは続かないな。漫画家としてはもう無理かもしれない」と焦ってもいました。
ーそれで漫画家は断念したんですか?
一度は「漫画は諦めて普通に働こう」と思い、正社員のデザイナーとして広告制作会社に就職しました。それが26歳のときですね。
しかしやっぱり夢は捨てきれず、仕事が終わった後や休日に漫画を描いて持ち込みをしていました。
その会社には30歳までいたんですが、その後は正社員で働いたりアルバイトをしてみたり、漫画を描きながら色んな職場を転々とする流浪時代突入です。
ー具体的にはどんな仕事を?
印刷会社・古本屋・アクセサリの問屋・コールセンター・タオル会社などなど。
どの会社も1~2年くらいで、人間関係で嫌なことがあるとすぐに辞めていたんです。そんな生活を38歳くらいまで。
4. あん摩マッサージ指圧師を目指すきっかけ
ーあん摩マッサージ指圧師になろうとしたタイミングは?
タオル会社に勤めていたときに社長と喧嘩しちゃって、「また辞めそう」ということを幼馴染に相談したんです。そしたら「また?いつも同じことの繰り返しじゃん。30歳後半にもなっていつまでそんなことしてるの?」と。そう言われて現実を見つめなおしたというか、今更ながらハッと気づかされました。
結局、それまでは「漫画をやるために」都合のいい仕事を選んでいたんですよね。それほど時間に縛られず、給料もそこそこいいような。なので社会人としてのこだわりやポリシーもなく、ちょっと嫌なことがあるとすぐに辞めてしまっていました。「漫画さえ描ければ仕事はなんでもいいや」と。
ーそれで漫画以外にも目を向けようとしたんですね。
漫画以外になにかやりたいことを探さなきゃ、と思って本屋さんにふらーっと入ったんです。
そこで目についたのが、平積みされていた「呼吸法」に関する本でした。タオル会社時代にストレスで全身に蕁麻疹が出ちゃって、その体質改善のためにヨガを取り入れていたので呼吸法には興味があったんです。
読んでいるうちに「自己免疫力とか瞑想とか半身浴とか、なんか東洋医学って面白い!これを勉強したい!」って思えたんですよね。
そうして30代後半にして、親に借金をしてあん摩マッサージ指圧師の資格を取るために夜間の専門学校へ通い始めました。
ー学校には同年代の人や社会人もいましたか?
夜間だったこともあり、年下も年上もいましたし、昼間は正社員として働いている方も何人もいましたよ。
ー鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の資格、両方取る人も多いと思うんですが、なぜあん摩マッサージ指圧師だけを?
単純にお金の問題と、当時ネットで調べたら「あん摩マッサージ指圧師は就職に有利!」と書いてあったので……。
むしろ「THE・東洋医学」って感じなのは鍼灸師だということに入学後に気が付きました(笑)。
5. 訪問あん摩マッサージ指圧師として再スタート
ー卒業後はすぐにあん摩マッサージ指圧師として働けましたか?
はい。転職エージェントサービスを利用して訪問介護マッサージ事業所に就職しました。
ー訪問あん摩マッサージ指圧師の仕事内容を詳しく教えてください。
私の場合は、複数の施設や家に派遣されるわけではなく固定の介護付き老人ホームでした。
訪問というより、老人ホームに常駐している派遣マッサージ師のような感じですね。
その老人ホームで希望される方にマッサージを提供しています。あん摩マッサージ指圧師として派遣されているので、介護の仕事はほとんどしません。
ー事業所には寄らず、直行直帰ということですか?
そうです。会社の人とは基本的には電話やメールのやりとりのみで、あとは1人で仕事をしています。人間関係の構築が苦手な私にはピッタリでした。
もし私と同じように職場の人間関係に悩んで転職を考えている方がいたら、訪問介護や訪問マッサージなど訪問系の仕事がおすすめですね。
ー今の給料はどれくらいですか?
住宅手当なども含めて額面で27万円くらい。賞与は年2回です。

ーこれまでは人間関係が原因で辞めることが多かったようですが、この仕事は続けられそうですか?
これからもやっていけそうだなと思います。
実は私、祖母とすごく仲が悪くて、その祖母のイメージに引っ張られて高齢者全般が苦手だったんです。いや、もはや嫌っていましたね。
「仕事だから仕方ない。割り切ろう」と思って転職したんですが、今では考え方が180度変わりました。
ーそれはどんな風に?
実際に色んなおじいちゃんおばあちゃんと接してみると、本当に博識で尊敬できる方や、すごくかわいらしい方がたくさんいらっしゃるんです。
恥ずかしながら、それまでは「高齢者=苦手な祖母」だったので、高齢者はみんな傲慢で自分勝手だと思い込んでいたんです。皆さん穏やかで礼儀正しいし、人間的にもすごく立派なのでいい意味で衝撃的でした。
ー何か印象的な出来事などはありましたか?
あるとき、施設のおじいちゃんに雑談くらいな気持ちで相談したことがあったんです。
「私は10年前に挑戦して失敗しているんだけど、最近また同じようなチャンスに恵まれた。でも失敗が怖くて挑戦する勇気がでない」って。
そうしたら「今のあなたは10年前のあなたじゃない。10年分の経験を積んだあなたなんだよ」と。
その言葉がすごく胸に刺さって、前向きになれたんです。
ー人生の大先輩なので深みがありますね。その挑戦というのは「漫画」ですか?
それは秘密です(笑)。
6.(番外編)生活・お金の話
ー今も漫画を描き続けているんですか?
今はまったく描いていないですね。暇なときに絵を描いているくらいかな。
ー休みの日は何を?
近所の商店街で買い物をしたり、ふらっと喫茶店に入って読書をしたり。
あと普段は人にマッサージをしてばかりなので、自分がマッサージを受けにも行きます。体の調子がよくなるし、人の施術を身をもって体験することで勉強にもなるのでお得ですよ。
ー忠告をしてくれた幼馴染とは今も会っていますか?
つい最近会いましたよ。仕事の話をしたら「珍しい。まだ続いてるんだねー」とドライな反応でした(笑)。
ースマホのホーム画面を見せてください。
もともとデザイナーでMacとか使ってたくせに、スマホを使いこなせないんですよね。アプリも全然入ってないですし、スクリーンショットの撮り方もちょっと……。

よく使うアプリは順に「Twitter」「Instagram」「Yahoo!天気」です。
ー背景の写真はご自身で撮影したんですか?
一応そうですね。
ー親御さんに借りた専門学校の学費や入学費は順調に返済できていますか?
なんともう完済済みなんです! 自分で学費を払うことで、改めて親の偉大さを感じましたね。44歳にもなって何言ってんだって感じですが。
ーでは最後に、今後の展望を教えてください。
しばらくは今の会社であん摩マッサージ指圧師としての経験を積みたいです。この業界に入ってまだ3年目で知識や技術も未熟なので。
将来的には訪問あん摩マッサージ指圧師として独立するのも、選択肢のひとつとしてはありかなと思います。
ー本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。