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インタビュー2020/01/24
カナダで保育士資格取得→島根県・海士町に移住した“離島保育士”の働き方

島根半島の北約60㎞の位置にある隠岐諸島の1つ「中ノ島・海士町」。人口約2,400人の小さな町には、Uターン移住者のほか、島外出身のIターン移住者も多いと聞きます。今回は海士町の「森のようちえん・お山の教室」の保育士さんに、島で働く魅力を聞いてきました。

海士町の風景

1.隠岐諸島・海士町(中ノ島)に行ってきた

今回は、離島で働く保育士さんを取材するため、島根県の日本海沖にある「隠岐諸島」に行ってきました。

取材に協力してくれる保育士・渡邉道子(わたなべみちこ)さんは、隠岐諸島のひとつ「中ノ島・海士町(なかのしま・あまちょう)」にある「森のようちえん・お山の教室」で働いているとのこと。

point

※森のようちえんとは
デンマークが発祥とされる、自然体験活動を軸にした子育て、保育、乳児・幼児教育の総称。日本でも森や海、川、山などの豊かな自然環境を利用して、各都市で様々なスタイルの活動がおこなわれている。

本土から海士町へのアクセスは、島根県・七類港(しちるいこう)から、海士町・菱浦港(ひしうらこう)行きのフェリーと高速船が出ています。

それぞれの所要時間と料金の目安は以下のとおりです。

アクセス方法 所要時間 片道料金(最安)
フェリー(七類港→菱浦港) 3時間10分〜 3,300円〜
高速船(七類港→菱浦港) 1時間46分 6,280円

「森のようちえん・お山の教室」は、海士町の玄関口となる菱浦港フェリーターミナルから、車で約16分の距離にある「隠岐しぜんむら」の中にあります。


お山の教室の風景1

(民宿で借りた電動自転車で向かいました)

お山の教室の風景2

(道を間違えていないか不安になった矢先に、注意書きを発見)

お山の教室の風景3

(出発から1時間ほどで目的の園が見えてきました)

2.「森のようちえん・お山の教室」に到着

お山の教室事務局の藤本さん

「森のようちえん・お山の教室」を運営する、NPO法人隠岐しぜんむら・お山の教室事務局長の藤本さん


ーはじめまして!渡邉先生はいらっしゃいますか?

藤本さん:遠いところからご苦労様でした(笑)。午前遊びが終わってお昼を食べているので、ご飯まだでしたら一緒にどうですか?

お山の教室食事風景

気温10℃を下回る天気にもかかわらず、子どもたちは元気でした


ーありがとうございます!子どもたち、みんな人見知りしないんですね。

藤本さん:島にもお山の教室にもいろんな人が来るので、慣れてるんだと思います。

お山の教室食事風景2

この日のメニューは「おでん」と「おひたし」と「枝豆のまぜごはん」


ー藤本さんはお山の教室の事務局長とのことですが、そもそもお山の教室を運営している「隠岐しぜんむら」はどんな場所なんですか?

隠岐しぜんむらは、海士町から委託を受けて、研修宿泊施設や「森のようちえん・お山の教室」を運営している拠点です。お山の教室チームとは別にネイチャーチームがあり、ネイチャーチームは、自然環境保全のために野生動植物調査や環境教育プログラムの企画運営などをおこなっています。

なので「お山の教室」の保育士さんたちは「NPO法人隠岐しぜんむら」の職員というかたちになります。

ー「お山の教室」はどんな経緯でできたんですか?

もともとは、「子どもを自然の中で遊ばせたい」と想うお母さんたちがはじめた「親子おさんぽ会」という取り組みに、自然の知識と幼稚園教諭の免許を持つ隠岐しぜんむらのスタッフがいっしょになにかできないかということで、平成26年にNPO隠岐しぜんむらが運営主体となる「お山の教室」が始まりました。

週1回のペースでやっていましたが、保護者の方や地域からの要望が高まり平成28年度から海士町教育委員会の全面バックアップをしていただき教育委員会から委託という形で週3回に、平成29年度からは週5回になり、認可外保育施設認定も受け活動をおこなうようになったんです。

ー「お山の教室」に保育士さんは何人いらっしゃるんですか?

常勤の保育士は4人いて、20代が2人・30代が2人です。あとは育休中の保育士が1人です。

主任のスタッフが育休中のため、今日インタビューしてもらう渡邉は、副主任になりますがすごく有能なので、いろいろ聞いてみてください。

ーありがとうございます。お昼ごはん美味しかったです。

ちなみに、これから先生も園児たちもふもとの「あまマーレ」という施設に車で移動するので、着いてきてもらっていいですか?

ーあ、そうなんですね。自転車で追いかけます。

お山の教室食事風景

(「お山の教室」がある金光山からの眺め)

あまマーレ外観

(自転車で20分ほど山を下って、あまマーレに到着)

3.カナダに留学して、保育士資格を取得

お山教室の風景4

ー先ほどはごちそうさまでした。「お山の教室」から移動してきましたが、こちらも保育施設なんですか?

渡邉さん:あまマーレ」というコミュニティスペースです。もともと保育園だった建物を改修して教育委員会が管理しているんですけど、「お山の教室」 ではお昼寝と午後保育に使わせてもらっています。

あまマーレ内観

ー2拠点で保育をおこなっているのは珍しいですね。渡邉さんは移住してくる前も保育士だったんですか?

ここに来る前は、地元・三重県の保育園で7年働いてたんですけど、仕事を辞めてカナダに約3年半滞在して、2019年2月に帰国しました。海士町に移住してきたのは3月ですね。

ーカナダ滞在の目的は何ですか?

1年目はワーキングホリデーとして行ったんですけど、保育関係で取りたい資格があったので、向こうの大学に通おうと思っていたんです。ただ、英語力や金銭面で入学が難しくて断念したんですけど。

ー取りたかったのはどんな資格ですか? 日本では取れない?

医療環境にある子どもや家族を支援する資格です。日本にも近い資格があるんですけど、当時、その資格が取れるのが静岡だけで。定員が少なかったり、講座の開催も不定期だったりして、働きながら通うのが難しかったんです。

まあ、もともと海外に興味もあったので、「どうせ仕事を辞めるなら海外に行っちゃおう」と勢いで。

ー思い切りがいいですね。カナダで大学進学を断念して…その後は?

保育の勉強はしたかったので、カナダの保育士資格を取るために、滞在2年目はバンクーバーの専門学校に1年間通いました。

ーカナダの保育園って日本の保育士資格では働けないんですか?

カナダのBC(ブリティッシュコロンビア)州では、日本の保育士資格を書き換えられるので、資格を書き換えて、働くビザを持ってさえいれば働くことも可能です。(※申請〜取得までに約8〜12ヶ月かかる)

わたしは海外の学校がどのように保育士を育てているのか興味があったので、保育士資格の書き換えをせずに、現地の専門学校に通いました。

ーカナダの専門学校はどんなサイクルなんですか?

日本の学校とほぼ一緒です。週5日・1日5時間授業に出て、レポートを出したり、試験を受けたり。あとは約3ヶ月実習に行って、資格を取りました。

ー資格を取ったあとはカナダで保育士に?

保育士の資格を取って、働けるようにはなったんですけど、実習などで実際に子どもと接することが増えるにつれて「これはダメだな…」って思って帰ってきました。

ー資格が取れたのに少しもったいない気もするんですけど、何か問題があったんですか?

やっぱり“言葉の壁”が大きかったです。授業で学校の先生が話す英語は聞き取れても、保育園の子ども、とくに2〜3歳が相手だと意思疎通が取れなくて。

たとえば、日本の2〜3歳くらいの子って、大人でも何を言ってるかわからないことがあると思うんですけど。

ーありますね。3歳の息子がいるのでよくわかります。

それが外国の子どもになるとさらにわからなくて。向こうもわたしの発音を理解できなかったり、子どもの気持ちをちゃんとくみ取ってあげられていない自分も嫌で「もうこれダメだ」って思ったんですね。

保育スキルを上げたくて行ったのに、このままいても言葉ばかりに気を取られた保育しかできないなと。なので資格取得後は日本に帰ってくることにしました。

4.隠岐諸島・海士町(中ノ島)に移住したきっかけ

お山の教室・保育士渡邉さん2

(「あまマーレ」から住んでいるシェアハウスに移動中)

ーカナダから日本に帰ってきて、隠岐諸島に移住したきっかけは?

カナダ留学中の夏に一度日本に帰って来て、お山の教室で3週間インターンをしていたんです。そのときはお金もなかったので、短期の受け入れ先を探していて。

それでカナダに戻って、また「春から日本で仕事を始めよう」と思ったときに、お山の教室から「ぜひ正規職員として働いてくれませんか!」と声をかけていただいた感じです。

ー「お山の教室」のどんなところに惹かれたんですか?

離島の大自然を利用した保育に興味があったのと、島の雰囲気や地域の人との距離の近さに惹かれました。

お山の教室野外活動

隠岐しぜんむらの周辺をベースに遊んでいるが、月3回程は、海、里、田んぼ、集落など集落にお出かけする


わたしは「社会で子どもを育てる」ということがやりたくて、海士町の「お山の教室」だったらそれができるなという感覚があったんです。

地元の園で働いていたときは、家庭状況の把握はするけど、実際にどんな生活をしているかは知り得ないし、保育士と保護者という関係を大事にするためにもできるだけ子どもの家庭に入らないでおこうとさえ思っていたんですけど。

海士町は人口が少ない分、保護者が自分の子ども以外のこともよく知っていて、面倒を見るのが当たり前という空気があるし、保護者と距離が近いことも逆に心地よいので、保育がやりやすいなと思います。

お山の教室野外活動2

子どもたちが納得できるまで自然を「遊びこむ」 ことで生きる力を育む

5.「森のようちえん・お山の教室」での働き方

お山の教室・保育士渡邉さん3

ー「お山の教室」の仕事について聞かせてください。

「お山の教室」で働き始めて半年ちょっとなんですけど、外部の主任研修を受けた中、入ってすぐ副主任になりました。来てびっくりみたいな(笑)。

ー副主任はどんな仕事をするんですか?

園内では通常保育のほかに、現場のリーダーをやったり、スタッフたちのシフトを作ったりという感じなんですけど、対外的な仕事もけっこう多いですね。

たとえば、保育園の先生や小学校の先生と子どもたちの様子を伝えあったり、小学校との交流会に参加したり、特別支援が必要な子の就学に関して、教育委員会と打ち合わせをしたり。卒園後の次のステップをつなぐような役割をしています。

海士町立海士小学校

島に2校ある小学校の1つ「海士町立海士小学校」


ー聞く限りだいぶ忙しそうですけど、園での勤務時間は?

朝は早い子が8時過ぎに来て、全員17時45分までに帰るので、一般の保育園に比べれば比較的短いと思います。

ー「お山の教室」に延長保育はないんですか?

17時30分〜17時45分までが延長保育なんです(笑)。海士町は共働き家庭が多いんですけど、基本的に17時〜17時半までには迎えてに来てもらっています。

ー行事準備や書類作成で残業することもありますか?

行事自体があまりないので、制作物などに時間はかかりません。

書類に関しては、子どもの成長を記録したり、事務処理をしたりしているので、多少の残業があります。月の勤務時間は残業込みで平均180〜200時間くらいだと思います。

ーお給料はどれくらいですか?

ここは島根県の離島の基準になるので前職よりは多少下がりました。

わたしは自分が働きやすくて、やりたい保育ができる場所が大事なので、生活できるだけのお金が稼げて、それなりに貯金ができればいいかなくらいの感じです。

6.離島に移住してみて思うこと

お山の教室・保育士渡邉さん3

ーいまは移住1年目だと思うんですけど、今後について何か考えてますか?

それがぜんぜん考えてなくて(笑)、とりあえず丸2年は働こうかなと思っています。保育の仕事はずっとやっていきたいんですけど、特別支援保育にも興味があるので、将来どんな環境で働くのがいいのか、カナダに行く前もこれからも、ずっと悩み続けていくと思います。

展望としては、専門学校生や大学生に保育のやりがいを伝える仕事ができたらいいなと思っています。それくらいですかね。

ー自分で保育施設を運営したいという希望はありますか?

そういう希望はまったくありません。園を立ち上げたり、園長になったりするのって、いろいろな人の人生を背負う覚悟が必要だと思うので。正直、そこまでの踏ん切りはつかないんです。

それに自分の理想の保育をやっている場所はたくさんあるので、自分で作らなくても、そこで働ければいいんじゃないかなと。

ー島で結婚するという選択肢もありますか?

なくはないです。ただ、今のところ現実性もないので、流れに身を任せようみたいなところがあります。離島に住むことや働く場所に固執しているわけではないので、そのへんは軽く考えられたらいいなと思います。

ー離島に興味がある保育士さんに、アドバイスはありますか?

離島は良い意味でも悪い意味でも、外界からの情報や刺激は減ってしまいます。そうなると、考え方が偏りがちになってしまうこともあるので、「島での生活はあくまで一部分に過ぎない」という感覚を持っておくと、気持ち的におおらかでいられる気がします。

ー「ちょっと移住してみるか」くらいの気持ちのほうがうまくいくこともありそうですね。

7.(番外編)〜離島の暮らし・共同生活〜

お山の教室・保育士渡邉さん4

ー島での生活について聞きたいんですけど、移住するときに住む場所はどうやって探しましたか?

住む場所は「隠岐しぜんむら」にお任せして、役所に聞いてもらいました。単身用がなかなか空かなくて、移住当初は「隠岐しぜんむら」の宿泊施設を使わせてもらっていたんですけど、シェアハウスに空きが出たので、4月から住んでいます。

ーシェアハウスはどんな建物なんですか?

昔からある2階建ての一軒家です。建物自体は古いんですけど、改築してあるので中はそれなりに綺麗です。ちなみに女性限定の4人用で、いまは3人で住んでいます。

ーシェアハウスの約束事ってありますか?

3人の部屋がある2階に人を入れないってことくらいですね。1階は共用部分になっているので、近所の人や友達を呼んで集まったり、ご飯を食べたりしています。

あとはトイレットペーパーとかサランラップとか、ほかの人とシェアするものはお金を出し合って買っています。

海士町のシェアハウス1

1階共有部分のダイニング(写真左)と和室(写真右)


ーそれぞれのお部屋はどれくらいの広さなんですか?

私の部屋はお見せできないんですけど、空いている1階の部屋と同じくらいの広さです。

海士町のシェアハウス2

1階共有部分の廊下(写真左)と空き部屋(写真右)


ー建物自体がわりと大きいんですけど、家賃はいくらかかりますか?

光熱費込みで月24,000円だと思いますけど、安すぎてあまり気にしたことがない(笑)。単身用はもう少し高くて30000円くらいだったかな。

ー激安ですね。家賃以外に島でかかるお金ってありますか?

毎月かかっているのは、家賃とガソリン代と食費だけなんですよね。ガソリン代は1回3,500円程度を月2回分。食事はほとんど自炊なので15,000円くらい。三重で働いていたときよりお給料が少し下がったんですけど、いまのほうが貯金できています。

ー食材はどこで買っているんですか?

海士町にはコンビニエンスストアがないので、港か役場近くやシェアハウスの徒歩圏内にある商店で買っています。

ー嗜好品とか、ほかにお金を使うものってありますか?

ネット通販でたまに本を買います。ただ、本も図書館にリクエストを出したら買ってくれることが多いんです。この前、漫画の注文を出したら「冊数が多くてちょっと無理かも」ってい言われましたけど(笑)。

ー離島で生活してみて、驚いたこと・困ったことはありますか?

驚いたこと・困ったことはないですけど、旅行や帰省で島から出るときにめっちゃ大変だなと思いました。1日のフェリーの本数も決まっているし、電車やバスとの乗り継ぎもそれなりにかかりますし、そのあたりは疲れちゃいますね。

あとは人との距離が近いので、何かあるとすぐ噂が広がります。たとえば、ちょっと車で事故でも起こそうものなら、その日の夜にはみんなに広まっているとか(笑)。

その感覚がダメな人はダメだと思うんですけど、逆に後ろめたいことがなければ、とくに生きづらさもないと思います。

お山の教室・保育士渡邉さん5

ー本日は以上になります。ありがとうございました!

読者の方へのメッセージ

「失敗」を前向きに捉える人は強い

カナダの保育園で“言葉の壁”を感じ、海士町に移住した経験を話してくれた渡邉先生には、失敗を悲観するような雰囲気はありません。カラッと「ダメだったら次!」と挑戦するポジティブさは、移住先の海士町の風土にもよく合っているように思います。やりたいことや働き方に迷っている人は、「一度失敗してみる」のもいいかもしれません。

宮原透宮原透(編集者)2020/01/24

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