石垣島に移住した保育士に聞く、離島での働き方と暮らしのリアルな話

豊かな自然と美しい海に囲まれながらも、中心地は開発が進みつつあり、利便性も増している石垣島。昨今は、その人気も高まっており移住者が増えているそうです。そんな石垣島の保育士・細谷さんに仕事と暮らしのリアルなお話を聞いてきました。

石垣島の保育士1

1.石垣島に行ってきた

石垣島の風景


今回お話を伺ったのは「やしの実保育園」の保育士・細谷直美さん

細谷さんが移住した石垣島は沖縄本島から南西に410km。

八重山諸島のうちの1つで、八重山諸島における商業・教育の中心地であり、各島へのアクセスの起点になります。

若年層の既婚率が高い沖縄県の合計特殊出生率は全国1位(厚生労働省/平成29年人口動態統計の概況)。離島では出生率がさらに高くなる傾向にあり、移住者も多い石垣市の人口は50,000人に迫っています(2019年12月時点)。

年間平均気温は24.3℃。日差しが強く高温多湿な気候で、気温が最も下がる1月〜2月でも平均最低気温が17℃前後です。

島へのアクセスは飛行機がメイン。羽田・名古屋・大阪・福岡からは直行便が出ており、それ以外の都市からは那覇経由になります。

アクセス方法 所要時間 片道料金(最安)
羽田空港→新石垣空港 約 3時間〜 13,500円〜
関西空港→新石垣空港 約 3時間〜 8,000円〜
名古屋空港→新石垣空港 約 3時間〜 18,000円〜
福岡空港→新石垣空港 約 2時間〜 19,000円〜
那覇空港→新石垣空港 約 1時間〜 5,000円〜

※料金は航空会社やシーズンによっても変動があります(2020年1月現在)

2.石垣島の保育士になったわけ

石垣島の保育士2


ー本日はよろしくお願いします。

細谷さん:よろしくお願いします。

ーまず簡単なプロフィールを教えてもらえますか?

やしの実保育園で保育士として働いている細谷直美です。

あの……この部屋、暑くないですか? 私が緊張しているからですかね?

ーちょうどいい室温だと思いますよ。

そうですか、すみません(笑)。

それで、出身は埼玉県で年齢は34歳です。

ーありがとうございます。石垣島に来る前は地元の埼玉で保育士を?

いえ、短大を卒業して東京都葛飾区の認可保育園に就職し、6年間働いていました。

その保育園を辞めたあとはすぐに石垣島に。

石垣島のやしの実保育園

細谷さんの働く「やしの実保育園」

ーということは石垣歴はそれなりに長いんですね。

そうですね。26歳のときに移住したので、今年で9年目になるのかな?

もう10年近く経つなんて……自分のことながら時の流れが恐ろしい。

ー石垣島に移住しようと思った理由を教えてください。

きっかけは高校のときの家族旅行ですね。沖縄本島に行ったんですけど、まず沖縄独特の雰囲気を好きになったんですよ。ちなみに、そのときはまだ石垣島の存在すら知りませんでした。

その後、働きだしてからはダイビングが趣味になって、いろいろ調べているうちに石垣島を知り、実際にダイビングをしに行ったらどっぷりハマっちゃいまして。

多い時は月1回くらいのペースで来ていたと思います。

そうなってくると旅費もバカにならないし、「じゃあもう石垣島に住んだらいいんだ!」って。

ちょうどそう思いついたときが、保育士1年目に持った子たちが卒園の年だったので、キリがいいなと思って3月末にすっぱりと辞めました。

石垣島・ダイビング

写真左が細谷さん:今でも趣味のダイビングは続けているという

ー石垣島に移住後は、すぐにいまの保育園に?

実は石垣島で保育士として働き始めたのは、いまから3年前くらいなんですよね。

ーあれ、そうなんですね。それまでは何をしていたんですか?

失業保険や退職金もあったので、ゆっくりと島の生活に慣れながら保育園を探そうと思っていたんです。ちょっとゆっくりしすぎたかもしれませんが(笑)。

移住してから最初の3年間は、商店街のお土産屋さんで働いていました。ここから車で5分くらいのところにあるユーグレナモールっていう商店街です。

そのあとは、島にひとつだけある児童館で3年間働いていました。

石垣市健康福祉センター

島唯一の児童館がある「石垣市健康福祉センター」

ーやしの実保育園の求人はどうやって見つけましたか?

ハローワークです。

ただ、もともとここの保育園自体は知っていたんです。島っぽい名前でかわいいし、保護者に知り合いもいたので話を聞いてみたら雰囲気のよさそうな園だなと。

そんなときに、友達から「やしの実の求人がハローワークで出てたよ!」って教えてもらい、即座に応募しました。

そんな感じで保育士復帰して、いまは4年目ですね。

ーそのお友達というのは?

石垣島の居酒屋で知り合った飲み友達です。

そういう酒飲み仲間が多いんですよね(笑)。

ーお酒好きなんですね。

飲むのは週末くらいですけどね。

ー離島では住む家を見つけづらいと聞いたんですが、細谷さんはどうでしたか?

最近はそうみたいですね。

私が石垣島に来たのは9年前だったこともあり、当時はまだそんなこともなかったんですよ。

ただ、いま広い部屋に引っ越したいんですけど、やっぱり空きがないんですよね……。

ーやっぱり見つけづらいんですね。いまの家賃はおいくらですか?

4万円ちょっとくらいで、間取りは1Rです。

ー9年前から家賃は上がっていないんですか?

当時は4万円ジャストだったけど、3年前くらいに4万3,000円に上がりましたね。

ーそれでもいまの家賃相場よりも安そうですね。

3.石垣島の保育園での働き方

石垣島の保育士3


ー正直なところ、以前勤めていた保育園と比べてお給料は下がったんじゃないでしょうか?

だいぶ下がりましたね。一人暮らしを始めたのもあって、自由に使えるお金は半分くらいになりました。

でも私自身はそんなに散財するタイプでもないですし、島ではお金を使うことも少ないのでそれほど不満に感じたことはないです。

ー都心と離島で働き方に違いはありましたか?

昔働いていたところは都内だったこともあってか、「いかに保護者の助けになれるか」「いかに保護者の負担を減らしてあげられるか」ということを中心に考えた保育をおこなっていました。

一方で石垣島では子どもをのびのびと育てることに重きを置いていますし、園と地域との関わりも深いので、保護者の方がいろいろと協力してくれますね。

一緒になって保育について考えてくれたり、行事を手伝ってくれたり。

保護者の方との距離が、いい意味で非常に近いです。

石垣島の保育士4


ーやっぱり保護者の方々の性質も違うんですね。

そうですね、やっぱり都内はバリバリのキャリアウーマンのような方が多かったですね。

もちろん石垣島でも働いているママさんはたくさんいるんですが。

やしの実保育園にも都内から移住してきた保護者の方は多くいますが、みなさんゆったりと子育てと島生活を楽しんでいる印象ですね。

ーちなみに、やしの実保育園で働く保育士さんの移住者の割合は?

どれくらいだろう。そんなに多くないと思います。

職員が33人いて、その中の6〜7人ですかね。

ー意外と少ないですね。園内の雰囲気はどんな感じでしょうか?

先生たちはみんな明るくて仲良しですね。おしゃべりで賑やかだけどおっとりしていて、内地(本州)の人がイメージする「THE・南の島の住人」って感じです(笑)。

都内で働いていたころには、職員同士の人間関係がギクシャクしていたこともあったんですが、こっちではまったくないですね。

優しく受け入れてもらえましたし、島独特の親しみやすさみたいなものを感じます。

園内でヤギを飼っているところも島っぽくていいな〜って。

石垣島のヤギ


ー職員の人数は十分足りていますか?

やしの実保育園はそれほど人手に困っていないですね。

石垣島全体で考えると、保育士は不足しているようですけど。

石垣島って出生率が高いんですよ。なので子どもの数は多いんですが、保育士の数が足りていないんです。

それで、保育士を呼び込むために国が島外からきた保育士に補助金を出すなどの施策もおこなっていたようですね。

ー移住してきた個人に支給されるんですよね?

そうですよ。引っ越し費用くらいにはなりますよね。

でも、さっきの話とも繋がるんですけど、いざ保育士さんが石垣島に来ても今度は住む場所を探すのに苦労するんです。空き部屋はすぐに埋まってしまうので。

ーやっぱり住宅の供給が追いついていないんですね。

4.石垣島で暮らすということ

石垣島の夕日


ー石垣島へ遊びに来ていた時と実際に移住してからとで、ギャップは感じましたか?

どうでしょう。ほとんど感じなかったと思いますよ。

逆にギャップがなさすぎて驚いたというか……。

「よそ者を受け入れてくれるのかな」とか「ご近所付き合いが大変なのかな」とか、そんな感じの心配も少しあったんですが杞憂でしたね。

島の人はみんな優しいです!

ー移住して良かった点と悪い点は?

良かったのは、やっぱりのびのびとリラックスした生活が送れている点ですね。

東京で働いていた時は常に仕事や時間に追われて、いつもせかせかしていたような気がします。

こっちだと気の赴くままにふらっと出かけて海でぼけーって過ごしたり、星空を見にドライブをしてみたり。

不便に感じる点はそんなにないですね。

もともとそんなに買い物とかもしないんです。服とか化粧品にもそれほどこだわりはなかったので。

石垣島の保育士5


ー物欲がないんですね。

そうなんですよね。ユニクロがあったら便利だなーと思うくらいです。

あとは、ネットショッピングの送料が高いくらいですね。うっかり注文しちゃうと「え!送料めっちゃ高い!」ってことになりかねないので注意が必要です。送料無料になるアマゾンプライムの加入は必須ですね。

ーここでもアマゾンが強いんですね……。毎月の生活費はどれくらいですか?

月の支出は、だいたいこんな感じです。

家賃:4万3,000円

光熱費:4,000円

食費:5,000円

交際費:2万〜3万円

通信費:1万円

ダイビング代:1万円



ー光熱費と食費がすごく安いですね。

そんなに節約してるつもりはないんですが、エアコンの風が苦手で扇風機しか使わないからですかね。

食費は、基本的に毎日チラシをチェックして安いお店を選んで買い物しています。特に日曜朝市は外せませんね。島では野菜がすごく高いので、朝市でまとめ買いをし、小分けにして冷凍しています。

湿気がすごくて食材もカビてしまうんで、常温放置は厳禁です。

ーたしかに、ほかの島でも湿気の悩みは耳にしました。

車や自転車は放置しておくとすぐにさびちゃいますね。

「車のマフラーが腐食して、ボトッて落ちた」なんて話も聞いたことがあります。

なので車や自転車はこまめに手入れをしないとダメなんですよね。面倒臭がりな人は意外と島には向いてないかも。

石垣島の保育士6


ー島暮らしに向いているのはどんな人だと思いますか?

向いていると思うのは贅沢をしない人や欲がない人ですかね。

逆におしゃれが好きな人はあまり向いていないんじゃないかな……。

ーむしろ、おしゃれな人が島に来るイメージでした。

観光に来る分にはいいんじゃないでしょうか。

やっぱり島だと、服とかおしゃれな雑貨とかが手に入らないので。

あと「私がおしゃれ反対派だから」っていう勝手な理由もあります(笑)。

「あれしたい、これしたい」っていう欲求が強い人は難しいのかなと思います。

高校の同級生も最近こっちに移住したんですが、おしゃれが大好きな子なので石垣島の生活にちょっと頭を悩ませているようです。

その子は好きなアーティストの追っかけもしてるので、月1回くらいの頻度で内地に帰ってるみたいですね。こっちだとコンサートとかもないので。

ーなるほど。外向的な人が島暮らしに向いているのかなという印象もあります。

そんなことないと思いますよ。

私はもともと内向的ですし。石垣に来たら自然と友達が増えて、だんだん外向的になってきました。

内気な人でも、きっと島の陽気な雰囲気がなんとかしてくれます!

ー伝統行事やお祭りが多いから、いろんな人との関わりも増えるんですかね。

それもありますね。たしかにお祭りや伝統行事の多さには驚きました。

例えば豊年祭という五穀豊穣を祈るお祭りや、爬竜船(はりゅうせん)という船を漕ぎ合うハーリーというお祭り。あと伝統芸能のエイサーは有名ですよね。

はじめのころは全く知らない行事ばかりだったので、毎回わくわくしてましたね。

石垣島のハーリー

ハーリーの様子:沖縄各地の漁港でおこなわれ、豊漁や航海の安全を祈る

ー細谷さんもそういった行事には参加したんですか?

私も4年くらい前までは、エイサーのチームに入れてもらっていましたよ。

エイサーを通していろんなイベントに参加できたのはすごく楽しかったですね。

いろんなお祭りとかパレードとか。あとは定期的にホテルに招待されて、お客さんの前で踊ったり。

私の気力と体力ともに一番元気だった時代ですね。保育士に復帰するころからは体力的にも大変になってきたり、時間もあまり取れなくなったりして辞めちゃいましたけど。

石垣島のエイサー

細谷さんがエイサーをしていた2016年時の写真

ー都会だとそういったイベントにも気軽に参加できないですもんね。

そうなんですよね。とくに東京の単身者はなかなか地域との繋がりを持てませんしね。

内地にはない島の伝統行事や文化を見ていると、こっちの子ども達は幸せなんだろうなって思います。

もちろん都会に憧れる子も多いとは思うんですが、都会ではなかなか得ることのできない、人と人との温かみに触れられていると思うので。

私自身、最近になって島の文化や行事の歴史的背景や意味などがわかってきたんですよね。

いままでは見よう見まねでただ参加しているだけだったんですが、そういう文化の背景とかにも興味を持てるようになってきました。

なので、地域に伝わる文化や行事を大切にして、園の子ども達にも伝えていけたらなと。

ーでは最後に、島に移住を考えている人になにかアドバイスあれば。

悩むくらいなら勢いできちゃえ!」と言いたいですね。

石垣の人たちは移住者に対してすごく優しいですし、なにかと味方になってくれます。近所のおばちゃんが野菜をお裾分けしてくれたり、地域の飲み会に誘ってくれたりとか。島の人たちは本当にあったかいです。

たぶん、石垣島に限らずどこの島もそんな感じなんじゃないかな。

ー1歩めの勇気が大事ですよね。本日はありがとうございました!

読者の方へのメッセージ

観光地としても移住先としても人気の高い沖縄の離島

沖縄らしいゆったりとした空気感の石垣島。豊かな自然はもちろんのこと、離島のなかでは比較的発展しており、その人気の高さに納得でした。 都会の喧騒に疲れてしまった方は、石垣島で島暮らしデビューしてみては?

深沢 元貴 (ジョブメドレー 編集) 2020/01/22

プロフィール

「なるほど!ジョブメドレー」は、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」が運営するメディアです。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に就いている人や就きたい人のために、キャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。仕事や転職にまつわるご自身の経験について話を聞かせていただける方も随時募集中。詳しくは「取材協力者募集」の記事をご覧ください!

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