まず、ご自身が訪問看護師になった経緯を教えてください。
高校1年生の進路調査の時、附属の大学に看護学部があると知って興味を惹かれました。医療は誰しも触れる機会があるけれど、外から見るとベールに包まれたよく分からない世界というイメージがあり、その中を見てみたいという好奇心がありましたね。当時、TOKIOの松岡さん主演の「ナースマン」というドラマを見ていて、今後男性看護師の活躍の場も増えるのではないかという考えもあり、ベッドサイドでご利用者様相手に様々な業務に関われる看護師を目指して進学しました。卒業後は大学病院の救急で働いていましたが、訪問看護には学生時代からずっと関心を持っていました。
今の日本の医療の様々な問題点(救急車のたらい回し、入院の長期化など)の解決のキーワードは在宅医療ではないかと。救急と訪問看護は一見全然違う分野ですが、地域の方々が困った時に真っ先に利用したい場所という点では共通していると思います。
2011年の秋、このまま救急でプロフェッショナルを目指していくか、別の選択をするか迷っていました。訪問看護の世界に入るなら、自分でゼロからやってみたい。でも資金も経営の知識もないので大学院でMBAを取得することも視野に入れて迷っていたところに、大学の先輩だった代表の川添と再会し、縁を感じてケアプロの訪問看護事業に参加することになりました。お互いのやりたいことが一致していたというのが決め手となりました。
ケアプロの訪問看護事業について教えてください。
ケアプロの訪問看護ステーションは、2011年の東日本大震災で、川添をはじめとするケアプロのナースたちが被災地を訪れたことがきっかけで発足しました。避難所や仮設住宅で必要な在宅医療が受けられずにいる人々を目にして、これは将来の日本の縮図であると確信しました。その時から、ケアプロの訪問看護ステーションのミッションは「2020年には30万人発生すると言われる看取り難民を救うこと」です。現在、中野と足立にステーションがあり、ご利用者様数は中野で約80名、足立で約30名です。これを中野では8名の看護師と1名の理学療法士、足立では7名の看護師で看ています。スタッフの平均年齢は28歳。業界全体の訪問看護師の平均年齢は40歳くらいですから、非常に若い看護師たちの集まりと言えます。
若さの強みはなんといっても24時間365日体制でサービスをおこないやすい体力があることと、それを許す家庭環境があることです。病気も障がいも 時間や曜日を選んではくれませんから、24時間365日の訪問看護というのは在宅医療にとって絶対に必要なものなのですが、やはり年配の看護師の場合は家庭との両立が課題になり、24時間365日のサービスを提供したくても出来ないというステーションが多くあります。
この課題に対して、若手が活躍できる当社の訪問看護ステーションはご利用者様にとっての解決策となります。実際に、ご利用者様やケアマネジャーの方々、時には別のステーションから、「平日は別の事業所を利用しているけど土日だけケアプロにお願いできないか」という相談を受けることもあります。もちろん、若さ故に経験不足な面があるのも確かです。だからこそ熱意を持って常に切磋琢磨し、成長していかなくてはならないと日々感じています。時には近隣のステーションの先輩看護師の方々に勉強会に呼んで頂き、ご指導頂く機会もあります。
先輩方の中には、訪問看護が介護保険適応となる前から訪問看護に取り組んでこられた村松静子さんなど、訪問看護のパイオニアと呼ばれる方々もいます。訪問看護の世界は常に需要が供給を上回っているのが現状なので、近隣のステーションとはご利用者様を紹介、情報の共有などの協力関係が築かれています。
勤務体制や新人教育について教えてください。
既卒の採用が多いですが、平成25年度に初めて新卒の看護師を採用しました。基本的な研修方法は病院に入るのと変わりません。先輩についてOJTで学び、仕事を覚えて独り立ちします。ただ、訪問看護の場合、訪問先によってケアの勝手が違いますし、病院と違ってステーションとの距離が離れているので、長めに研修を行いしっかりとサポートをしています。新卒が訪問看護なんてナンセンスだ、という意見もあるようですが、日本看護協会などでは寧ろ推奨されています。柔軟な頭と吸収力を持った若い人材が求められてきています。ガッツと体力がいる仕事ですが、やりがいはあります。地方出身の若手も多く、いずれは地元でステーションを作りたいという夢を持つスタッフもいます。
また、今年の4/19、8/23、12/20に聖路加看護大学と共同で、新卒訪問看護師教育セミナー「きらきら訪問ナースの会」を開催することが決まっています。新卒採用を検討中のステーション向けのセミナーとなっており、当社の新卒教育の経験を共有することで新卒訪問看護師を受け入れに繋がっていけばいいと思っています。
勤務体制としては、基本的には日中にご利用者様を訪問し、夜の訪問は持ち回りの残業という形をとっています。夜の緊急時にはオンコールで出動します。ケアプロでは電子カルテを導入していて、一人一台iPadを支給しています。いつでもどこでも情報共有できるので看護師の負担軽減に役立っています。若いスタッフが多いのでiPadの導入もスムーズでした。
仕事のやりがいを教えてください。
「生活の場に看護師がいたらいいだろうな」「24時間365日対応のステーションがあったら安心だろうな」と思って頑張ってきたので、ご利用者様から評価、激励を貰えることがやりがいに繋がっています。「看護師さんが居たから在宅で看取ることができた」「24時間対応してくれるから仕事を辞めずに済んだ」「夜対応してくれるステーションを何年も探していてケアプロに出会えた。まるで砂漠の中のオアシスだ」などの言葉を頂き、自分たちのしてきたことは間違ってなかったと思うと同時に、まだまだ訪問看護を必要としている沢山いるという現実を認識し、少しでも多くの人にケアが行き渡るように努力していきたいという思いを新たにしています。
在宅医療における看護師の役割は、医療の知識に基づくケアを行い、ご利用者様や家族の自立生活を実現することです。ひとりのご利用者様と実際に会えるのは一週間に1~2時間だけです。限られた時間の中で最適なケアを行うだけでなく、その後の一週間の体調の変化を予測立て、きちんと暮らしていけるようにアドバイスをすることも重要です。訪問看護があることで、施設や病院に戻らず在宅で暮らせるようになるケースも多々あります。
最後にメッセージをお願いします。
訪問看護に興味を持ち、「やってみたい」と思ったらすぐにやるべき。訪問看護はすごく面白くやりがいのある仕事です。この仕事に興味があるガッツのある方の応募をお待ちしています!