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介護職の離職理由「人間関係」が1位
公益財団法人介護労働安定センターが介護職1万5,087人を対象におこなった調査によると、介護職が離職した理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため(18.8%)」でした。

なぜ介護職では人間関係が問題になりやすいのか? その理由について、介護職の相談コミュニティ「カイゴトーク」内で現役の介護職員から寄せられたコメントを紹介します。また後半では、人間関係を理由とした離職を減らすための工夫についても探っていきます。
人間関係が問題になってしまう理由
介護観の違い

ケアの仕方や介護に対する考え方が違ったり、ケアをする以上上下はないはずなのに経験の長さとかで上下関係が出来たり、意見=口答えと捉えられたりするからかなと思います。自分の行うケアだけが正しくて新人や他の人は間違いと思ってしまうのも原因かと思います。(初任者研修)
職場ごとにやり方が異なる

新しく入ってきた人からすると、古い職場のやり方に疑問を持たれるのかもしれませんが、意味があった上で行ってきたことであります。しかしながら頭から否定され、このようなやり方をなぜすぐに止めることができないのか、改善するための実行に移すのが遅いだの言われ、仕事に行きたくなくなっています。(施設長・管理職)
人手不足

常に人員不足なのに時間に追われる業務や利用者の対応でどうしてもギスギスしていますね。お互い様や助け合う気持ちが足りてないと思ってます。(介護福祉士)

人手不足だからきちんと採用時に人を選んでいないからなのではないでしょうか?クセのある人が多い気がします。他に働くところがないから介護やっている人も結構いるので大変です。(介護福祉士)
自己中心的な人が多い

主に責任の押し付けあい、プライドの高さや競いあいが根底にあるのではないでしょうか。自分が1番正しい、自分だけよければよい…が強い方が一人でもいれば、同じ特質につられてなる人もいるし、職場の雰囲気が悪くなりますね。親切や、公平や責任感ある人がいないと場が乱れます。(介護職/ヘルパー)
管理者の能力不足

人間関係の悪さは、施設長の管理能力の問題です。忙しい中でも、良い雰囲気づくりをしようという意識が欠けてる管理者が多いです。幸い、今の職場はお互いに助け合う精神があり、働きやすいです。(初任者研修)
このほかにも「仕事の出来によって業務量が変わるから」「社会的な評価や待遇が低いから」「無資格でもできる仕事だから」「施設規模が大きい・要介護度が高いと職員の負担につながるから」といった意見も見られました。
人間関係を改善するための工夫
ここからは、人間関係を改善するために実際に取り組んでいる事例や考え方を紹介します。
参照元:
介護職の人間関係が悪い理由ってなんだと思いますか?|カイゴトーク
介護職員さんの離職率を下げるためになにか工夫されていることはありますか? | カイゴトーク
対話する

十人十色という言葉がありますよね。皆さん、性格、考え方はさまざまです。ケアの捉え方、介助方法もそれぞれです。
(中略)
ケアのあり方で方法が違う方と、直接対話をしています。その都度、直接対話を繰り返していくのが介護職の大切なところだと思います。(介護福祉士)
まずはなんといっても相手との対話、コミュニケーションです。上のコメントのとおり、人の考え方は十人十色。苦手な人だとしても、よくよく話を聞いてみると相手の考えを理解できたり、相手からも歩み寄ってもらえたりする可能性があります。相手との関係を諦める前に「十分な対話を重ねられたか?」と振り返ることが大切です。
利用者本位の原点に立ち返る

私の職場は、徹底的に利用者さん本位です。そこの思いは、職員全員同じです。そして行動でも利用者さん優先で動きます。そこが同じであれば、それほど人間関係は悪くなりません。(介護福祉士)
「利用者さんのため」という介護の仕事の原点に立ち返る方法です。「自分が働くのは、利用者さんに安心して毎日を過ごしてもらえるよう、良いサービスを提供するため」ということに意識を向けられると、人間関係のいざこざは小さな問題に思えるかもしれません。
切り替えを意識する

職員同士についてはみんな仲良くする。悪い事は注意するべきだが、尾を引かない。スパっと切り替える。そしてまたみんなで仲良くする。この繰り返しが必要かな。(実務者研修)
なにか問題が起きても、その一件を終えたら引きずらないのは重要なポイントです。「問題があるのはその人自身ではなく、その人がとった行動である」と考えられると、後腐れのない関係を築けそうですね。
マニュアルを作る

人間関係に依存させたくないので、役割ごとにマニュアル作成の徹底をしております。また、役割についても同様にし、評価しやすい環境を整えるようにしております。(リハビリ職)
コミュニケーションではどうにもならない……という場合におすすめなのは、マニュアルを作ってルール化してしまうこと。個人のスキルや人間性に依存することなく、職員が入れ替わっても質を維持しやすくなります。
シフトを調整する

今思えば、シフトで重ならない等、工夫できたのではないか?むしろ私ばっかお局とばかり組み合わされていたことに今気付きました!!(初任者研修)
シフトを調整することで、相性の悪い職員同士を物理的に遠ざけるといった手もあります。苦手な相手のいない時間帯を希望する、シフトを制作する管理者に直接相談してみるといった方法が考えられます。
応募資格で制限する

応募資格に、”人の悪口や噂話を吹聴しない人。文句ばかり言って自分から改善策を見つけて動こうとしない人。3年間で2回以上退職していない人”そんな様な事が書いてありました。(介護福祉士)
採用段階で応募条件を厳しく設定しているというコメントもありました。入職前に価値観を合わせることで、人間関係のトラブルを減らせそうです。
フィールドを変える

もし人間関係が面倒臭いと思ったら、転職した方がいいです。訪問の仕事をしていますが、1対1ですので、気が楽です。(施設長・管理者)
最終手段は、自分自身が転職すること。コメントにもあるように、施設から訪問介護に転職するなど、仕事のフィールドを変えてみるのも一つの手です。
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