
1.「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?
2.燃え尽き症候群の3つの症状
3.燃え尽き症候群になりやすいのはどんな人?
4.燃え尽き症候群(バーンアウト)のチェック表
5.「燃え尽き」を防いで仕事を続けるために
1.「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?
燃え尽き症候群は、別名「バーンアウト」とも呼ばれています。この症状にかかってしまうと、それまで精力的に仕事に打ち込んでいた人が、まるで燃え尽きてしまったかのように仕事への情熱や意欲を失ってしまう状態になります。
場合によっては燃え尽き症候群によって離職してしまうケースもあり、医療や介護の現場においてはその予防や改善が重要な課題となっています。
燃え尽き症候群の特徴としては、医療職や介護職のように「物」ではなく「人」が相手となる職種に多くみられます。
また、このような職種では、目に見える形で成果を得られない場合もあるため、相手に求められるままに際限なく努力をし続けてしまうこともよくあります。その結果、自分では気づかないうちに身体的・精神的に負担がかかり、あるとき突然、燃え尽き症候群になってしまうという危険があります。
2.燃え尽き症候群の3つの症状
燃え尽き症候群になると、心身が極度に疲弊した状態が続き、仕事だけではなく日常生活にまで影響を及ぼしてしまいます。以下に、燃え尽き症候群のおもな症状をご紹介します。
(1)情緒的消耗感
医療や介護の仕事を行ううえで相手との信頼関係の構築は欠かせません。しかし、信頼関係を築くためには、誠実で思いやりのある対応を積み重ねていく必要があり、情緒的エネルギーが大きく費やされます。仕事に情緒的なエネルギーを注ぐことで消耗した状態になると、疲弊感を強く感じるようになります。
(2)脱人格化
情緒的なエネルギーが枯渇した状態になると、それ以上の情緒の消耗を防ぐため、防衛反応として「脱人格化」と呼ばれる行動が見られるようになります。相手の人格を無視した、思いやりの感じられない割り切った対応などがこれに当たります。
(3)個人的達成感の低下
上記で説明した「情緒的消耗感」や「脱人格化」は、医療や介護サービスの質の低下をもたらします。その結果、思うように成果や達成感が得られなくなり、仕事にやりがいを感じられなくなったり、自信を失ったりしてしまうこともあり、時には休職・離職につながってしまうケースもあります。
3.燃え尽き症候群になりやすいのはどんな人?
燃え尽き症候群を引き起こす要因としては、個人的な要因と環境的な要因の2つが関係していると考えられています。
(1)個人要因
ひたむきに仕事と向き合い、相手のために頑張り続けてしまう仕事熱心な人ほど、燃え尽き症候群になりやすいと言われています。また、年齢が若い人や仕事への経験が少ない人ほど、仕事に対する理想が高い傾向にあり、現実とのギャップを感じることで燃え尽き症候群になってしまうと考えられています。
(2)環境要因
長時間にわたる勤務や厳しいノルマ、介護による身体的負担増などによる過重負荷は、燃え尽き症候群発症と密接な関係があることがわかっています。また、実際の業務内容に対して、給与が見合っていないと感じることで、仕事にやりがいを見出せなくなり発症するケースもあります。
4.燃え尽き症候群(バーンアウト)のチェック表
燃え尽き症候群の重症度をチェックする指標として、「バーンアウト測定尺度(Maslach Burnout Inventory)」というチェック表があります。内容は以下の通りになりますが、「当てはまったら絶対に燃え尽き症候群」というわけではありませんので、あくまでも指標として参考にしましょう。
バーンアウト測定尺度
こんな仕事もうやめたいと思うことがある。 |
われを忘れるほど仕事に熱中することがある |
こまごまと気配りをすることが面倒に感じることがある |
この仕事は私の性分に合っていると思うことがある |
同僚や顧客の顔を見るのも嫌になることがある |
自分の仕事がつまらなく思えてしかたのないことがある |
1日の仕事が終わると「やっと終わった」と感じることがある |
出勤前、職場に出るのが嫌になって、家にいたいと思うことがある |
仕事を終えて、今日は気持ちの良い日だったと思うことがある |
同僚や顧客と何も話したくなくなるようなことがある |
仕事の結果はどうでもよいと思うことがある |
仕事のために心にゆとりがなくなったと感じることがある |
今の仕事に心から喜びを感じることがある |
今の仕事は私にとってあまり意味がないと思うことがある |
仕事が楽しくて、知らないうちに時間が過ぎることがある |
体も気持ちも疲れ果てたと思うことがある |
われながら、仕事を上手くやり終えたと思うことがある |
5.「燃え尽き」を防いで仕事を続けるために
では、燃え尽き症候群を予防するためにはどのような対策をとればよいのでしょうか? やりがいを持って続けていくためのポイントをいくつかご紹介します。
・自分自身と仕事上の役割を分けて考える
・冷静で客観的な態度を持つ
・仕事だけに幸福を求めない
・職場の内外に相談できる相手を持つ
また、燃え尽き症候群の予防や対策には、個人としての取り組みだけではなく、職場全体の協力も必要です。
職場内のスタッフがコミュニケーションを取り合い、お互いに相談しやすい関係を築いていくことも燃え尽き症候群の予防につながります。若いスタッフや経験の浅いスタッフに対しては、経験豊富な上司がこまめに助言やサポートを行い、問題を1人で抱え込まないように心がけましょう。