1.今回インタビューしたのはこんな人
──簡単に自己紹介からお願いします。
Sさん:現在は理学療法士9年目で、医療法人が運営する介護老人保健施設(老健)で主任をしています。
転職経験は2回で、最初は地元関西から関東へ移住したとき、その次は同じく関東内で引っ越したときです。どちらも転居がきっかけの転職でした。
──新卒で病院に勤務したあとは、ずっと老健一筋なんですね。
もともと、急性期病院のせわしなさと、看護師さんとのやりとりには少し苦手意識を抱いていたんですよね。
新卒3年目で老健への異動辞令が出て、比較的ゆっくり働ける施設系のほうが自分には合っているなと思うようになりました。その後の転職でも、これまでの経験が活かせるので老健に絞って働いてきました。
──それで今回お話を聞く直近の転職活動も、老健から老健への転職なんですね。就職活動期間はどのくらいで、何件応募しましたか?
本腰を入れて活動したのは1ヶ月程度で、応募したのは2件です。
──求人サイトや転職エージェントは利用しましたか?
関東の職場事情がわからなかったので、リハビリ職専門の転職エージェントを利用しました。
第一希望の老健はエージェントからおすすめされた求人でしたが、圧迫面接のような選考だったので内定を辞退し、自分で探した第二希望の老健に就職しました。
──なるほど。職場探しで重視した点は何ですか?
通勤距離ですね。一番近い老健は経験3年未満の人しか採らないとのことだったので、2、3番目に近いところを受けました。
待遇面についてはあまりこだわりがなく、前職の給料以上であればOKという考えでした。
2.理学療法士の履歴書・職務経歴書(実例)
証明写真は取材用のものに差し替えています
──ここからは実際の提出書類を見ながら、作成時に意識したポイントなどを聞いていきます。書類は2点ともパソコンで作成されたのですね。
前回の転職までは手書きだったので、今回も手書きで作成するつもりだったのですが、エージェントさんに「最近はパソコンで作っても問題ないですよ」と言われたんです。それでパソコンで作ってみようかなと。
ちなみに、1年前から主任として採用業務も担当していますが、うちの職場の場合は手書きで提出される方のほうが多い印象ですね。内容がしっかり書けていれば、手書きとパソコンはどちらでもいいと思います。
──採用目線も聞けて参考になります。職務経歴書については、提出するよう指定があったのでしょうか?
いえ、とくに指定はありませんでしたが、自主的に用意しました。今の職場に応募される方も、指示はなくとも職務経歴書も提出される方がほとんどですよ。
──書類のフォーマットはどこで手に入れましたか?
Wordにもとから入っているテンプレートを使用しました。
──履歴書の作成にあたり、意識した点はありますか?
志望動機の欄では、転職理由と志望理由、入職後に取り組みたいことの3点を盛り込むよう意識しました。また、応募先の公式サイトをチェックしていたので、理念や行動指針について共感した点も入れています。
履歴書|志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど
同棲を期に◯◯◯から◯◯◯へ引っ越しました。しかし、独居生活をしている彼女の祖父が、入院することも多くなってきているため、1月に◯◯◯から◯◯◯に引っ越し同居をする予定です。引っ越しのため、通勤距離が長くなることで、彼女に負担がかかる可能性があるため、転職を考えました。現在と同じように施設で働きたいと考えていた時に貴施設の「◯◯◯◯」という行動指針に惹かれました。また、現在勤めている職場では、訪問リハビリを担当していませんが、以前から興味を持っており、貴施設でも訪問リハビリを行っていることを知り、今回、志望させていただきました。貴施設に入職の折には、その人の生活を考えた関わりが持てるように、今までの経験を活かしていきたいと考えます。
──職務経歴書の自己PR欄については、どうでしょうか?
老健での勤務経験があるので、職場の特徴を理解している点と、これまでの自分の経験が即戦力になると思い、実績を中心に記載しました。また、病院での経験もあることに触れ、今後の意欲も伝えるようにまとめました。
職務経歴書|自己PR
急性期病院や介護老人保健施設に勤務し、他職種や利用者様とのコミュニケーションの大切さを学びました。勤務先には高齢者の方も多く、筆談や閉鎖型の質問等を行い、できる限りその方が何を伝えたいのかを汲み取れる様に努力しました。また、急性期病院ではリスク管理の重要性、介護老人保健施設では利用者様の環境設定や作業活動の重要性を学びました。そのため、今後も現在の職場での経験や学んだ知識を活かすとともに、施設や訪問でのリハビリテーションを通して、さらに在宅医療の知識を増やし、利用者様に寄り添ったリハビリテーションを提供できるように努力していきたいと考えています。
──証明写真についても教えてください。どこで、どのような服装で撮影しましたか?
新卒のときからずっと写真館で撮影しています。服装はスーツです。
──履歴書・職務経歴書はどのタイミングで提出しましたか?
職場見学と面接が同日にあったので、そのときに持参しました。
ジョブメドレーからのアドバイス
今回の履歴書の「改善点」「良い点」は以下のとおりです。参考にしてみてください。
〈改善点〉
(1)資格は正しい名称で記載しましょう。運転免許証の正式名称は「普通自動車第一種運転免許」です。
(2)「◯◯を期に」の正しい漢字は「機に」です。誤字や脱字がないか最後に見直すと良いでしょう。
〈良い点〉
(3)本人希望欄に連絡可能な時間帯や入社可能時期を記載していることで、先方とのやり取りがスムーズにおこなえてGoodです。
★理学療法士の履歴書・職務経歴書・自己PRについて詳しくはこちらで解説!
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3.理学療法士の面接対策
──職場見学と面接が同日だったのですね。ほかに試験などはありましたか?
試験はありませんでしたが、面接前にアンケートに回答しました。質問内容は通勤時間や持病の有無、希望給与、長所・短所などだったと思います。採用担当者がこの回答も参考に面接する感じでした。
──事前に面接対策はしましたか?
書類に書いた志望動機や自己PRと齟齬がないよう、内容を覚えておくくらいですね。
──当日の面接の詳細について教えてください。
見学と面接がそれぞれ30分ずつくらいでした。面接は1回のみで、面接官は事務長と主任の2名です。
──どのような質問をされましたか?
「志望動機」「この職場で何をしたいか」「希望給与の確認」「パート勤務の打診」などを聞かれました。
パート勤務の打診というのは、当時すぐにでも人手がほしかったらしく、入職予定日よりも3週間ほど早くから時短でも構わないので働いてくれないかという相談でした。引越し前で遠かったのですが、週2日働くことになりました。
──Sさんから逆質問したことはありますか?
今後の運営方針について質問しました。老健は介護報酬加算による施設基準が5段階に分かれていて、当時下から2番目だと聞いたので、今後基準を上げていく予定はあるか確認しました。この段階によってリハビリの回数が変わり、業務内容も変わってくるためです。
それから職場の課題も聞きました。ネガティブな質問にも正直に答えてくれる職場のほうがいいと思ったので。さいわい、当時の困りごとを事前に聞いていたので、入職後のギャップもほとんどありませんでした。
あとは残業時間や休みの取りやすさなどの勤務環境についても確認しました。
──面接結果が出るまでの期間は、何日くらいでしたか?
だいたい1週間くらいでしたね。
★理学療法士の面接対策について詳しくはこちらで解説!
>【理学療法士の面接対策】よく聞かれる13の質問と回答例、見られるポイントを解説
4.理学療法士の転職事情
──現在は採用業務もされているということで、最近の理学療法士の転職事情についても教えてください。
男女差が結構あります。女性は老健のような施設に務める方が多く、家庭とのバランスを取りながら働ける点を重視していると思います。
男性でキャリア志向の方やたくさん稼ぎたいという方は、訪問リハビリに行く傾向がありますね。訪問ではインセンティブがあり給料も高くなるので。
新卒の場合は人にもよるとは思いますが……プライベートを重視していて、ワークライフバランスの取れる職場を希望している方が多い印象があります。
──では最後に、これから転職を考えている方に向けてアドバイスをお願いします!
転職先が自分に合うか不安という方は、あまり深刻に考えすぎなくていいと思います。いくら調べても、最終的には実際に働いてみないとわからないことばかりですから。思い切りも大切かなと思います。
職場見学はしたほうがいいと思いますが、そのときに自分に合っていそうと直感したなら、受けてみる価値はあるのではないでしょうか。
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