目次
1.履歴書の「本人希望記入欄」は何のためにある?

本人希望記入欄は、応募者の勤務条件や勤務地、給与、勤務時間など、企業側に対して考慮してほしいことを記載するための欄です。家庭の事情や通勤に関する制約、持病など、あらかじめ配慮してほしい特別な事情がある場合も記載できます。
ただし、採用担当者は本人希望記入欄に書かれた内容を絶対に譲れない条件と受け取ることがあるため、細かすぎる勤務条件を記載すると、採用にマイナスの影響を与える可能性があります。そのため、どうしても譲れない条件がない限りは「貴社(貴院)の規定に従います」と記載し、具体的な希望は面接時にすり合わせることが一般的です。とくに希望がない場合も同様に記載しましょう。
2.本人希望記入欄の書き方と例文
本人希望記入欄には「特に給料・職種・勤務時間・勤務地その他について希望があれば記入」と補足があります。譲れない条件や特別な事情がある場合は、以下を参考に記載してください。
職種の例文
◯◯◯(募集職種名)を希望いたします。
【解説】
応募先が複数の職種を募集している場合、自分が希望する職種を書きます。その際、募集要項に記載されている職種名と一致させ、どの職種に応募しているのか採用担当者が把握できるようにしましょう。
勤務時間の例文
保育園の迎えがあるため、◯時~◯時の間での勤務を希望いたします。
【解説】
家庭の事情などで特定の時間帯に働けない場合は、理由を記載することで応募先が制約を理解しやすくなります。
勤務地の例文
家族の介護をしているため、◯◯営業所での勤務を希望しております。
【解説】
勤務地に希望がある場合は、具体的な地域や施設名を記載します。その際、なぜ勤務地を限定するのか理由を添えると応募先が配慮しやすくなります。
健康上の理由の例文
過去に◯◯の治療を受けたため、定期的な通院が必要です。
【解説】
健康上の理由は、仕事に支障が出る可能性がある場合は正直に記載しておくことが望ましいです。とくに、定期的な通院や治療が必要な場合、応募先に事前に伝えておくと後のトラブルを防げます。病名などが書きづらい場合は「持病があり定期的な通院が必要です」のように伏せて記載しても構いません。
連絡可能な時間帯の例文
日中は業務のため、平日の◯時~◯時の間にご連絡いただけますと幸いです。
【解説】
在職中で連絡できる時間帯が限られている場合は、自分の都合と応募先の業務時間を考慮して伝えることが大切です。仕事をしていて日中の対応が難しい場合は、あらかじめ連絡が取れる時間を伝えておくと採用担当者の手間を減らせます。
また、電話ではなく別の手段でのやりとりを希望する場合は「電話に出ることが難しいため、メールにてご連絡いただけますと幸いです」のように記載します。
入社(入職)希望日の例文
現職の退職手続きの都合上、◯月◯日以降の入社(入職)を希望いたします。
【解説】
入社(入職)希望日は、現職の状況や家庭の都合を踏まえたうえで記載します。ただし、応募先の都合に配慮する姿勢も重要です。「可能な限り調整いたします」のように柔軟な対応ができることを伝えると、より好印象を与えられます。
3.履歴書の本人希望記入欄に書かないほうがいいこと
本人希望記入欄は「希望を書いても良い欄」ですが、内容によってはマイナスの印象を与える可能性があります。例えば、過度に高い給料の要求や、細かすぎる勤務条件がこれにあたります。また、「◯◯はできない」のように否定的な表現も避けましょう。以下が具体例です。
過度な給料の要求
最低でも年収◯◯万円以上を希望します。
【解説】
応募先の給与基準や条件を無視していると見なされ、交渉の余地がない印象を与えてしまいます。
細かすぎる勤務時間
月曜は10時から16時、火曜は12時から17時、水曜と木曜は11時から17時、金曜は10時から17時の勤務のみを希望します。残業は一切できません。
【解説】
自分の都合だけを押し付けているように見え、企業側に対して配慮がない印象を与えます。
応募条件に合わない要求
転勤は一切できません。
【解説】
応募先の要件に「転勤あり」とあるにも関わらず、条件を無視した要求はNGです。
希望がない場合
・(空白)
・特になし
【解説】
とくに希望する条件がない場合は、空欄のままや「特になし」と記載するのではなく、「貴社(貴院)の規定に従います」と記載しましょう。
4.パート・アルバイトで記入すべき内容は?
パートタイムやアルバイトへの応募でも、配慮を求める事項があれば本人希望記入欄に記載しましょう。記入すべき内容には次のようなものがあります。
希望のシフトがある場合
・学校との兼ね合いのため月曜、水曜、金曜の勤務を希望します。
・月曜は16時まで、水曜は18時までの勤務希望(扶養内希望)
【解説】
勤務できる曜日や時間帯がある場合は、応募要項の範囲内で記入します。その際、「学業との両立のため」「育児があるため」など、簡潔な理由を添えると好印象です。
パート勤務において扶養内勤務の希望は一般的ですので、「(扶養内希望)」のように記載すると良いでしょう。
扶養の詳細はこちらの記事をご覧ください。
扶養とは?「扶養に入る」「扶養の範囲内」の意味、メリット・デメリットをわかりやすく解説
健康上の理由や特別な配慮が必要な場合
・子どもの幼稚園の迎えのため、15時までの勤務を希望します。
・母の介護の都合上、木曜日はお休みをいただきたく存じます。
・持病の通院のため月1回程度の休みが必要な場合があります。
【解説】
特別な事情がある場合、事前に伝えておくことで応募先も配慮しやすくなります。とくに、子育てや介護といった家庭の事情は無理のない範囲で伝えましょう。
学生がアルバイトをする場合
・平日は授業後の〇時以降、土日はフルタイムで勤務可能です。
・6月末から7月中旬にかけては試験のため出勤日を減らす可能性があります。
・夏季休暇中は、部活の試合があるため出勤日を相談させてください。
【解説】
学生がアルバイトを希望する場合、週に何日働けるかや、授業後に働ける時間帯を具体的に伝えることが重要です。また、春休みや夏休みの長期休暇の都合を事前に伝えておくと、スケジュール調整がしやすく、好印象を与えます。
5.自分の希望を伝えつつ応募先へ配慮しましょう
本人希望記入欄は、応募者の希望や事情を伝える重要な欄です。とくに、勤務時間や勤務地など特別な配慮が必要な場合は、この欄を使って適切に伝えましょう。希望がない場合や調整が不要な場合は「貴社の規定に従います」と記載すれば問題ありません。
ただし、採用担当者は本人希望記入欄に書かれた内容を絶対条件として受け取ることがあるため、過度に細かい要求や一方的な希望は避け、柔軟な姿勢を示すことも重要です。