
*引用:なるほど!ジョブメドレー|保育園看護師の一日に密着! やりがいは「子どもたちが元気に卒園する姿を見ること」
保育園の看護師配置基準
一般的にあまり知られていませんが、厚生労働省はできるかぎり保育園に看護師を配置するように定めており、保育園での看護師の求人が増えてきています。
現在、潜在保育士の増加にともなう人手不足、待機児童問題など保育を取り巻く課題は山積み状態です。そんな中、保育園では1名に限って看護師を「保育士」としてカウントできる決まりがあります。保育士でなかったとしても、看護師は専門職として保育の現場で活躍できるということです。
保育園の看護師の主な業務内容
医療の現場とは異なる、保育園での看護師業務とはどのようなものなのでしょうか?
保育園の看護師の役割は「子どもの健康」「職員の健康」「保護者・家庭の健康」を守ることとなります。そのため、子どもの健康管理はもちろん、保育士や調理師、用務員などの職員の健康管理、衛生指導、さらには子どもが暮らす家庭の健康にまで気を配らなければなりません。子どもを中心とした幅広いケアをおこなうことによって、保育園全体の健康と衛生が保たれるのです。
最近ではアレルギーへの対応、障害を持つ子どもへの対応なども必要とされるようになってきているため、看護師の需要がますます増えると考えられます。それぞれの役割を以下で詳しく見ていきましょう。
1. 子どもの健康
◆園内の衛生状態確保
保育室や廊下、トイレや水回りなど特に園児が使用する場所の衛生が確保できているか、危険なものがないかどうかなどのチェックを行います。
◆日々の対応
怪我や体調不良など、日々の園児の体調の変化に気をくばり、対応することはもちろん、保護者への連絡やアドバイスなども行います。
◆健康診断・歯科健診の補助
園内で行われる健康診断や歯科健診の準備や医師の補助、記録や保護者への報告などを行います。結果を分析し、今後の保健指導に活かすことも大切な仕事です。
◆保健指導
食中毒をはじめ、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症予防に関する保健指導や必要物品の準備や使用方法などを説明し、園内・家庭内での注意事項を保護者に発信します。
◆アレルギーへの対応
食事の提供などにおいて、アレルギーを持つ園児への対応を行います。また万が一アレルギーを起こしたときの緊急の対処方法を全職員ができるように指導しておくことも重要です。
◆園外保育への同行
遠足など園外保育への同行も大切な業務です。不慮の事故や病気に備えて、行き先の近隣病院の情報収集・連携も行います。
◆保育補助
保育士の補助として、とくに0−1歳児の保育を担当することが多いと言われています。厚生労働省が出している「保育所保育指針」などで、健康な乳幼児の発達やかかわり方を学んでおくといいでしょう。
2. 職員の健康
◆健康診断
保育園によっては、職員の健康診断の準備や健康診断をする病院との連絡役などを担います。
◆保健指導
園児や保護者に行う保健指導に関しては、職員にも周知しておく必要があります。感染症や流行っている病気などに関しては、その都度対応する必要があります。
3. 保護者・家庭の健康
◆保健指導
感染症や流行っている病気、日々の衛生などについて保護者向けに保健指導をすることも重要です。「保健だより」などを発行したり、掲示板にポスターを貼ったりして、注意を促すことも必要となります。
◆予防接種の情報提供
園児の年齢に応じて予防接種の情報を提供します。こちらも忙しい親に読んでもらうための工夫が必要となります。
看護師が保育園で働くメリット・デメリット
看護師が保育園で働くことのメリット・デメリットはどのようなものでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
◇メリット
・カレンダーどおりの休み
常勤か非常勤か、保育園によっても違いはありますが、2交代制や3交代制などのシフト制と違って、日曜日や祝日はカレンダーどおりの休みになります。基本的に夜勤はなく、残業も少ないため、プライベートの計画も立てやすいかもしれません。
多くの保育園の開園時間は午前7時頃から午後6時30分〜7時頃までです。その間のシフト制になることもありますが、看護師は基本的にたくさんの園児がいる時間帯の勤務になることが多いでしょう。
・夜勤がない
夜間保育を行っている保育園はまだ少なく、医療現場のように毎日交代で夜勤をしなければならない環境ではありません。そのため、比較的バランスの取れた生活ができるでしょう。
・癒される時間がある
健康な子どもの発達を見守ったり、子どもたちと関わったりすることで、癒やされる場面が多くあります。子どもたちの命を預かる職種として、難しい局面もあるかもしれませんが、子どもの素朴さや可愛らしさを感じられる職場です。
・子育ての経験を活かせる
自分の子育ての経験が活かせる職場です。また、保護者とのかかわりの中で、経験者としての立場からコミュニケーションを取ることもできます。
・子育て経験を先取り
これから子育てする予定の人にとっては、貴重な疑似体験ができるかもしれません。個性の異なる子どもたちと関わることで、自分の子育てに活かすことができるでしょう。
・医学的な知識や経験が活かせる
医学的な知識を職員や保護者に提供する際には、これまでの知識が役立ち、保育園の質の向上に貢献できるという実感を得ることができます。
・保育士宿舎借り上げ支援事業の利用
保育士を確保するための施策の1つに「保育士宿舎借り上げ支援事業」があります。東京で行われている保育士宿舎借り上げ支援事業では、原則月額8万2000円(共益費含む)までの家賃を補助してくれます。
こちらは厳密に言うと、保育事業者が宿舎を借り上げ、一定の要件を満たした保育士(看護師)を採用して住まわせた場合に、家賃の8分の7(8万円の家賃なら7万円)を都や区が負担する制度となります。区によっては、独自に上乗せして補助しているところもあり、保育士としてみなされる看護師もこの制度の対象となります。
◆デメリット
・給料が安い
まずデメリットとしてあげられるのは、お給料の面です。夜勤や休日出勤がないため、病院勤務の看護師と比べると給料は少なくなってしまいます。
・同職種がいない
看護師が1人の保育園が多いため、仕事の悩みを打ち明けられる同職種の人がいないという問題もあります。積極的に保育士の輪にも入り、それぞれの専門性を発揮して、保育園の質を高めていけるといいですね。
・保護者とのかかわりの難しさ
保護者とのかかわりが難しいこともあります。これは保育園に限ったことではなく、医療現場でも家族とのかかわりが大切とされています。子どもを見守る一員として、丁寧に対応できるといいですね。
保育園の看護師の給与は?
保育園の看護師の給与は、医療現場の給与に比べるとやや安いと言えます。ジョブメドレーの求人サイトの給与を調べてみたところ、保育園・幼稚園に勤める看護師の平均月給は255,436円(平均時給は1,420円)。全施設の看護師の平均月給は262,297円(平均時給は1,530円)となっています。※2018年8月時点
保育園の看護師に求められるスキル
保育園で働くために、看護師以外の免許は不要です。小児科勤務など、子どもにかかわった経験があると有利でしょう。日々、子どもとのかかわりが絶えない職場のため、子どもが好きでないと難しい仕事だと言えます。
准看護師でも保育園で働くことができる?
准看護師でも看護師や保健師と同様に保育園での勤務ができます。ただし「准看護師でも可」としている施設もありますが、「正看護師希望」の保育園が多いのが現状です。
医療現場では、正看護師と准看護師の給与の違いを実感することが多いようですが、保育園では、病院勤務に比べると正看護師の給与水準も下がるため、あまり差がなく気にならないと言われています。