早期介入がその後を左右する急性期リハ
急性期リハの魅力の1つはその顕著な回復過程をサポートできることです。病気やけがにより治療を受けた人を早期から支援していきます。この時期のリハビリでは、対象者の機能や能力の改善を実感することができ、短い時間で多くの症例を経験することもできます。また、ICUなどでは救急医療という救命の現場に理学療法士・作業療法士の立場から関わることができるのも魅力です。
しかし、その一方で手術など治療による回復や対象者自身の治癒力の力も大きく、自分が指導したリハビリによる効果であるということを十分に実感できない方もいるようです。
対象者の社会復帰に向けて広くサポートする回復期リハ
回復期リハは、その対象者それぞれの生活と深く関わっていくことができるのが魅力です。この時期は急性期を終え、基本的な動作の訓練から社会復帰、その人に合わせた生活ができるように衣服の脱ぎ着や食事を摂ること、掃除など生活動作の訓練をします。個々の事情に応じたサポートが求められるので、その分やりがいも感じられます。また、1人に費やすことができる時間も多く、対象者が日に日に良くなっていくのを実感できる時期です。
加えて、身体機能以外の面からもアプローチを行います。たとえば、作業療法士による精神面や認知面に対する訓練。障害や病気を持ちながら社会復帰を目指すことは、時間もかかります。訓練にはストレスを感じることも多いため、心のケアを行うことで訓練がスムーズに進むようサポートしていきます。このような部分は作業療法士ならではのやりがいと言えるでしょう。また、担当することができる症例は限られていますが、自宅訪問や住宅改修など退院後の生活を親身になって考え、対象者に寄り添うことができるのも回復期リハです。
対象者一人ひとりに寄り添う維持期リハ
維持期リハも回復期リハと同様に、その人の生活に寄り添ったケアができるのが魅力です。病歴が長期にわたる対象者に寄り添い、日常生活を豊かにするための最大限のサポートをするのが維持期リハです。しかし、回復期を過ぎ維持期の施設にいる対象者には、良くなっているという実感が得られにくいことも少なくありません。この時期に大切なのは、身体能力の回復よりも、動き方の工夫や日常生活の工夫、あらゆる作業を通して生活に楽しみを持ってもらうこと。そして、リラックスして過ごしてもらえるようにサポートしていくことです。このようなサポートを通じて、その人の生活が良くなる実感に魅力を感じる人は維持期が向いているといえます。また、対象者の世代によっては、社会に適応し、その人なりの自立した生活が送れるように「就労の支援」を他職種と協働してサポートしていくこともあります。社会復帰に向けてのサポートは大きな魅力・やりがいの一つになるのではないでしょうか。
