目次
- 1.介護休業給付金とは
- 家族を介護する労働者がもらえる雇用給付
- 給料の67%が最長93日分支給される
- 2.介護休業給付金がもらえる条件
- 雇用保険に1年以上加入している
- パート・アルバイトでも条件を満たせば受給できる
- 介護休業給付金がもらえないケース
- 3.介護休業給付金はいつもらえる?
- 復職後の支給決定日から約1週間後
- 4.介護休業給付金の申請方法
- 申請は会社を通しておこなう
- 介護休業給付金支給申請書の記入例
- 5.介護休業給付金に関する疑問
- Q.介護休業中の給付金はいくらですか?
- Q.介護休業給付金の要件は?
- Q.介護休業給付金の同居要件は?
- Q.1人の対象家族を複数人で介護する場合は全員分支給されますか?
- Q.1人の対象家族の要介護度が変わったら再び支給を受けられますか?
1.介護休業給付金とは
家族を介護する労働者がもらえる雇用給付
介護休業給付金とは、雇用保険に加入している労働者が家族の介護のために休業したときにもらえるお金です。育児休業給付金や失業手当と同様に、雇用保険から労働者に支払われる給付の一つです。
要介護状態(病気や障がいなどにより、2週間以上にわたって常時介護が必要なこと)にある家族を介護するために、あらかじめ会社に申し出た休業日が支給対象となります。
介護休業の対象家族
- 配偶者(事実婚含む)
- 父母
- 子
- 配偶者の父母
- 祖父母、兄弟姉妹、孫
なお、時間単位で年5日まで取得できる「介護休暇」は介護休業とは別の制度で、介護休業給付の対象にはなりません。
>介護休暇・介護休業で給与は出る? 違いや取得方法、条件を解説!
給料の67%が最長93日分支給される
介護休業給付金は、休業前の給料の67%が最長93日分支給されます。介護休業は対象家族1人の介護につき分割して3回・通算93日まで取得できるので、この範囲内であれば支給対象となります。

会社が独自に「分割3回・通算93日まで」より多くまたは長く介護休業期間を定めることもできますが、その場合の超過分は介護休業給付の対象にはなりません。
また、介護休業給付の対象となる休業の最少日数はとくに定められていません。要介護状態における2週間以上とはあくまで「介護が必要な状態」の定義であり、介護休業の期間ではありません。例えば在宅介護ののち介護施設に入所するため、10日間のみ介護休業を取得するといった場合も支給対象になります。
介護休業給付金の計算方法
介護休業給付の支給額の計算式は以下のとおりです。
- 支給額 = 休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始時賃金日額とは、介護休業前6ヶ月間の給料を180で割った金額です。その67%が休業日数分もらえることになります。67%というと少なく感じるかもしれませんが、介護休業給付金は非課税であるため普段の手取り額に比べて大幅に少ないわけではありません。
介護休業給付金の上限と下限
もらえる給付金額はもともとの給料に合わせて無制限に増減するのではなく、月額の上限と下限があります。
休業開始時賃金月額(日額の30日分)の上限は50万9,400円で、ひと月の介護休業給付金額は34万1,298円が上限となります。休業開始時賃金月額の下限は8万2,380円で、介護休業給付金額の下限は5万5,194円です。
2.介護休業給付金がもらえる条件
介護休業給付金は、休業後の復帰を前提に以下の条件に当てはまる人がもらえます。以前は65歳以上の人は給付対象外でしたが、2017年以降は雇用保険が適用されるようになり、条件を満たせば介護休業給付を受けられるようになりました。
雇用保険に1年以上加入している
介護休業給付を受けるには、介護休業開始前の2年間のうち、雇用保険に1年以上加入している必要があります。病気などで1ヶ月以上無給で休職している場合は、その期間を加えた最長4年を加入期間の条件としてカウントできます。
パート・アルバイトでも条件を満たせば受給できる
フルタイム以外の有期雇用労働者でも、雇用保険に1年以上加入していて、介護休業開始予定日から93日を経過した日から6ヶ月以内に労働契約が終了しない場合は介護休業給付を受けられます。

介護休業給付金がもらえないケース
以下のような条件に該当する場合は、介護休業給付の対象となりません。
産休・育休中の人
産前産後休業中の場合、介護休業を開始することはできません。また、介護休業中に産前産後休業や育児休業が始まる場合は、介護休業はその前日に終了し、以降は介護休業給付の対象外となります。
普段の8割以上の給料が支払われている人
休業期間中、1ヶ月で普段の給料の8割以上が会社から支払われていると介護休業給付金は支給されません。13%超8割未満の場合は、8割の金額との差額が介護休業給付金として支給されます。13%以下の場合は、満額支給となります。
半年以内に労働契約が終了する人
介護休業給付金を含む雇用給付は、休業後の復職を前提とした雇用の安定・就職の促進が目的の制度です。休業後に退職が決まっている人や、有期雇用で休業後半年以内に契約終了することが明らかな場合は対象となりません。
所定労働日数が週2日以下の人
介護休業給付を受けるには雇用保険に加入しなければならないため、加入条件に満たない日雇い労働者や所定労働日数が週20時間未満(おおむね週2日以下)の人は給付対象となりません。
3.介護休業給付金はいつもらえる?
復職後の支給決定日から約1週間後
介護休業給付金は介護休業終了後に給付を申請し、支給が決定されてから1週間程度で口座に振り込まれます。休業前・休業中ではなく、介護休業が終わったあとに支給される点に注意が必要です。
支給が決まるとハローワークから会社(勤務先)に支給決定通知書(会社用と本人控え)が送られてきます。もし1週間以上経っても給付金が振り込まれていないときは、会社に支給決定通知書が届いているか確認してみましょう。
4.介護休業給付金の申請方法
申請は会社を通しておこなう
介護休業給付は、従業員の申し出を受けて会社がハローワークに申請します。会社のルールに従い、休業開始時または復職後など決められた期限内に申し出ましょう。
介護休業給付が申請できるのは、休業終了後の翌日から2ヶ月となる月の末日までです(休業終了日が5月25日の場合、申請期間は5月26日〜7月31日)。ただしこれは会社が手続きをおこなう期日のため、会社への申告は締切が異なる場合があります。
介護休業給付金支給申請書の記入例
介護休業給付金支給申請書は原則会社が記入しハローワークに提出しますが、やむを得ない場合は自分で記入・提出することも可能です。申請書には雇用保険被保険者の個人番号や介護休業開始・終了年月日、支給対象期間などを記入します。

申請の際は、上記の申請書のほかに以下の書類を添付します。
- 従業員→会社への介護休業申出書
- 介護対象家族の氏名や従業員との続柄が確認できる書類(住民票など)
- 介護休業の開始・終了・休業日数が確認できる書類(出勤簿など)
- 休業期間中に賃金の支払いがあった場合、その確認ができる書類(賃金台帳など)
5.介護休業給付金に関する疑問
Q.介護休業中の給付金はいくらですか?
A.休業前の給料の67%です。休業中に会社から給料が出ている場合は、普段の8割未満であれば8割との差額分が支給されます。
Q.介護休業給付金の要件は?
A.介護休業給付金を受けられる要件は、1年以上雇用保険に加入していて、休業後半年以内に労働契約が終了しないことです。
Q.介護休業給付金の同居要件は?
A.2017年から祖父母、兄弟姉妹、孫の同居・扶養要件は廃止されました。別居している対象家族の介護も介護休業(給付金)の対象となります。
Q.1人の対象家族を複数人で介護する場合は全員分支給されますか?
A.介護を必要とする同じ対象家族に対して複数人の家族が介護のために休業する場合も、条件を満たしていればそれぞれ介護休業給付金が支給されます。
Q.1人の対象家族の要介護度が変わったら再び支給を受けられますか?
A.同じ対象家族については、要介護度が変わっても93日分を超える介護休業給付金の再申請はできません。