「介護の仕事は難しそう」。そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、神奈川県にあるデイサービスで介護スタッフとして働く千葉さんは、「介護は知れば知るほど楽しくなる仕事」と話します。

株式会社ツクイは、1983年から介護事業に取り組む業界大手です。全国に約770の事業所を展開し、月間9万人以上のお客さまが利用しています。
銀行員時代に、祖母が認知症になったことをきっかけに利用者家族としてツクイと出会った千葉さん。その後、なぜツクイで働くことを選んだのでしょうか。介護スタッフとして働く不安や仕事の魅力、ツクイならではの働きやすさについて聞きました。
話を聞いた人
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介護スタッフ 千葉さん
銀行員を経て2017年に株式会社ツクイへ入社。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でコンシェルジュとして7年間勤務した後、2024年4月よりデイサービスに介護スタッフとして異動。
利用者家族としてツクイを知る

──まずは介護業界で働くまでの経緯について教えてください。
千葉さん:銀行員として働いていたころ、祖母が認知症を発症しました。自宅で生活をしながら誰が介護するのか、専門知識のない家族だけで支えられるのかという不安があり、行政の方のアドバイスを受けながら施設を探すことにしました。条件を整理するなかで見つけたのがツクイの介護付き有料老人ホームで、祖母が入居できることになったのです。
初めは施設に入居してもらうことへの後ろめたさもありました。でも実際に利用してみると、スタッフが本当にすてきな方ばかりで。スタッフの皆さんには心から「ありがとう」と感謝していましたし、私もそんなふうに寄り添える仕事がしたいと思ったんです。それが、ツクイに入社するきっかけでした。
──利用者家族として知ったツクイに、働く側として入社されたのですね。
そうです。最初は、ツクイのサービス付き高齢者向け住宅でコンシェルジュとして働きました。来訪者の受付やご案内、生活相談、サークルやイベントの企画などを通じて、入居されているお客さまが不安なく生活できるように支える仕事です。
約7年間働き、やりがいも感じていたので、コンシェルジュを続けていくつもりでした。ところが事業所の運営体制の変更に伴い、今後のキャリアについて考える機会を迎えました。私はツクイが好きだったので、働き続けたいという思いがありました。
そんなときに、祖母がお世話になった事業所のマネジャーが現在のデイサービスにいることを知ったのです。祖母が亡くなったあとも私たちに寄り添ってくださって、とても尊敬している人なんです。そのマネジャーがいる場所なら介護スタッフとして働いてみたいと思い、挑戦することにしました。
最初の仕事は“お客さまを知ること”
──介護スタッフになってみて、最初は戸惑いなどありましたか?
サ高住のコンシェルジュは相談業務が中心で、介助の経験がほとんどありませんでした。そのため、お客さまの体に直接触れる身体介助は新たな挑戦でした。私は背が低いので、体格の良い男性のお客さまを支えるときなどは気を引き締めて対応しています。
また、デイサービスでの活動は、入社して初めて知ることばかりでした。決まった時間のなかでさまざまな業務をおこなうため、最初は仕事の進め方をつかむのに苦労しました。
──では、デイサービスの一日の仕事の流れについて教えてください。
7時半に出勤して朝のミーティングをしたあと、お客さまのお迎えに向かいます。お客さまがデイサービスに到着したら看護スタッフがバイタルサインを確認し、水分補給をしていただきます。その後、体調に問題がないことを確認しながら、入浴や機能訓練へご案内します。
午前中は入浴介助と機能訓練が中心です。私が勤務する事業所では一日40名ほどのお客さまが利用される日もあるので、スタッフ同士で役割を分担しながら進めています。

──未経験で入社した人は、まずどんな仕事から始めるのでしょうか。
まずはフロア業務ですね。最初の1ヶ月くらいは、どのようなお客さまがいらっしゃるのか、一日がどう流れていくのかを、コミュニケーションを取りながら把握していくところから始めます。
お客さまの顔や名前がわかってきたら、口腔ケアやお手洗いへのご案内、体操の声かけなど、先輩と一緒に動きながら少しずつ関わっていきます。そこから入浴介助を段階的に覚えていく流れです。
──入浴介助の段階とは?
入浴介助には大きく3つのステップがあります。まずは浴室内で洗身や洗髪、浴槽へのご案内をおこなう浴室内介助から始め、慣れてきたら浴室内介助に加えて脱衣所でのサポートもおこなう段階へ進み、最終的に脱衣所での着脱介助や全体の進行管理を担う役割へとステップアップしていきます。
入浴介助の習得ステップ
1.浴室内介助
浴室内で洗身・洗髪・浴槽への案内を担当。
2.浴室・脱衣所介助
浴室内と脱衣所側を行き来しながら、入浴の流れをつなぐ役割。
3.脱衣所・全体管理
入浴全体の進行を見ながら、フロアからの案内、入浴の順番管理、看護スタッフとの連携などを担う。
──初めて入浴介助をしたとき、難しいと感じましたか?
服を脱いでしまうと、お客さまの顔と名前が一致しなくなることがありました。フロアでは「この服を着ている方」「この杖を持っている方」といった特徴で覚えられても、入浴の場面ではそれがなくなるためです。だからこそ、「〇〇さんをご案内します」といった声かけが本当に大切だなと思いました。
あとは「両手引きでお願いします」「背中の洗身をお願いします」など、次に何をすればいいかを具体的に伝えることも大切だと理解しました。私自身が困った経験があるからこそ、今は新人スタッフにもそう伝えるようにしています。
知れば知るほど楽しくなるデイサービスの仕事

──以前はサ高住でコンシェルジュをされていましたが、デイサービスで働いての気づきはありましたか?
デイサービスはお客さまと関わる時間が長い分、その方を深く知れる仕事だと感じています。サ高住のコンシェルジュは、自立されている方も多かったので、サポートが必要なときに手を差し伸べる役割でした。一方、デイサービスでは、お客さま一人ひとりによって必要な支援が異なります。どうすれば喜んでいただけるか、どのようにサービスを提供するかを考えるところにおもしろさがあります。
お客さまは、私たちにとって人生の先輩でもあります。日々のご挨拶や感謝の言葉を大切にされる方も多く、その姿勢から学ばせていただくことがたくさんあります。
──具体的に、どんな瞬間にやりがいを感じますか。
お客さまのご家族と一緒に、胸が熱くなった出来事があります。
2年ほど前まで、デイサービスでよく口笛を吹いていたお客さまがいらっしゃいました。とても上手な方だったのですが、車いすで過ごされることが増え、次第に以前のように口笛を吹く姿が見られなくなっていました。
その方がよくお話しされる日は、こちらからもできるだけ声をかけるようにしていました。調子が良い日はたくさんお話ししてくださることもあるのですが、ある日、「今日いつもより笑顔が多かったな」と感じたのです。
その日の帰りにご自宅へお送りしたとき、ご家族と我々の目の前で2年ぶりに口笛を吹かれたんです。ご家族も「お父さんが口笛吹いた!」とすごく喜ばれていて、私も一緒になって、胸がいっぱいになりました。
デイサービスでの時間が楽しくて気持ちが上がり、以前できていたことを思い出される。そういうことがあるのだなとすごく感じました。こうしたお客さまの心の変化に気づき、一緒に喜べるスタッフが増えたらいいなと思います。
自分らしく働けて、推し活も充実

──仕事とプライベートのバランスについてはどのように感じていますか。
正社員は1ヶ月の変形労働時間制で、月9日休み(28日の月は8日休み)を基本にシフトを組んでいます。希望休は申請できるので、休みたい日がある場合は事前に伝えるようにしています。
都合がつかないときはスタッフ同士で「この日、代われますよ」と声をかけ合って調整することもあります。協力し合う雰囲気があるので、相談しやすい職場です。
──先ほど一日のスケジュールを拝見したところ、7時半出勤で17時ごろ退勤となっていました。残業があるということでしょうか。
スタッフによって差があり、残業することもあります。私が勤務するデイサービスはお客さまのご自宅が遠いコースも多くて、送迎でどうしても定時を過ぎてしまうことがあります。また、時期によって道路が渋滞することもあります。事業所ならではの地理的な事情もあると思います。採用担当者によると、ツクイ全体では平均時間外勤務は月4.1時間で、事業所や送迎コースによって差があるそうです。
──以前、ツクイの訪問介護の取材で福利厚生が充実しているとお聞きしました。千葉さんが実際に使ってよかったものはありますか。
宿泊費用補助を本当にありがたく使わせていただいています。実は私、とあるアイドルグループが大好きで、コンサートがあるときは希望休をとり、旅行を兼ねて遠征しているのですが、1泊7,000円まで補助(年度内1泊まで)してもらえます。申請もスマートフォンなどで簡単にできます。希望休を取ってコンサートを楽しめて、旅行もできる。私にとってもう最高の会社です(笑)。

「誰かの力になりたい」その気持ちがあればいい
──ツクイの介護スタッフに向いている人はどんな人だと思いますか。
正直、向いているか向いていないかは、やってみないとわからないと思います。最近入社したスタッフも、最初は「人前で話をするのが苦手です」「レクリエーションで大きい声を出す自信がありません」と言っていました。でも気がつけば、誰よりも大きな声を出して、笑いながら進行できるようになっています。
最初からできなくてもいいんです。経験を積むなかでできるようになっていることって、たくさんあるんだなと感じています。
──では、介護の仕事をするうえで大切なことは何だと思いますか?
何ができなければいけないかということよりも、誰かの力になりたいと思えるかどうかだと思います。その方がどういう人生を過ごしてきたのか、何が好きなのか、どうしたら喜んでいただけるのか。そういうことを少しずつ知っていくと、介護の仕事はどんどん楽しくなっていくと思います。
──最後に、介護の仕事に興味はあるけれど、まだ応募するか迷っている方へメッセージをお願いします。
私自身、介護の仕事は難しいのではないかと思っていました。実際に介護スタッフとして働いてみて、難しい部分はあるけれど、それだけじゃないとわかってきました。
お客さまと接していると、何気ない行動や言葉の背景にも、その方なりの理由があるのだと感じることがあります。その背景が少しずつわかるようになると、もっと介護を学んでみようと思えるんです。最初から何でもできる必要はありません。怖がらずに、まずは知るところから始めてみてほしいなと思います。
※掲載内容・所属・肩書はインタビュー時点のものです。