保健師・看護師を経て病院の社会福祉士となった男性がこれまでのキャリアをどう選んできたか

今回話を伺ったYさんは、保健師・看護師・社会福祉士と3つの資格を持ち、所属する環境や立場を変えながら、自身にできる支援の形を追求し続けてきました。時には退職代行サービスまで利用したという、異色のキャリア変遷について聞きました。

保健師・看護師を経て病院の社会福祉士となった男性がこれまでのキャリアをどう選んできたか

目次

話を聞いたのはこんな人

Yさんプロフィール

キャリアのスタートは行政保健師

──看護大学で看護師と保健師の資格を取得し、新卒では保健師として働きました。なぜ行政の仕事を選んだのでしょうか。

Yさん:理由は2つあります。まず、看護師は女性が多い職場なので、男性としては少し気後れがあったこと。

もう1つは、保健師として行政を先に経験しておけば、社会の枠組みや制度を知ることができると思ったんです。さまざまな人との関わりから、病院という組織に留まらない広い視点を先に身につけることで、将来病院で働く際にも役立つはずだと考えました。

──どのような業務を担当されましたか?

感染症対策の部署に配属されました。結核などの二類感染症の担当として、病院と定期的にカンファレンスをおこない、結核患者さんの治療状況や社会復帰について調整や協議をする仕事です。

また、地域包括支援センター(包括)介護保険に携わる仕事も担当し、これはとてもためになりました。とくに新卒で病院勤務してしまうと、病気で心身が不自由な高齢者を見ることが多くなりがちです。それに対して、病院の外で元気に暮らしている高齢者と関われた経験は大きかったです。退院後の生活状況が見通せるようになり、退院計画を立てるときにも逆算できるようになりました。

──目的としていた社会の枠組みや制度の理解にも役立ちそうな経験ですね。

包括での仕事はまさに社会と関わる仕事でしたね。ただ、感染症のほうは専門性が尖りすぎていたので、一般的な病状をもっと幅広く経験したいと思うようになり、看護師として転職することに決めました

Yさんの取材中の様子
「業務内容を重視していたので、公務員を辞めることに抵抗はなかったです」

病棟看護師として味わったジレンマ

──新卒では選ばなかった看護師として転職することになったんですね。

看護師として、民間の救急病院に転職しました。脳外科の病棟から始まり、そのあと総合内科の病棟に配属されました。

希望どおり幅広い症状を経験できましたが、病院の退院支援には疑問を抱きました。包括での経験から「この状態で自宅に帰すのは無理があるのでは」と感じる場面も少なくありませんでした。救急病院なので、ベッドの回転率を上げる重要性もわかりますが、退院後の患者さんの生活も気になってしまって……。

──病院と患者さんの間で板挟みになってしまった。

そうです。患者さんのことを思うと「もっとこうすべきなのでは」と思いながらも、組織の人間として、なかなか自分の意見を伝えることはできませんでした。

その病院では独自の文化があるというか、立場や主張の強い人の意見が正義とされる風潮があり、働きにくさを感じてしまって……。実際、辞めていく同僚たちが後を絶たなかったです。

退職者が続くと、あとに残る人ほど辞めづらくなっていくんですよね。「誰かが辞める=残った人の負担が増える」という連鎖が起きていて、私も辞めるとはとても切り出せない雰囲気でした。

そんなとき、本にあった「今日が一番若い」という言葉が刺さり、退職を決めました。

──辞めづらい状況下でスムーズに退職できたんですか?

実は、退職代行を使ったんです。1ヶ月くらい使うべきか悩みました。普通に辞めるべきだろうか、仁義や恩義もあるし……と。でも、退職代行で辞めた結果を後悔するかどうかは、そのあとの自分の行動次第だと思い、使うことにしたんです。

Yさんの取材中の様子

──依頼から退職まではどう進んだんですか?

翌日には病院に伝えられ、私には連絡が来ないようにしてくれました。私物は事前に持ち帰り、返却が必要な備品などは郵送でやり取りしました。退職代行サービスとのやり取りはLINEだったのでレスポンスが早かったです。

──その後、後悔する気持ちは?

そのときは「やっちゃったな」という後ろめたさもありましたが、今は後悔していません。他人の噂なんて長くは続きませんし、退職によって関係が途切れてしまった人もいますが、本当に縁がある人とは今もつながっています。

退職代行は「逃げ」ではなく、次の目標へ労力を割くための「前向きな手段」だと考えています。

これまでの経験をつなぐ、社会福祉士としての仕事

──退職代行で辞めたあとは、またすぐ次の仕事を探したんですか?

いえ、救急病院を退職したあとは、通信の専門学校で勉強して社会福祉士を取得しました。看護師や保健師の専門性だけに留まらず、地域や社会にまで視野を広げて学びたいと考えたからです。

勉強期間は半年くらいでしたが、看護師・保健師よりも確実に難しかったですね。

──では、資格取得後は社会福祉士として働くことに?

はい。公的病院に転職し、退院支援をしています。これまで行政で地域生活の中での支援、病棟で入院中の具体的な看護を経験したことが、今の業務につながっています。

病棟看護師はチームワークが求められる仕事でしたが、退院支援は一人で仕事を進めることが多く、自分に向いていると思いますね。

──今後、どのようなキャリアを描いていますか?

模索中ですが、社会福祉士はしばらく続ける予定です。行政と病棟、退院支援を経験してきたので、マクロとミクロの視点を活かしながら働けたらいいなと思っています。1対1のケアの大切さもわかったうえで、地域全体の福祉としてどう支えていくかを考えることが、今のやりがいです。

ジョブメドレーで求人を見る

取材協力:ヨメカン(ブログX

プロフィール

「なるほど!ジョブメドレー」は、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」が運営するメディアです。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に就いている人や就きたい人のために、キャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。仕事や転職にまつわるご自身の経験について話を聞かせていただける方も随時募集中。詳しくは「取材協力者募集」の記事をご覧ください!

あなたへのおすすめ記事

退職代行とは?サービス内容と費用相場、違法となるケース、利用前に知っておくべきことを紹介

退職代行とは?サービス内容と費用相場、違法となるケース、利用前に...

職場に退職を切り出せずに悩んでいませんか? 「伝え方がわからない」「引き止めにあいそう」という不安を軽減する手段として、退職代行が注目されています。サービス内容と主な利用理由、注意点について解説...

転職ガイド 公開日:2025/01/17 更新日:2025/10/22

「大変だからこそやりがいがある」地域包括支援センターの社会福祉士に聞く“仕事のモチベの保ち方”

「大変だからこそやりがいがある」地域包括支援センターの社会福祉士...

地域包括支援センターの社会福祉士とはどんなお仕事なのか。複数の福祉現場を経験し、一般企業を経て地域包括支援センターの非常勤社会福祉士となったFさんに、働くうえでの心持ちと仕事に対する胸の内を聞き...

インタビュー 公開日:2022/04/05 更新日:2022/04/16

行き先はいつも未知。海外移住から被災地支援に飛び込んだ看護師の仰天半生

行き先はいつも未知。海外移住から被災地支援に飛び込んだ看護師の仰...

キャリアには、計画どおりに進む道もあれば、予想外の方向へ枝分かれする道もあります。今回取材した看護師が歩んできたのは、まさに後者です。救急で積み上げた10年を手放し、親子2人で海外移住。想定外の...

インタビュー 公開日:2025/12/23 更新日:2026/07/02

看護師→異業種→再び看護師に。“転職と復職の不安”を乗り越えた先にあるもの

看護師→異業種→再び看護師に。“転職と復職の不安”を乗り越えた先...

人生100年時代、一生ひとつの仕事を続ける働き方が当たり前ではなくなりました。「ほかの仕事にも興味があるけれど、挑戦できるだろうか?」「もしまた今の仕事に戻ってきたら、やり直しは効く?」など悩む...

インタビュー 公開日:2022/08/16

「治療だけが医療ではない」国境なき医師団で19回派遣された看護師の決断と覚悟

「治療だけが医療ではない」国境なき医師団で19回派遣された看護師...

紛争地や被災地に医療を届ける「国境なき医師団」。そこで活動を続ける看護師と聞くと、どんな人を思い浮かべますか? 看護師の仕事に悩み、つまずきながらも夢を追い続けた女性のキャリアと原動力を聞きまし...

インタビュー 公開日:2026/01/08 更新日:2026/07/02

職種ごとに記事を読む

ジョブメドレー公式SNS

会員登録がまだの方

  1. 1 事業所からスカウトが届く

  2. 2 希望に合った求人が届く

  3. 3 会員限定機能が利用できる

無料で会員登録をする

LINEでもお問い合わせOK!

ジョブメドレーの専任キャリアサポートにLINEで相談できます! QRコード

@jobmedley

ジョブメドレーへの会員登録がお済みの方はLINEで通知を受け取ったり、ジョブメドレーの使い方について問い合わせたりすることができます。

LINEで問い合わせる

ジョブメドレーへの会員登録がお済みの方はLINEで通知を受け取ったり、ジョブメドレーの使い方について問い合わせたりすることができます。

看護師/准看護師の新着求人

職種とキーワードで求人を検索

Btn pagetop