「保育業界の異端児」でもかまわない。女性が活き活きと輝き、子どもに愛情を注げるための環境提供を
ー保育事業を始めたきっかけを教えてください
福島
「初めて就職した時に、同期のとても優秀だった女の子が結婚することになったんです。あるとき、その女の子が総務に呼ばれた後に泣いていて、『どうしたの』と聞くと、『働き続けるのが難しくなってしまった』と。『女性ってこんなに優秀なのに、結婚という理由で働けなくなっちゃうって、どうなんだろう』って思って。そのことがあって、『女性のためになる仕事をしたい』ということがずっと根本にありました。もう一つは、世のため人のために働きたいと考えた時に、未来を担う子どもたちにすくすく育っていってほしい、思いやりのある子どもが育ってほしい、という思いがあったんです。でも、ニュースで目にするのは、虐待が多すぎるという現実。結局、都会の母親たちは、育児の悩みを誰にも相談できなくて、一人で抱え込んじゃっているんです。そのときから、『女性が活き活きと輝けて、子どもに愛情を注げるような環境を提供していきたいな』と、ずっと思っていましたね。」
そんな思いから、「困っていたら助ける」というスタンスで、保育サービスを展開してきたと語る福島代表。
ー「母親のための保育」にこだわる理由は何ですか
福島
「都会における保育の大きな課題は、待機児童の問題。結局、子どもを預けられない人がいっぱいいるんですよ。母親たちは、四六時中、子どもとトイレも一緒、歯医者にもどこも行けない。でも、買い物には行かなきゃいけない。『じゃあ、1時間でも子どもと離れてショッピングができたらいいな。』と思って、『ある商業施設で3000円以上お買い物したら、託児が1時間無料ですよ。』ということを仕掛けたんです。お母さんは、きっちり1時間で帰ってくるんですけど、ものすごい量の買い物をしているんですよ。そして、笑顔でひと言、『ありがとう』と言われたんですね。その『ありがとう』を聞いて、これはやめられない、広げていかなきゃいけない、と思ったのがスタートです。そこから母親がリラックスできる、ストレス発散できるところがあれば、そこで保育をやろう。困っているんだったら、何とかやりましょう。というスタンスで、これまで保育サービスを展開してきましたね。」
しかしながら、「保育はあくまでも母親のサポート」 だと語る福島代表。
福島
「結局はお母さんには勝てないんですよね。保育中は、子どもは保育スタッフに笑顔を向けてくれるけれども、お母さんがお迎えに来た瞬間の顔にはかなわない。でもお母さんたちって、今の自分の行っている育児に対して、不安で何らかの悩みを抱えているんです。そういったお母さんたちが自信を持てるように、『それでいいんだよ』というひと言を言ってあげて、背中を押してあげられる立場でいたい。正直、何が正解かはわからないですけれど、お母さんたちが頑張れるためのサポートをして、お母さんたちや子供たちが笑顔になるのをみると、間違ってないんだなと感じます。」
やさしくて、熱い社長が現場をフォロー。10年目を迎え、さらに新たな風を巻き起こす
ー現場スタッフから見て福島代表はどのような方ですか
渡邉
「今、聞いていただいたように、とにかく熱い方です(笑)。一方で、すごく現場の方々を大切にしていて、スタッフの気持ちにいつも寄り添っていてくれる優しい社長でもあります。私たちの現場に来てくださる際はいつも、細かい変化にも気がついて、『大丈夫』とか『何か一緒に手伝おうか』とか、気を遣ってくださる社長です。そして、必ず『大丈夫だよ』と言ってくれます。」
そんな、母親にもスタッフにも優しい福島代表率いるアミーの事業展開は、保育事業だけにとどまりません。今年10年目を迎え、新たな取り組みとして、東京大学生涯学習論研究室との共同研究をスタートさせました。シングルマザーが一人で悩みや問題を抱えていることが、母親の貧困や自己肯定感の低さにつながり、子どもの貧困や心の問題へと連鎖していく…。この問題を研究テーマに、ゆくゆくは、女性の自立支援プログラムの構築を目指すとのこと。
ー実に多様な事業展開を行うアミーでは、どのようなキャリアアップの道があるのでしょうか
福島
「東大との共同研究でも新たに事業化をして、キャリアステージを用意したいと考えています。現場が大好きでそのまま続けたいという方もいれば、SVをしたい、事務をしたい、管理をしたいなど色々あると思います。現場から本社へ行って、優秀な人材として活躍している方もいます。キャリアアップへのステージは未知数ですね。いろいろと事業を手掛けることで、スタッフが活躍できる新たなステージをどんどん作っていきたいと思っています。」
休みの希望が通る職場、小規模で子どもとふれ合える職場、揃っています
ーアミーの働きやすさを教えてください。
鈴木
「三ツ沢園のいいところは、なるべくシフトの希望を聞いて、先生たちの働きやすい環境を作っているところです。プライベートが充実することで仕事も頑張れるし、子どもたちとも楽しく笑顔で過ごせると思っています。あと、お子様のいる先生で、子どもの体調が悪くて当日にお休みがほしいということがあれば、他の先生たちでカバーするようにしています。パートの先生にお子様がいる方が多いので、勤務希望はできる限りリクエストに応えるようにしていますね。子育て経験のある先生から、子どものいない正職員の先生に、アドバイスをいただいたりしています。」
渡邉
「私が施設長をしているどれみ保育所は、介護施設内の小規模保育所です。働く母親のすぐそばで保育を行っているので、子どもも母親も安心感が得られます。介護施設の高齢者と、保育所の子どもたちとの交流を行っていく予定もあります。大人数の保育だと、どうしても目が行き届かないところもあると思うんですけど、小規模保育所だと、2対1で手厚く保育をすることも可能です。手が足りないということがなく、日々のちょっとした変化でも、すぐに気がつくことができるのが魅力だと思います。ふれ合うことが子どもの成長には一番良いと思うので、とにかく抱っこしています。0歳児から預かっているので、成長がみられるのもうれしいですね。」
本社の管理スタッフが現場のスタッフを直接サポート、一味違う研修プログラム
ー本部スタッフから、どのようなサポートが受けられますか
福島
「現場スタッフの心までサポートしています。現場の仕事って本当に大変で、やっぱり現場のスタッフには仕事に集中してほしい。だから本社のスタッフには、現場が抱えるいろんな悩みの聞き役をお願いしています。悩みを溜め込まず、吐き出す機会をつくってあげることが、長く働いてもらう上でとても大事になっていると思いますね。」
ー働きやすい環境を作るために、特殊な研修プログラムもあるとお伺いしました。
福島
「現場では、管理スタッフが開く保育の研修や、市の研修への参加、本社では様々な知識を学べる機会があります。また、これからの時代に即した内容で、IT事業や成年後見制度、少子高齢化などの研修を行っています。女性の出産年齢が高齢化すると、次には介護の問題が出てきて、ダブルケアの問題となる。成年後見制度など、先駆けて知っておくことで、実際に働く女性スタッフにダブルケアの問題が起きたとき、対応しやすくなるんです。本社としては、いろんな知識を学んでほしいなと思っています。」
やさしい方、子どものことを一生懸命考えて、「母親のための保育」を実践できる方を求めます
ー今後どのような方と一緒に働きたいですか
鈴木
「三ツ沢園では優しい保育を目指しているので、思いやりをもって人とコミュニケーションが取れる優しい先生に来ていただきたいです。」
最後に、福島代表から、読者の皆様へのコメントを頂きました。
福島
「プロ意識を持って、子どものことを一生懸命考えられる人、お母さんのことを考えられる人、保育をサービスとして、お母さんのために一生懸命やりましょう、という人に来ていただきたいです。お母さんのために、そして、子どもたちが思いやりのある子どもに育つために、全力を注げる方、お待ちしております。」
お話を伺った方
福島代表(写真中央)
金融系での人事、ホテル業界の営業職を経て、人材派遣の企業に就職したときに保育事業の道に。女性が活き活きと輝き、思いやりのある子育てができるための環境づくりを目指し、多様な保育事業を展開。今もなお、保育業界に新たな革命を起こし続け、さまざまな事業を仕掛けている。
鈴木園長(写真左)
横浜市の認可保育所である三ツ沢園の園長。認可保育所での保育士経験を経て、たまたま歩いていたときに魅力を感じた、アミーの商業施設内託児所に応募したのが入社のきっかけ。横浜保育室高島園に勤務後、三ツ沢園の園長に。自身も子育て中でありながら、子どもたち、母親たちを日々サポートしている。
渡邉施設長(写真右)
介護施設内保育所であるどれみ保育所の施設長。幼稚園教諭の経験があり、自身の子育てが一段落したところで、より子どもと近い距離でふれ合える小規模保育所を希望。アミーの少人数保育室で働き始め、いったん退職するも、再びアミーの少人数保育室に従事し、現在はどれみ保育所の施設長に。