学校教育と保育を同時に行う「保育教諭」
平成27年の「子ども・子育て支援新制度」の開始および「認定こども園法」の改正によって、幼保連携型認定こども園が新しくなりました。幼保連携型認定こども園とは、学校教育の場である幼稚園と、児童福祉施設である保育所が一体化した施設。これまでは幼稚園部分と保育所部分でそれぞれ認可を受ける必要があり、二重行政となっていましたが、今回の法改正により単一の施設として認可・指導監督・財政措置が一本化されました。
そんな幼保連携型認定こども園で働いているのが「保育教諭」です。保育教諭は、小学校未就学のこどもを対象に、保護者が働いているかどうかは関係なく保育を行うとともに、幼稚園と同様のカリキュラムに沿った教育に携わります。また、認定こども園には地域の子育て支援を行う機能もあるため、子育て家庭を対象に、保護者の相談に乗ったり指導を行う役割も持っています。
こうした役割を果たすため、保育教諭は「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方の免許・資格を持っているのが原則です。ただし、2020年3月31日までの経過措置として、どちらか1つの資格を持っていて一定の実務経験がある人は、保育教諭として働くことが認められています。もちろん経過期間が過ぎれば、保育教諭としては働けなくなるので、働き続けるにはこの期間のうちに免許・資格をとる必要があります。経過措置が行われている間は、資格取得がしやすいように、受験時には単位の免除があるなど優遇されています。
※2019年の法改正にて、2020年3月31日までの経過措置期間が5年間延長され、2025年3月31日までとなりました。
仕事に就いていない人も活用できる資格取得特例制度
厚生労働省では、新たな認定こども園制度への円滑な移行・促進のため、幼稚園教諭免許状を持つ人を対象に、2025年3月末までの「保育士資格取得特例制度」を設けています。幼稚園教諭として3年かつ4,320時間以上の実務経験がある場合は、筆記試験9科目のうち3科目と実技試験が免除されます。さらに、大学など保育士養成施設で4科目8単位を習得すると、全科目の試験が免除されます。
同様に、文部科学省でも保育士資格を持つ人を対象に「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」を2025年3月末まで設けています。保育士としての勤務経験が3年かつ4,320時間以上であり、大学などで6科目8単位を習得すれば、幼稚園教諭の普通免許状を取得できます。
勤務先が幼保連携型認定こども園に移行するケースも?
少子化に対応すべく幼稚園や保育所が認定こども園に移行するケースが増えています。平成23年は762施設だった認定こども園は、平成29年では5,081施設に増加し、その中でも幼保連携型の施設は3,618施設と増えています。都市部では保育園不足、地方では少子化によって幼稚園の経営が難しくなるといった状況があり、今後も認定こども園への移行は続くとみられています。今の勤務先では必要がなくても、保育教諭として働けるよう準備をしておくのも良いでしょう。
また特例制度は、現在幼稚園や保育園で働いていない方も、所定の実務経験が証明できれば適用されます。幼稚園教諭の免許状の更新を行わずに失効している方もいるのではないでしょうか?更新講習を受講・修了し、免許管理者へ申請すれば改めて免許状の授与を受けられるので、この機会に資格・免許の取得を考えてみてはいかがでしょうか。