求められている潜在保育士の現場復帰
待機児度解消に向けて、保育所の増設とともに、不足している保育士の確保が急務となっています。保育士資格を持ちながら保育現場で働いていない、いわゆる潜在保育士の数はおよそ76万人(2015年10月時点での厚生労働省の調査による)。保育士の有効求人倍率は、2016年11月時点では 2.34 倍(東京では 5.68 倍)と高い水準で推移しています。 保育士が離職する理由、離職した保育士が保育現場に復職しない理由のひとつに、保育所不足が挙げられます。これまでは、勤務先と住まいの市町村が違うと保育所入所審査の際に優遇してもらえなかったり、勤務先の保育所には入所できないルールがあったりして、保育士の子どもの保育所探しが難航することも珍しくなかったのです。
保育士の子どもの預かり支援を推進
2017年、待機児童の解消を目指し、保育人材確保の方策として、保育士の子どもの預かり支援が推進されることになりました。この方針を各自治体に徹底するために、内閣府・厚生労働省・文部科学省の連名で、より具体的な指示が各自治体に伝えられています。その内容は以下のとおりです。
- 保育士、幼稚園教諭、保育士教諭の子どもは、保育園等への入園の可能性が高まるような点数付けを行って、優先的に入園を確定させる
- 保育士の親が勤務している保育園へも入園できるようにする
- 住んでいる市町村内の保育園等への勤務を条件とせずに、市町村の圏域を超えた利用調整を行う
これから子育てをする保育士、現在育児休業中の保育士には、心強いですね。離職中の保育士が復職するにも大きなチャンスです。
保育士への復職を支援する自治体も
離職保育士の復職支援として、各自治体でもさまざまな取り組みが行われています。たとえば、東京都では離職中の保育士を登録する「離職保育士届出制度」によって、離職中の保育士に対して、保育に関わる知識やスキル維持をサポートするとともに、就業支援を行っています。また、再就職のために子どもを預ける場合、保育所やベビーシッターの費用などの貸付を受けられる制度もあります。貸付期間は2年間で、保育士として2年間働くと返還を免除してもらえます。こういった制度を上手に活用して、保育士への復職を考えてみてはいかがでしょうか。