1.呼吸療法認定士とは
呼吸療法認定士は、呼吸ケアに関するスキルや知識を証明する専門資格です。日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会の3学会が合同で認定をおこなっており、正式名称は「3学会合同呼吸療法認定士」といいます。
1996年の創設以来、毎年1,000人〜3,000人程度が認定を受けており、2024年時点の有資格者数は6万4,199人にのぼります。また、有資格者の約半数は看護師が占めています。

2.呼吸療法認定士になるには?
最初の講習会受講からデジタル修了証(オープンバッジ)を受け取るまでには、約1年間かかります。受講から認定までの大まかな流れは以下のとおりです。

受講資格
認定講習会を受講するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
(1)次のいずれかの免許を保有し、所定の実務経験を積む
- 看護師 2年以上
- 准看護師 3年以上
- 臨床工学技士 2年以上
- 理学療法士(PT) 2年以上
- 作業療法士(OT) 2年以上
(2)申請書類提出日から過去5年以内に、認定委員会が認める学会や講習会などに出席し、12.5点(半日の講習会に参加で獲得可能)以上を取得する
<注意事項>
- 実務経験年数は、当該資格を取得した日(免許登録日)から、申請書類提出日までを数えた年数
- 実務経験年数は常勤とし、アルバイトなどの期間は認められない
- 罰金以上の刑に処せられた人や、業務に関して犯罪または不正行為があった人、厚生労働省が定める心身の障害により業務を適正におこなえない者に該当する人、麻薬、大麻もしくはあへん中毒者は受講できない
参考:公益財団法人医療機器センター|「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度
認定講習会の講義内容
認定講習会の講義内容やテキストは毎年改定されます。2025年に実施が予定されている講義内容は以下のとおりです。
講義科目 |
時間(分) |
講義科目 |
時間(分) |
---|---|---|---|
1.血液ガスの解釈 |
80 |
7.気道確保と人工呼吸 |
80 |
2.呼吸機能とその検査法 |
60 |
8.NPPVとその管理法 |
60 |
3.呼吸不全の病態と管理 |
80 |
9.開胸・開腹手術後の肺合併症 |
70 |
4.呼吸リハビリテーション |
80 |
10.新生児・小児の呼吸管理 |
70 |
5.酸素療法 |
70 |
11.人工呼吸中のモニター |
60 |
6.人工呼吸器の基本構造と保守 および医療ガス |
80 |
12.人工呼吸中の集中治療 |
60 |
認定試験の内容と合格率
認定試験は、毎年11月下旬から12月上旬の日曜日に実施されます。試験はマークシート形式で、認定講習会やテキストの内容を含めた呼吸療法全般に関する問題が100問出題されます。過去5年間の合格率は68.4%です。

取得にかかる費用
呼吸療法認定士の資格取得にかかる費用は、3万6,000円〜5万円程度です。具体的な費用は、受講する講習会の種類や、認定講習会の受講方法(eラーニングのみ、会場・eラーニングの組み合わせ)によって異なります。
講習会 |
学会・講習会によって異なる (3,000円〜1万5,000円程度) |
---|---|
認定講習会 |
会場・eラーニング:3万円 |
認定試験 |
1万円 |
認定登録料 |
3,000円 |
更新方法
呼吸療法認定士修了証の有効期限は5年間です。更新するには、有効期限内に委員会が認める学会や講習会に参加し、50点以上取得する必要があります。なお、超過点数を次回の更新に持ち越すことはできません。
更新の手続き期間は認定を受けてから5年目の4月〜9月です。手続き期間になったら、更新審査手数料3,000円を指定の口座へ振り込み、点数取得を証明する書類と、認定証の写しを添付して認定委員会に提出してください。
tips|呼吸療法認定士の試験対策、勉強はいつから始める?
呼吸療法認定士試験は、範囲が広く難度も高いため、最新教材が販売される3月〜4月から少しずつ基礎知識を身につけましょう。9月の認定講習会までに基礎を固め、試験2ヶ月前からは問題集や過去問を繰り返し解くことをおすすめします。
3.呼吸療法認定士になるメリット
呼吸療法に関するスキルアップにつながる
認定講習を通じて、呼吸機能や酸素療法への理解、呼吸に関わる解剖生理、人工呼吸器の取り扱いなど、幅広い知識と実践的な技術を習得できます。
呼吸療法に関する知識を深めることで、医師の指示内容への理解が深まり、より的確な対応ができるようになります。そのため、ICUや救急、呼吸器科など呼吸療法が多く用いられる部署の医療従事者にとって、スキルアップに適した資格です。
キャリアアップにつながる
医療機関によっては、呼吸療法認定士が資格手当の支給対象になる場合があります。また、チーム内での情報共有や後輩指導を通じて、人事評価につながることも期待できます。
さらに、呼吸療法認定士は看護師をはじめとして、多くの医療従事者が取得しており、転職活動において、スキルの証明として評価される可能性があります。
4.呼吸ケアの専門性を深めてキャリアアップを目指そう
呼吸療法は、呼吸器疾患を持つ患者だけでなく、高齢者や障がい児のリハビリなど、幅広い分野で必要とされる技術です。呼吸療法認定士の資格を取得することで、専門的な知識や技術が身につきます。
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