
1.医療情報技師の仕事内容とは
日本医療情報学会は、医療情報技師について「保健医療福祉専門職の一員として、医療の特質をふまえ、最適な情報処理技術にもとづき、医療情報を安全かつ有効に活用・提供することができる知識・技術および資質を有する者」と定義しています。
医療情報技師は、医療機関におけるデータ管理やトラブル解決をする技術者です。具体的には、電子カルテなどのシステムをつくったり、故障を解決したりします。医療業界でもIT化が進んできてはいるものの、すべての医療スタッフがITに詳しく、システムを使いこなせるわけではありません。そこでITに詳しく、医療の知識やスキルをもつ技術者のニーズが高まっているのです。
2.医療情報技師になるためには検定試験の合格が必要
医療情報技師は国家資格ではなく、日本医療情報学会が認める民間資格の1つです。資格を取得するためには「医療情報技師能力検定試験」に合格する必要があります。
医療情報技師能力検定試験に受験資格はありません。検定料さえ支払えば誰でも受験することが可能です。ここで、「医療情報技師能力検定試験」の概要や難易度・合格率などを確認していきましょう。
2-1.医療情報技師能力検定試験の概要
医療情報技師の試験は年に一度、8月下旬におこなわれます。試験は「医学・医療系」「情報処理技術系」「医療情報システム系」の3科目すべての合格点数に達する必要があります。
一部合格できなかった科目は再受験が必要ですが、合格した科目については「科目合格」として2年間は合格扱いとなる(再受験が免除される)ため、この免除期間に不合格科目を再受験して3科目すべてで合格すれば、医療情報技師として認定されます。
受験資格 | 特になし |
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受験科目 | 情報処理技術(50問、100点満点) 医療情報システム(60問、120点満点) 医学・医療(50問、100点満点) |
試験方式 | 各科目とも5択のマークシート方式 |
受験料 | 15,000円(税込) ※科目合格者の受験料:13,000円(税込) |
試験会場 | 北海道、宮城県、東京都、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、岡山県、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県 |
試験日 | 8月下旬 |
合格発表日 | 10月上旬 |
出所:医療情報技師育成部会|医療情報技師能力検定試験実施概要
2-2.医療情報技師能力検定試験の難易度と合格率
2021年8月22日(日)に行われた試験では3,489名が受験し、1,357名が新たに医療情報技師として誕生。合格率は38.9%でした。
なお、2020年の試験は新型コロナウイルスの影響で実施中止となりました。

出所:医療情報技師育成部会
3.医療情報技師の就職先はどんなところ?
医療情報技師の就職先として多いのは、電子カルテなどを扱うソフトウェアの会社です。そのほか、医療系のコンサルティング会社などが挙げられます。
主な仕事内容はプログラミングとなりますが、病院にサポートに赴くこともあるため、医療分野の知識・理解が欠かせません。
日本医療機能評価機構が実施している病院機能評価の項目では、評価要件に「医療情報技師の配置が望ましい」という一文が加わったため、これからはソフトウェアの会社だけではなく、病院へ就職する医療情報技師も増えてくるかもしれませんね。