
子どもと関われる職場は?

小児科
病院で子どもと関わりのある職場として、まず一番に思い浮かぶのは小児科ではないでしょうか。病棟、外来、クリニックなどの小児科は0歳児~高校生くらいまでを対象にしている診療科です。職場によって対象年齢には差がありますが、多くは乳幼児の子どもが多い場所となります。
小児科病棟での役割・仕事内容
小児科病棟では、小児特有の疾患で入院治療する患者さん、その家族のケアがメインとなります。たとえば、気管支喘息、肺炎、尿路感染症、胃腸炎などのアレルギーや感染症は小児に多く、重症化、回復までに時間がかかることもあり、入院や外来でよくみる疾患です。
また、それぞれの発達年齢にあった看護・関わりが必要であり、とくに乳幼児は意思疎通がしっかりできる年齢ではないために、家族との関わりも重要となります。処置や検査をするにしても、泣いたり、暴れたりとスムーズにいかないこともあるため、うまく鎮静薬を使用したり、家族に協力してもらいながら進めていくことが必要となります。
保育園
一般的にはあまり知られていないものの、最近ニーズが増えてきているのは、保育園看護師です。保育園看護師は保育園に常駐する保健室の先生のような役割で、園児たちの健康管理をメインにおこないます。現在は首都圏での募集が多いですが、そのニーズは今後地方にも広がってくることが予想されます。
保育園での役割・仕事内容
保育園看護師は、園児の健康管理はもちろんのこと、感染症予防や事故防止などの安全面のサポート、その家族への指導もおこないます。たとえば、秋頃にはインフルエンザや胃腸炎などの感染症が流行る時期になるので、保健だよりや手洗い教室などで、子どもとその家族の両方にアプローチする必要があります。そのため、保育園看護師は子どもが手洗いに興味をもてるように紙芝居にしたり、手洗いのお歌をうたったりといった工夫もしています。
また、最近ではアレルギーを持った子ども、発達障害を抱える子どもへの対応なども必要な知識・スキルでもあり、小児科経験が重宝される場面も多いです。現場では、保育士や栄養士などと協同して子どもに関わっていきます。
重症心身障がい児施設
重度の知的障害や肢体不自由をあわせもった児童や成人が入所する施設です。年齢の幅は施設ごとで違いますが、多くは18歳までを原則としているところが多いです。
重症心身障がい児施設での役割・仕事内容
治療、療育目的での医療ケアと生活支援がメインとなります。在宅ケアを受けている子どもの短期入所から長期入所までの支援をおこなっています。看護師の役割としては、気管切開をして人工呼吸器を装着している子どもへの医療ケアをおこなったり、保育士やリハビリスタッフ、介護士などと協力して関わったりします。
医療的な視点だけではなく、療養や福祉として看護師のスキルを学べる、発揮できる場としても幅広い活躍の可能性があります。
子どもと関わる職場で大変なこと・求められること
いずれの施設においても、0歳児~中高生までの幅広い年齢の患者さんが対象となる点が特徴であり、大変なところでもあります。また、発達年齢に沿った声掛けや、家族との関わりが求められる場所でもあります
また、家族からの要望やクレームが多いイメージもあるかもしれません。家族は子どもの健康に関して、細かなところが気になる傾向にあるため、神経を使うところも大変なことの1つです。
子どもとの関わり方のコツや押さえておきたいこと
子どもとの関わりにおいて、コミュニケーション能力はとても重要になります。乳幼児の場合には、人見知りだけではなく、白衣でマスクを付けた人に対して恐怖心を抱くことも多いです。
とくに痛みを伴う処置や検査などの場合は注意が必要です。たとえば、日ごろからよく使うおもちゃ、好きなキャラクターなどの情報を家族から聞き取り、うまく活用しながら少しずつ距離を縮めていく必要があります。
さらに、子どもの一番の味方である母親とうまく関係を築いていくと、子どもも心を開きやすくなります。子どもと1対1の関係づくりではなく、母親や家族を含めた関係を築いていくことが重要です。
子どもと関われる職場の魅力とは
子どもと関われる職場では、子どもの成長を間近で見られることが一番の魅力であると言えます。感情が豊かになってきたり、会話ができるようになってきたり、子どもの成長はあっという間です。
また、子どもは純粋で、ときに大人も驚くような発想をしたり、自分になかった気づきをもらうような場面もあります。子どもとの関わりの中で、自分自身もともに成長していく気持ちで働けることが魅力でもあると思います。
子どもと関われる職場は病院以外にもたくさんあります。今後、ますます需要が出てくることも予想されるため、子どもと関わる仕事がしたいと考える看護師にとって、参考になればと思います。