1. 今日の転職経験者はこんな人
2. Fさん(薬剤師・28歳)の生い立ち
2-1. 幼少期〜小学校時代
2-2. 中学校〜高校時代
2-3. 大学時代
3. 新卒で総合病院に就職
4. 病院から薬局へ転職
5. ザックリ給与明細書
6.(番外編)生活・お金の話
1.今日の転職経験者はこんな人
ー簡単なプロフィールを教えてください。
年齢は28歳。高知県出身で、いまは千葉県で一人暮らし中です。仕事は薬剤師として薬局で働いています。
田舎出身なので、都会に憧れて関東に来ちゃいました。
ーどんな性格ですか?
周りからは明るいと。あとは笑いのツボが浅いかな。くだらないことですぐに笑います。
ー転職は何回経験しましたか?
1回です。前職も薬剤師でしたが、薬局ではなく総合病院で働いていました。
ーなるほど。ここからは、生い立ちに沿ってお話を聞かせてもらいますね。
2. Fさん(薬剤師・28歳)の生い立ち
この時代が全盛期だったと語るFさん
2-1. 幼少期〜小学校時代
ー小さいころの思い出ってありますか?
とにかく田舎だったので、男の子達と一緒に虫を採ったり、ザリガニを採ったり、秘密基地を作ったりと、ひたすら大自然を駆け回っていました。
あと、いま考えると田舎の慣習だったのかなと思うんですが、私の住んでいた地域ではみんな保育園と幼稚園の両方に通うんですよね。最初は保育園に入って、小学校にあがる前の1年間だけ幼稚園へ、という感じで。
ー小学生のときはどんな子でした?
相変わらず男の子っぽい性格でしたね。ただ、親としては女の子らしく育ってほしかったのか、ピアノ・習字・水泳・お花など習い事漬けの生活でした。
あ、でもちゃんと女の子らしく初恋も経験しました。クラスで1番足が速い男の子に。小学生って、とりあえず足が速くてドッジボールが強い男の子がヒーローですよね。
2-2. 中学校〜高校時代
ー中学校にあがってからはどうでしたか?
身長が大きいほうだったんで、それを活かすべくバレーボール部に入部しました。全然強くなくて、ゆるく楽しむ程度の部活でしたが。
あとは、中学2年生の頃だったかな。初めての彼氏ができました。と言っても、田舎は遊ぶところもないので一緒に帰るくらいでしたね。
ー高校はどんな学校へ?
田舎なので、そもそもの選択肢が商業高校・県立普通科高校・私立高校の3つしかなかったんです。私は県立の普通科高校へ進学しました。
高校でもバレーは続けて、野球部の男の子と恋愛して、普通の高校生活を楽しみました。ちなみに今でも坊主頭は好きです。ご利益がありそうで撫でたくなる(笑)。
2-3. 大学時代
ー高校卒業後の進路はどのようにして決めたんですか?
実は高校3年生になったばかりの段階では、将来の目標などは何もなかったんです。漠然と「田舎から出たいな」という気持ちだけはあったんですが。
ーそこからなぜ薬学部へ?
当時通っていた塾の先生に「薬剤師なんてどう?」と勧められ、調べていくうちに「安定していそう・楽そう・給料よさそう」と思ったのが理由です。ほかの薬剤師さんに聞かれたら怒られそうな理由ですよね。立派でかっこいい理由じゃなくてすみません。
そして、やっぱり都会への憧れもあったので兵庫の大学を選びました。
ーサークルやアルバイトは経験しましたか?
テニスサークルに入ったんですけど、想像以上にガチなサークルだったので全くついていけず、「思っていたのと違う!」ってすぐに辞めちゃいました。
バイトは甲子園球場の売店で。今でも高校野球は好きで、毎年甲子園シーズンは熱くなりますね。
ー薬学部は6年制ですよね。カリキュラムはどんな風に組まれているんですか?
まず1~2年生で基礎的なことを学びます。薬剤師としての心構えや、一般教養なんかも勉強しました。
3~4年生くらいで、ようやく薬理など専門的な分野について学んでいきます。そして5年生で薬局と病院へ実習に行き、6年生でガッツリ国家試験対策という感じです。
ー実習の内容を教えてください。
薬局であれば、指示された薬を棚から出したり、患者さんへお薬を渡したり。病院ではお薬を渡す以外にも、患者さんのベッドサイドで今使用しているお薬の説明などもします。例えば点滴などですね。
厳重なチェック体制のうえで調剤も経験させてもらえ、思っていた以上に実践的な業務経験を得られました。
カルテを直接見させてもらえるので、実際の病態とお薬の処方意図の関連性を学べた部分がすごく勉強になりました。学校の講義ではなかなかイメージしにくいところだったので。
ー国家試験の勉強は大変でしたか?
もちろん大変でした。人生で一番勉強したんじゃないかな。でも「国家試験の合格」というわかりやすい目標とゴールが定められてるので、環境としては恵まれていますよね。「ひたすら勉強すれば必ず報われるんだ!」という気持ちでいられるので。
社会に出てからは、そんな理屈が通じない理不尽なことも多々経験したので、今となってはそう思います。
3. 新卒で総合病院に就職
ー新卒で就職した総合病院は、どうやって探したんですか?
まずは国家試験の勉強が最優先になるので、勉強の合間に大学のホームページなどから探していました。ほかの国家資格職も同じだと思うんですが、就活にはあまり時間をかけられないんです。
条件としては、まだまだ都会への憧れがあったので、地域を関東に絞って探していました。都内もしくは東京近郊がいいなと思って。
ー就職の決め手は?
就職を決めたポイントとしては、研修が充実していたところと月1万5千円で住める職員寮があったところです。ちなみに職場は念願の関東。千葉県松戸市でした。
その病院の少し変わっているところとして、最初の1年間は研修生となり、色んな診療科の病棟を渡り歩くんです。その間は契約職員なんですが、様々な病態を学べるのですごく勉強になりました。
ー薬剤師さんって薬局にいるイメージが強いんですが、病棟での業務ってどんな内容なんでしょうか?
入院患者さんのお薬を管理するのが主な業務ですね。患者さんが入院前から服用していたお薬と同じものが用意できればいいんですが、なければ代替になるお薬を準備します。
そのほか、手術を控えている患者さんには手術で使用するお薬の説明をしたり、手術前に服用を止めなければいけないお薬の管理をしたり。たとえば血液がサラサラになるお薬などですね。
あとは、入院患者さんだけでなく退院する患者さんにお出しするお薬の準備もします。
ー配属される診療科によって業務の違いなどはあるんですか?
基本的な業務は一緒です。ただ、科によっては手術が多かったり、抗がん剤を出したりなど、専門的な要素が絡んできます。なので診療科によって、チェックすべきポイントの違いはありますね。
ーその病院にはどれくらい勤めていたんですか?
研修期間も入れてちょうど2年です。
ー初任給はいくらでしたか?
1年目の研修生の時は額面で15万円でした。学生アルバイトの延長みたいな給料ですよね。職員寮があったのでなんとか生活できていました。研修期間は賞与もなしです。
2年目で正職員になってからは、額面で20万円にあがりました。ただ職員寮は研修生しか入れないので、自由に使えるお金はそんなに変わらなかったですね。賞与は年2回10万円ずつ出るようになりました。
ーたしかに薬剤師さんの給料にしては低めな印象も。
なので、2年目にあがるタイミングで転職する人も多いんです。実際に私の同期もほとんど、そのタイミングで転職しちゃいました。
私はその時点では、まだ将来設計を立てられていなかったので、給料に不満はあったものの転職に踏み切れずそのまま残りました。
ー研修が終わり、正職員になってからはどうでしたか?
2年目以降は自分の担当病棟を持つんですが、私の配属された科は入退院が激しかったのですごく忙しかったんです。一応定時は17時でしたが、20時~21時くらいまで残る日も結構ありましたね。残業は月で40~45時間くらいかな。
ほかにも、その担当病棟の業務をこなしながら1年目の研修生を指導したり、大学の実習生の面倒をみたり、一気にやらなきゃいけないことと責任が増えたんですよね。
さらに私の病棟の看護師長さんがかなり癖のある人だったので、心身共にまいっちゃいました。
ーパワハラみたいなことですか?
まあ、そんなところです。
病院によっては薬剤師のことを、医師みたいに「先生」って呼ぶ文化があるんです。それで、その看護師長には「あんたみたいに若くて頼りない女でも、先生なんて呼ばれていい身分ね」って初対面でチクリと言われました。しかも病棟配属された初日にですよ?
それからも、ことあるごとに目を付けられて、心がポッキリと折れちゃいました。人間関係の悩みが転職に踏み切った大きな理由です。
4. 病院から薬局へ転職
ー今の職場にはどうやって転職を?
今の職場には、もともと大学時代の先輩が働いていたんです。その先輩に職場の悩みを聞いてもらっているうちに「じゃあ、うちの薬局を受けてみたら?」と声をかけてもらったのがきっかけですね。
話を聞いてみると職員同士はすごく仲がよさそうでしたし、薬局での薬剤師業務を学びたい気持ちもあったので面接を受けさせてもらいました。
何より知り合いが働いている職場なので安心感がありましたね。
ーほかの職場は受けなかったんですか?
転職エージェントサービスも利用していたので、ほかにも3つほど面接を受けました。
ーどういう点を重視して探しましたか?
前の職場では、仕事の疲れや悩みを帰宅後や休日にまで引きずってしまっていて、プライベートを充実させられなかったんです。なので、仕事とプライベートをきちんと両立させられる職場がいいなと。
給料は今より少しでも高ければいい、という気持ちでした。
ー面接ではどういったことを聞かれましたか?
志望動機などのテンプレート的な質問以外では、病院業務で印象に残ったことを聞かれました。あとは今後の薬局に期待することなども。
ー転職してみて、働き方に余裕は生まれましたか?
だいぶ余裕が生まれました。もちろん職場のみなさんはいい人ですし、残業もかなり少なくなりました。
シフト制なので勤務時間はバラバラですが、だいたい9時~18時が多いです。週休2日で夏季休暇や年末年始休暇もしっかり取れるので、目標だったプライベートと仕事の両立もしっかりできているかなと思います。
あとは月に1度くらいの頻度で、24時間営業の店舗へのヘルプで夜勤があります。ちなみに今日も夜勤明けです。
5. ザックリ給与明細書
ー月給はどれくらいアップしましたか?
基本給は少しあがっただけですが、もろもろの手当を含めると額面で30万円くらいになりました。
なにより、年2回合わせて4.6月分の賞与がしっかりと出るのが嬉しいです。
ー転職満足度は何点ですか?
70点くらいかな?
ーあれ?ちょっと微妙な採点ですね。
もともと給料が低いところにいたので麻痺していたんですけど、いま平均くらいの水準まできたら「もう少しお金も欲しいな」って欲が出ちゃいまして……。
だからと言って、改めて転職したいと思ったことは1度もありませんよ?
ー仕事における今後の展望や目標はありますか?
「認定薬剤師」といって、特定の分野に特化した薬剤師を認定する制度があるんです。私はその認定薬剤師を、糖尿病の分野で目指したいと思っています。
日本には糖尿病の患者さんがすごく多いので、そういう患者さんにしっかりとした説明や適格なアドバイスができたらなと。
ーいま薬剤師を目指している人に、「病院」と「薬局」のどちらを勧めますか?
早い段階で経験をどんどん積みたい気持ちがあったり、病院業務が少しでも気になっているのなら、大変だけど最初は病院がいいのかもしれません。色々な病態を見られるのはすごくいい経験になりますし、点滴など病院でしか扱わないお薬もあるので。
また、どうしても病院のほうが業務量も多いので、薬局から病院への転職は気持ち的にハードルが高くなってしまうと思います。
6.(番外編)生活・お金の話
ーここからは私生活について聞いていきます。休日は何をしていますか?
バレーボール観戦か、お酒を飲みに行くか、家で家事をしているかですね。
ー バレーボールはVリーグですか?
そうです! いまハマっていて、月1回くらいのペースで観戦に行っています。
ースマホのホーム画面を見せてもらってもいいですか?
ーよく使うアプリは?
1位「LINE」、2位「Instagram」、3位「Twitter」。あとは「ヤクチエ」っていう薬剤師向けの辞典アプリがあるんですけど、これは薬剤師必携のアプリですね。
ーお金は何に1番使いますか?
旅行です。少なくとも年1回は海外旅行をしたくて。直近ではシンガポールへ行きました。
ー海外はどこが楽しかったですか?
「楽しかった」というとニュアンスが少し違うんですが、グランドキャニオンへ行ったことはすごくいい経験でした。
病院勤務で心が病んでいるときに、「大自然の中にいたら、自分の悩みなんてちっぽけに感じるのかな」と、ふと思って1人でグランドキャニオンを見に行ったんです。
実際に行ってみたらすごく感動して、本当に悩みなんてちっぽけに感じました。人生に悩んだら、1回は行ったほうがいいですよ!
ー社会人になってからも勉強などはしていますか?
職場から認定薬剤師を取れと言われているので、勉強会に月2回くらいの頻度で参加しています。
ーそういう勉強会に参加する薬剤師さんは多いんですか?
うーん、人によりますね。ネットにも教材は溢れているので勉強はできるんですが、私は1人では勉強が続かないタイプなので勉強会に参加しています。色々な薬剤師さんと知り合うことで、いい刺激をもらえますしね。
しかも、1回2時間で1000円くらいなので結構コスパがいいんです。
ー間もなく令和になりますが、Fさん自身の中で平成の大きな出来事は?
やっぱり転職したことですね。
当時は自分の将来像がまったく見えなくなってしまっていて、薬剤師を辞めちゃおうかなとも考えていました。なので今の職場に出会えてすごくよかったし、紹介してくれた先輩をはじめ、職場のみなさんにはとても感謝しています。
ーでは最後に、Fさんにとって薬剤師とはどんな仕事でしょうか?
世間的には「袋に薬を詰めるだけの楽な仕事」って思われることもあるんですが、処方チェックの最後の砦だと思っています。医師も人間なのでミスをすることもあります。そのミスを私たちが見逃してしまったら、患者さんは最悪の場合、亡くなってしまう危険性もあるので。
そしてそのためには勉強をして、自分をアップデートし続けなければいけないんです。医学はすごい早さで進歩していき、それに伴い薬の種類もどんどん増えていくので、気を抜くとあっという間に取り残されてしまいます。
薬剤師は日々研鑽ですね。
ー最後の砦。とても重要なお仕事ですね。本日はありがとうございました!