【2022年最新】CRC(治験コーディネーター)の仕事内容、なり方、必要な資格、給料などについて!

新薬開発における治験の調整役となるCRC(治験コーディネーター)について、どのような仕事なのか、資格は必要か、給与、やりがい、将来性などについて解説します。

CRC(治験コーディネーター)画像

1.CRC(治験コーディネーター)とは

製薬会社が新薬を開発するとき、最終段階で人体への有効性と安全性を確認するために「臨床試験(=治験)」をおこないます。その治験の調整役となるのが、治験コーディネーターです。英語表記の「Clinical Research Coordinator」を略して、CRCと呼ばれます。

2.治験コーディネーターの仕事内容

2-1.治験に関わる人たち

治験コーディネーター(CRC)の仕事

治験コーディネーターは、製薬会社の臨床開発モニター(CRA)や、治験を実施する医療機関の医師(治験責任医師、治験分担医師)、各部署(治験事務局、医事課、薬剤部、検査部、看護部)と協力して治験を進め、被験者となる患者さんをサポートします。

point


治験:くすりの候補の有効性と安全性を確かめる臨床試験

製薬会社:医療機関に治験の実施を依頼

臨床開発モニター:治験が適正に実施されているか確認(モニタリング)

医療機関:法律に基づいて治験を実施

治験責任医師:治験に関連する医療上のすべての判断に責任を負う

治験分担医師:治験責任医師の指導・監督のもと治験を実施

被験者:治験に参加する患者さん

治験コーディネーター:製薬会社、医療機関、被験者の間で調整をおこなう


2-2.治験の流れ・仕事内容

治験コーディネーターは主に医療機関で働きます。医療機関の治験事務局に直接雇用されるパターンと、民間企業であるSMO(治験施設支援機関)から医療機関に派遣されるパターンがありますが、仕事内容はほとんど変わりません。

治験は数ヶ月〜数年にわたるので、基本的に1つの治験を担当しますが、SMOから派遣される治験コーディネーターは、複数の医療機関で治験を担当することもあるようです。

治験コーディネーターの仕事を3つのステップに分けて解説します。

<1.治験準備時>

・治験実施計画書(プロトコル)の理解

治験の実施において、製薬会社と医療機関は「薬機法(旧・薬事法)」と「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice=GCP)」を遵守しなければなりません。

製薬会社がGCPに基づいて「治験実施計画書」を作成し、治験責任医師が計画書に合意することで、治験に向けた準備が始まります。

CRCは担当する「治験実施計画書」を読み込み、理解を深めなければなりません。製薬会社の臨床開発モニターから説明を受けたり、医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師から情報を集めたりして、治験薬と対象の疾患について学びます。

・スタートアップミーティングの補助

製薬会社の臨床開発モニターは、治験責任医師や治験分担医師、治験コーディネーター、看護師、臨床検査技師、薬剤師、治験事務局への説明・役割分担をおこなうスタートアップミーティングを開きます。その際、治験コーディネーターはミーティング用の資料作成や議事進行のサポートをします。

・検査機器の管理

製薬会社から搬入される検査機器類や検査キットを適切に管理し、被験者が来院した際の準備を進めます。

<2.治験実施時>

・被験者募集(スクリーニング)

被験者の募集と「治験実施計画書」の基準に合わせたスクリーニングをおこないます。候補者を探す方法には、医師からの紹介、病院のカルテや医療情報システムから探す方法、新聞やインターネット広告の利用(生活習慣病などが対象の場合)などがあります。

・治験の説明文書と同意書の作成

治験責任医師が被験者に事前説明(インフォームド・コンセント)をおこなう場に同席します。医師からは治験内容、来院スケジュール、予想される副作用などについて説明がおこなわれます。治験コーディネーターは被験者に渡す治験の説明文書や同意書を作成します。

・被験者のスケジュール管理と対応

被験者の来院日、検査・投薬予定日などを管理します。来院時には医師の診察に同席し、服薬状況の確認、有害事象のチェック、残薬回収、併用薬剤の確認、服薬指導、負担軽減費支払いの確認などをおこないます。

・症例報告書(CRF)の作成

製薬会社に報告する「症例報告書(CRF)」を作成します。治験コーディネーターは、治験責任医師の指示に従い、原資料(カルテや投薬記録票、検査結果伝票、投影画像、症状についての所感記録など)から医学的判断を要しないデータを確認し、症例報告書に転記します。

・有害事象への対応

治験中に被験者に好ましくない副作用が起こった際(有害事象)の1次対応をおこないます。治験コーディネーターはただちに治験責任医師に報告し、被験者への適切な処置を促します。

その後、事象発生の経緯、関連する検査値や併用薬・治験薬との因果関係などを「重篤な有害事象に関する報告書」として作成し、製薬会社および病院長に提出します。

<3.治験終了時>

・治験終了報告書の作成

症例報告書(CRF)が製薬会社と契約した数に達し、被験者の最終観察・追跡調査などが終了したら、「治験終了報告書」の原案を作成します。

治験終了報告書には、治験ステータス(終了・中止・中断)、実施例数、目標とする被験者数、治験結果の概要(有効性・安全性・GCP遵守状況など)を記載。原案を治験責任医師が内容を確認したうえで、実施医療機関の院長に提出します。

予定より早く契約症例数に達した場合、製薬会社から追加の治験を依頼されることがあります。追加症例を集められると製薬会社からの評価が上がり、治験コーディネーターの査定にもつながります。

3.治験コーディネーターになるには

3-1.医療系の資格は必要?

治験コーディネーターになるために資格は必要ありませんが、医学や薬学、医療システムに関する知識と理解が欠かせないため、医療系の国家資格を持っている人や病院勤務経験のある人が優遇される傾向にあります。

また、国家資格はありませんが、「日本SMO協会公認CRC制度」「日本臨床薬理学会認定CRC制度」「SMONA認定CRC制度」などの認定資格がいくつか設けられています。これらの資格を取得する方も増えているようです。

3-2.どんな職種(資格)からの転身が多い?

日本SMO協会が2021年4月に実施した調査によると、調査に協力したSMO(治験施設支援機関)に所属するCRCの70%以上が医療系の国家資格を持っていることがわかりました。

SMO(治験施設支援機関)で働くCRC(治験コーディネーター)の保有資格

参考:日本SMO協会|日本SMO協会データ2020

一番多いのは臨床検査技師、次いで看護師、管理栄養士、薬剤師と続きます。医療系の資格を保有していないCRCも全体の4分の1程度存在しています。

一方、医療機関で働く治験コーディネーターについては、看護師や薬剤師、臨床検査技師が配属される場合やほかの医療機関から転職してくる場合がほとんどのため、多くの人が医療系の資格を持っています。

4.治験コーディネーターの給与

ジョブメドレーに掲載されている求人から治験コーディネーターの賃金相場を算出しました(2022年1月時点)。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。

下限平均

上限平均

正職員の月給

23万2,039円

32万4,315円

正職員の年収*

324万8,544円

454万412円

*年収は「月給の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月給の2ヶ月分)」で試算

過去にインタビューをした、治験施設支援機関で働くUさん(26)の月給は26万円でした。看護師としてICUで2年働いたのちに転職しているUさんですが、ほぼ平均的な給与水準にあるようです。

▼治験コーディネーターUさんの転職インタビューはこちらの記事をチェック!

【転職者インタビュー】CRC(治験コーディネーター)1年目26歳/転職1回

5.治験コーディネーターのやりがい・つらいこと

治験コーディネーターの仕事には、製薬会社、医療機関の関係者、被験者さんとのコミュニケーションが欠かせません。被験者さんの一番身近な存在として、治験に対する不安をケアしたり、治験を問題なく進められるようサポートしていくことで、調整役としてのやりがいを感じられることでしょう。

製薬会社の臨床開発モニターや医療機関の関係者と接する過程で、疾患や新薬に対する知識を得ることで、専門性をみがくことも可能です。

一方、治験コーディネーターの業務はスケジュール管理や製薬会社・患者さんへの対応と多岐にわたり、慣れないうちは業務のペースをつかめずに苦労する方も多いようです。また、書類作成も多い仕事のため、事務作業が苦手な方にとってはつらいかもしれません。

過去にインタビューをしたUさんによると、SMO(治験施設支援機関)で働く治験コーディネーターには、「移動の多さ」がネックになるというお話もありました。しかし、仕事が早く上がれる日があったり土日祝日が休めたりと、自分の時間を確保しやすいため、転職満足度は高いようです。

派遣先の病院は日によって違いますし、午前と午後で別々の医療機関へ行くこともあります。なので、午後の病院が早く終わればそのまま直帰することも多いです。一応、定時は9時~17時半なんですけどね。

(中略)

転職満足度は70点くらいでしょうか。残りの30点は「移動が多い」ところです。ずっと事務所で働いていたい(笑)。ただ、給料はそれほど悪くないし土日祝休みですし、概ね満足しています。

6.治験コーディネーターの将来性

日本SMO協会の調査によると、CRCの数は2013年をピークに減少傾向にあり、2020年には約2,600名となっています。

SMO(治験施設支援機関)で働くCRC(治験コーディネーター)数の推移

参考:日本SMO協会|日本SMO協会データ2020

ただし、従事者数が減少傾向にあるから将来性がないとは言い切れません。薬効分野別の治験の届出数の推移をみると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に対する治験届件数が減少傾向にある一方で、がん治療薬の治験届件数は増加傾向にあります。また日本SMO協会では、がんに関する自社勉強会を開催したり、がん領域専門CRCの育成を強化したりしています。

薬効別治験計画届出件数の推移

参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構|治験計画届出件数

7.最後に

治験コーディネーターには、医療の専門知識とコミュニケーション能力が必要です。そのため、臨床検査技師や看護師、薬剤師からの転職希望者には有利といえます。

臨床検査技師なら検査結果の数値を読み解く力、看護師なら被験者の些細な変化を見逃さない力、薬剤師なら薬に関する知見など、アピールできるポイントがあるはずです。

このような医療系の国家資格を保有していない場合は、CRCの認定資格を取得すると、昇給や昇進、転職の際に有利になるケースもあるようです。

<治験コーディネーターの転職体験談もチェック!!>

「なるジョブ」転職者インタビュー:治験コーディネーター

【転職者インタビュー】治験コーディネーター(CRC)1年目26歳/転職1回


参考文献

丸山由起子『CRCという仕事』 株式会社メディカル・パブリケーションズ

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