【転職者インタビューvol.25】保健師1年目23歳/転職1回(看護師→保健師)

医療福祉業界における転職経験者の人生を掘り下げるインタビュー企画。今回は新卒で看護師となった翌年、保健師として再スタートを切ったKさん(23歳)です。看護師から保健師へと働くステージを変えた理由、その働き方や仕事内容、待遇、休日の過ごし方まで根掘り葉掘り教えていただきました。

「なるジョブ」転職者インタビューvol.23


1.今日の転職経験者はこんな人

保健師・人生年表

ー今おいくつですか?

23歳です。

ー出身はどちらですか?

山梨県です。

ー家族構成を教えてください。

両親と3つ上の姉がいます。今はその姉と都内で一緒に暮らしています。

ー転職は何回経験しましたか?

1回です。看護師から保健師に転職しました。

ーご両親は何をされている方ですか?

父は会社員で、母は歯科衛生士です。

2. Kさん(保健師・23歳)の生い立ち

2-1. 幼少期〜小学校時代

ー幼少期の思い出は?

キリスト教の幼稚園に通っていたので、園がクリスマスやイースターなどのイベントに力を入れていましたね。あとは幼稚園に小さな教会が併設されていて、そこで聖歌を歌ったり礼拝をしたりも。

大人になった今でもクリスマスは人一倍ワクワクしています(笑)。

ー小学校時代は?

ピアノを幼稚園から中2まで習っていたんですけど、小学生のころはプロのピアニストになりたくてすごく頑張って練習していました。

あと、6年生のときには保健委員の委員長を務めていました。

ーその頃から「保健」と関わっていたんですね。保健委員会ではどんな活動をしていたんですか?

たしかにそうですね。小学校なんでたいした活動はしていませんよ。「ほけんだより」を作ったり、クラスの健康チェックをしたり。あと、水道水の水質チェックの真似事みたいなことをしていました。

2-2. 中学校〜高校時代

ー中学ではピアノを辞めてなにを?

ピアノの熱が冷めてきてしまって、他の楽器もやってみたいなと思い吹奏楽部に入部しました。楽器はホルンを。

ー吹奏楽は高校でも続けていたんですか?

いえ、高校ではボート部に入りました。インターハイに出場するくらいの強豪校だったんですが、私は2年生のときに腰を痛めてしまい選手からマネージャーに転向しました。

ーボート部は筋肉ムキムキのイメージがあります。

たしかにそのせいで体格がガッシリしちゃって、今でもお肉が落ちづらいので明日はジムのパーソナルトレーニングに行ってきます……。

2-3. 大学時代

ーいつから看護師を目指し始めたんですか?

歯科衛生士である母を見て、「資格があると有利だな」と思ったことがきっかけです。出産や育児のために一度仕事から離れても、母はすんなりと仕事に復帰できていたので。

そういった経緯もあり、母から「看護師はどう?」とすすめられたんです。「とりあえずオープンキャンパスに行ってみるか!」という軽い気持ちで看護学科のオープンキャンパスに行ったんですけど、そこで参加した訪問看護の体験授業がすごく楽しかったんです。

一方で、英語が好きだったので英文学科の体験授業も受けたんですけど、そちらは退屈で爆睡してしまいました。実は英語にはそんなに興味がないんだなと気づきましたね。

ー専門学校ではなく、大学に進学した理由は?

それも母にすすめられたからです。私自身は専門学校でもよかったんですが「大学は出ておきなさい」と言われ。

ー大学は忙しかったですか?

周りの子はすごく忙しそうにしていたんですが、私は遊んでばかりで1~2年生までは「再試の女王」って呼ばれてました(笑)。

ーサークルやアルバイトはしていましたか?

ライブを観に行くのが好きだったんですが、一緒に行く人がいないのでインカレのサークルを立ち上げちゃいました。3人で始めて、最終的には40人くらい集まったのかな。活動内容的にはバンドを観に行ったり、一緒にお酒を飲んだりするだけなんですけど。

バイトはずっと焼き鳥屋さんでやっていました。

ー看護学部は実習が大変なイメージがあります。大丈夫でしたか?

それはやっぱり大変でしたよ。実習期間がけっこう長くて、私の場合は大学3年の5月から12月まで。1つの領域に2~3週間で、12領域くらいの科で実習しました。実習する病院数は学生にもよるんですけど、私は3つの病院で。あとは老年看護の実習で老健(介護老人保健施設)にも行きました。

ー国家試験の勉強は大変でしたか?

実は保健師と看護師のW受験だったので、けっこうハードでした。

ー看護学部でも保健師のカリキュラムを受けられるんですか?

はい、希望した全学生が受講できるわけではないんですが。私が通っていた看護学部には100名ほどの学生がいたんですけど、そのうち試験に受かった20名のみが保健師のカリキュラムも受講できたんです。

なので、普通の看護学生と比べて必要な勉強量が2倍近くありました。もう2度とあの勉強地獄には戻りたくないですね。

ーなぜ保健師も取ろうと思ったんですか?

カリキュラム選択のときに保健師についていろいろ調べた結果、単純に面白そうだなと思ったんです。特に介護予防や保健指導という観点から、色んな人の人生設計に関われるところは人付き合いが好きな私に合っていそうだなと。

3. 新卒で総合病院に就職

ー新卒で入った病院はどのようにして決めたんですか?

知り合いに尊敬している看護師さんがいたんですけど、その人を追いかけて同じ総合病院の採用試験を受けました。

ー就活は何社くらい受けましたか?

その病院1つだけです。

ー実習先の病院は受けなかったんですか?

他の病院のインターンにも参加したんですが、総合的に見てそこが一番でした。

あと、ちょっと苦手な看護師さんとかもいたので……。

ー初任給はどれくらいでしたか?

初月は夜勤がなかったので額面で20万円くらいでした。賞与は年2回で4ヶ月分です。

ーお休みは4週8休ですか? また残業はどれくらいありましたか?

そうです。休みは4週8休で、夏休みが5日ありました。

残業は月に20時間くらいで、夜勤はだいたい月に4回かな。でも残業代は10時間分くらいしか付きませんでしたね。

ー何科に配属されましたか?

循環器内科心臓血管外科です。

ー看護師として働くことで得られたものはありました?

たくさんの患者さんを診ていくなかで、予防の大切さを痛感しました。とくに生活習慣の大切さですね。実際に得た臨床経験は、保健師となった今も私の強みになっているのかなと。

ー医療分野において「ここが課題だな」と感じたことは?

患者さんの医療リテラシーの低さは問題だと感じましたし、そこをなんとかしたいなとも思いました。

医療現場では医師や看護師が身を粉にして働いてるんですけど、なによりも患者さん自身の疾病予防の意識や正しい知識が大切なのかなと。

一方で今の世の中、様々な情報が溢れすぎて一般の方々はどの医療情報を信じればいいのかわからない状態にあると思います。そういった方々を適切にサポートしてあげたいなという想いも生まれました。

ーその病院ではどれくらい働いていましたか?

ちょうど1年です。

4.本当にやりたいことについての悩み

ー転職を考えた理由は?

もともと新卒で就職するときに保健師になるか看護師になるかで悩んでいたんですが、働いているうちに保健師になりたい気持ちが強くなっていったんです。

そうなったときに、もう看護師としてみんなと同じ方向を向いて仕事をしていくことはできないなと感じました。

ー自分がやりたいことは看護師ではなく保健師だなと?

そうです。保健師は健康管理や保健指導を通して「その人の生活」をコーディネートするお仕事でもあるので、先ほどお話しした患者さんの医療リテラシーの向上にも繋がりますよね。

ただ、看護師としてまだ1年目だったこともあり、「私が本当にやりたいことってなんなんだろう!」ってすごく悩んでいろいろな方に相談をしました。そんなときに「自分の考えていることを言語化したほうが良いよ」とアドバイスをもらい、思考をすべて紙に書き出してみたんです。そしたら「わたしがやりたい仕事は保健師に詰まってるじゃん」って。

ちなみに、もやもやと悩んでいた時期には医療関係の一般企業にお話を聞きに行ったり、福井県の医療法人まで見学へ行ったりもしました。

そうやって自分を見つめ直す期間もすごく大事だったなと今では思います。



福祉用具専門相談員28歳の生い立ち

Kさんが思考を書きだしたノートの一部


ー転職手段はどのように?

実はジョブメドレーさんを利用して転職したんです。

ーおお!ありがとうございます。参考までにお聞きしたいんですが、ジョブメドレーで使いにくい点などはありましたか?

いえ、特には。むしろすごく使いやすかったですよ。とくにメッセージ画面がLINEに似ているので直感的に操作できました。

5.保健師として地域包括支援センターに転職

ー転職先はどういう職場へ?

地域包括支援センターに転職しました。保健師の働く場所は行政、一般企業、健診センター、学校など様々なんですが、私は地域と密接に関わり合いながら保健師をやりたかったんです。

公務員として行政で働くという選択肢もあったんですが、それなりに安定しつつも自分の裁量でいろいろ企画などもできそうな半官半民の職場を選びました。

ー地域包括支援センターと言うと?

簡単に言うと、医療介護福祉に関する高齢者向けの相談窓口です。基本的には保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3職種が常駐しています。

▼地域包括支援センターについてはこちらの記事もご覧ください

気になる転職先、地域包括支援センターの業務や特徴とは?

ー面接では何を聞かれましたか?

看護師として働いて得られたものや、保健師として何をやっていきたいかなどを聞かれました。すごくフランクな面接だったので終始雑談のような感じで、本音で話すことができましたね。

ー給与などの条件は?

4月に働きだしたばかりなのでまだもらっていないんですが(5月18日取材時)、基本給が21万円で、手当含めて25万円くらいになると思います。賞与は3ヶ月分支給されるそうです。

土日休みで、年間休日は121日と聞いています。

ー具体的な業務内容は?

最近あった相談内容は、「退院したけど、入院生活により足腰の筋肉が弱ってしまったのでうまく歩けなくなってしまった。また不自由なく歩けるようになりたい。」というものでした。その方にはまず、介護保険を申請していただきました。次に私が専門職のリハビリを受けられるように介護予防のケアプランの原案を作成し、相談者様や関係機関と共に「歩けるようになりたい」という目標に向かって、プランをコーディネートしていきました。

相談窓口に利用者さんが来ることもあれば、こちらから地域の交流サロンのようなところへ直接足を運んで相談を受けることもあります。

大きな捉え方で言うと、地域に住むご高齢の方とそのご家族を対象に「その人がその人らしく生きていける」ことをサポートするお仕事です。

ーケアマネジャーの業務と似ていますね。

たしかに業務的にかぶっている部分はありますね。ただ、医療分野の知見が必要なことも多いので、私たち保健師は医療分野に特化した専門家として必要とされます。一方で保健師にも介護知識は要求されるので、ケアマネさんや社会福祉士さんと協力し合いながら仕事をしています。

ー今後、保健師としてやってみたいことなどはありますか?

保健師の業務には「地域づくり」も含まれるんです。

私は銭湯が好きなので、街の銭湯とタイアップした何かを企画できたらいいなと考えています。まだ何も決まっていなくて妄想段階なんですけどね。

ー保健師になってみて、ギャップを感じた部分はありますか?

今のところマイナスなギャップは全くなく、毎日楽しみながら働いています!

もちろんまだ1ヶ月しか働いていないので、今後は理想とは違う部分も出てくるかもしれませんね。

ーでは転職満足度を点数であらわすと?

もちろん100点満点です!

ー転職で悩んでいる方に向けたアドバイスをください。

私の経験としては1人で悩みを抱え込まずに、色んな人に相談したことが結果的によかったなと。家族や友人でもいいですし、SNSで全く知らない人に相談するのも全然ありだと思います。何かしらのサインを出せば、誰かがきっと助けてくれるはずです。

あと、考えていることを全てノートに書きだしたのも効果的でした。言語化することで、本当に大切にしたいことを再確認できました。就活の時によく行う自己分析みたいなことですね。

6.(番外編)生活・恋愛の話

ー休日は何を?

twitterで知り合った医療従事者の集まりがあるんですけど、そういう人たちとの勉強会によく参加しています。頻度としては月2回くらいですかね。

あとはフェスやライブに行ったり、友達と飲みに行ったりです。

ースマホのホーム画面を見せてください

とくに面白みもないと思いますが、どうぞ。

保健師23歳のスマホ画面

よく使うアプリはTwitterLINEnoteあたりですね。

Twitterは本当によく活用していて、いろんなコミュニティに参加しています。最近だと、銭湯好きの集まりとかカレー好きの集まりとか。

ーフォルダ名の絵文字には何か意味があるんですか?

ごめんなさい、とくにないです。なんとなく可愛いかなって(笑)。

ーお付き合いしている方はいますか?

いないんですよー。欲しいなとは思っています。

ーどんな男性がタイプですか?

クレバーで、車の運転が好きで、ツッコミの切れがよくて、よく笑う人です。

ーSNSを通した対外的な活動が多いようですが、いい出会いはないんですか?

そうですね……みなさんとてもいい人達なんですが、友人やお兄さんのような感じです。

ー結婚願望はありますか?

もちろんありますよ。

ー結婚や出産を経ても保健師は続けますか?

保健師かはわからないけど、仕事はずっと続けていきたいなと考えています。

実は文章を書いたりする仕事も少し気になってます。

ー本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

読者の方へのメッセージ

看護師から保健師へ!「やりたいこと」を軸とした選択

新卒で総合病院へ看護師として就職したものの、「本当に自分のやりたいことはなんだろう」と自問を重ねた結果、保健師となったKさん。さまざまな人と積極的に触れ合い、自分の考えをまとめ、「保健師」という答えを出しました。転職するにあたって重要な要素として、給料・福利厚生・勤務時間など様々ありますが、「働きたい!」という情熱をささげられる仕事や職を選択することも、人生を豊かにするきっかけとなるかもしれません。この機会に、Kさんのように自分の頭の中をノートに書きだしてみては?

深沢 元貴 (ジョブメドレー 編集) 2019/08/07

プロフィール

「なるほど!ジョブメドレー」は、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」が運営するメディアです。医療・介護・保育・福祉・美容・ヘルスケアの仕事に就いている人や就きたい人のために、キャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。仕事や転職にまつわるご自身の経験について話を聞かせていただける方も随時募集中。詳しくは「取材協力者募集」の記事をご覧ください!

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